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2016.03.20 F1 - フォーミュラ・ワン世界選手権 開幕戦 オーストラリアGP オーストラリアGP 決勝

オーストラリアGP 決勝 レポート

2016年3月20日(日)・決勝  会場:アルバート・パーク

「自分が無事であることを母に示すため、すぐにマシンから降りました!」

#AusGP

本日のレースは、16周目に3コーナーで発生した、フェルナンド・アロンソとエステバン・グティエレス選手(Haas)のアクシデントによって、今後のシーズンに影を落とすような結果となりました。

激しいクラッシュであったにもかかわらず、アロンソは自力でマシンから脱出でき、その後、通常の手順に従ってサーキット内のメディカルセンターに連れて行かれ、医師に問題なしとの診断を受けました。一方、アロンソのマシンは本人よりも状態が悪く、シャシーおよびパワーユニットの両方が多大なダメージを受けました。そのクラッシュによって大破したマシンの破片がコースの広範囲に散乱していたことから、それを除去するためにレースは赤旗中断となりました。

再スタート後、ジェンソン・バトンは他チームの大半のドライバーとは別の戦略を採用しましたが、それを生かすことができず、14位で完走しました。

それでも、今週末はポジティブな点がいくつかありました。我々の競争力のあるパッケージはいい状態にあるように見えましたし、赤旗が出る前は両ドライバーともトップ10圏内を力強く走行していました。

我々は、この力強い勢いを維持しながら、次戦の開催場所であるバーレンに向かいます。

フェルナンド・アロンソ MP4-31-01

スタート 11番手
レース結果 DNF ※16周目に発生したアクシデントにより完走せず
ファステストラップ 1分32.553秒 14周目(トップとの差 +3.556秒、11番手)
ピットストップ 1回:12周目(ピットストップ時間 2.68秒)[オプション→プライム]

「大クラッシュでしたが、今、自分が生きていること、そして深刻なことがなにも起こらなかったことに感謝しています。

さまざまな要素が重なって、エステバン・グティエレス選手と私が衝突してしまいました。私が乗っているマシンが宙に舞ってバウンドする中、空が見えたと思ったら次は地面、そしてまた空が見えるといった状況でした。その後、マシンが着地したとき、少しすき間が見えたので、自宅でレースをTV観戦している母に、自分は無事だと伝えるため、すぐにマシンから降りました!

これは、レースでは避けられない事故でした。私たち2人ともが無事だったことをとてもうれしく思います。それが一番大事なことです。

ただ、その後すぐに、フラストレーションがたまる、残念な気持ちになりました。今季初のレースで、ポイントを獲得するチャンスを逃したからです。また、マシンがほぼ完全に大破したので、おそらくパワーユニットも失ってしまったと思います。

フォーミュラ・ワンのマシンに乗るたびに、ドライバーは命を危険にさらします。こういう事故は時折り起こるものですが、自分が無事であったことをとてもうれしく思います。私が今も生きていられるのは、FIA(国際自動車連盟)が安全を向上するため、過去10〜15年の間に数々のすばらしい仕事を成し遂げ、今もそれを続けてくれているおかげです。また、私のために頑丈で安全なマシンを作り上げてくれたMcLarenのメンバー全員に対しても感謝します」


ジェンソン・バトン MP4-31-03

スタート 12番手
レース結果 14位
ファステストラップ 1分31.684秒 33周目(トップとの差 +2.687秒、8番手)
ピットストップ 3回:15周目(ピットストップ時間 3.36秒)、18周目(再スタート時にタイヤ交換実施)、30周目(2.60秒)[オプション→プライム→オプション→バックアップ]

「フェルナンドがあの事故のあと、自力でマシンから降りられたことを本当にうれしく思います。ただ、フェルナンドは今回の事故を今後数週間は忘れられないでしょう。

マシンのタイヤ同士が接触した際に、マシンがこれほど遠くまで放り出されるかと、驚くばかりです。ブレーキ中に接触すれば、さまざまなことが非常に速いスピードで起こります。ただ、今日、フェルナンドのマシンがなんとか事故を切り抜けたことは、F1というスポーツが安全面でいかに進化したのかを物語っています。

私のマシンはそれほど悪くはありませんでしたが、午後のレースでは戦略的なピットストップを何度か行ったものの、あまり完ぺきな内容ではなかったと思います。また、赤旗が出る前に我々はすでにピットストップを実施していたため、痛みを伴う結果となりました。再スタート後にスーパーソフトタイヤを装着して10周ほど走行し、その後、バックアップタイヤに履き替えました。ただ、ほかのドライバーは再スタートからすでにそのバックアップタイヤを装着して走行していました。そこからは、前方のマシンに追いつくことはできるものの、オーバーテイクは難しく、ピットストップ後は複数のマシンが作る列の後ろにとどまる形になりました」


エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
「私がまず申し上げたいのは、2つの称賛に値することについてです。それは現代のF1マシンの構造面での完成度の高さと、現代のレースコースの安全設備です。フェルナンドの事故は大クラッシュでしたが、あれほどひどい衝突であったにもかかわらず、彼が直後に自力でマシンから降りられたという事実は、本当に目を見張るものがあります。

事故発生直後に、フェルナンドはFIAのメディカルセンターを訪れ、そこで医師から問題なしと正式に診断されました。

当時、フェルナンドは非常にいい走りを見せてくれていましたし、彼のレースが通常通り進んでいれば、ポイントを獲得できたのではないかと思います。

一方、ジェンソンについては、皮肉なことに、フェルナンドの事故が引き金となって導入されたセーフティカーと、その後、出された赤旗によって、レース戦略を妥協せざるを得ず、ポイント圏内で完走するための走りができなくなりました。

今日はここメルボルンでポイントを獲得できませんでしたが、全体的に見ると、我々が冬の間に成し遂げた進化に、ささやかではあるものの、励まされる思いです。予選のセッションでもう少し混乱がなく、レース中に事故がなければ、今後のグランプリで我々がポイントを獲得することができると強く信じています」


長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「まずは、大きな事故にもかかわらず、フェルナンドとグティエレス両選手にケガがなく安心しました。

レース序盤のペースは悪くなかったものの、アロンソの事故による赤旗の影響で、ジェンソンが後方に下がってしまい、タイヤのコンディションによってペースが大きく変わり、その後順位をリカバリーすることができないままレースを終えてしまいました。

この週末はフリープラクティスや予選で、マシンのポテンシャルの向上を感じることができましたが、結果として周回遅れの14位と、マシンの進化を証明するには至らず大変残念でした」

順位 No. ドライバー チーム 周回数 タイム/差
16ニコ・ロズベルグMercedes571:48'15.565
244ルイス・ハミルトン Mercedes57+8.060
35セバスチャン・ベッテル Ferrari57+9.643
43ダニエル・リカルド Red Bull57+24.330
519フェリペ・マッサ Williams57+58.979
68ロマン・グロージャン Haas57+72.081
727ニコ・ヒュルケンベルグ Force India57+74.199
877バルテッリ・ボッタス Williams57+75.153
955カルロス・サインツ Toro Rosso57+75.680
1033マックス・フェルスタッペン Toro Rosso57+76.833
1130ジョリオン・パーマー Renault57+83.399
1220ケビン・マグヌッセン Renault57+85.606
1311セルジオ・ペレス Force India57+91.699
1422ジェンソン・バトンMcLaren-Honda56+1Lap
1512フェリペ・ナスルSauber56+1Lap
1694パスカル・ウェーレイン Manor56+1Lap
NC9マーカス・エリクソン Sauber38DNF
NC7キミ・ライコネン Ferrari21DNF
NC88リオ・ハリアントManor17DNF
NC21エステバン・グティエレスHaas16DNF
NC14フェルナンド・アロンソ McLaren-Honda16DNF
NC26ダニール・クビアト Red Bull0DNS

ランキング詳細

ジェンソン・バトン(#22)、フェルナンド・アロンソ(#14)

ジェンソン・バトン(#22)、フェルナンド・アロンソ(#14)

ジェンソン・バトン

ジェンソン・バトン

フェルナンド・アロンソ

フェルナンド・アロンソ

フェルナンド・アロンソ

長谷川 祐介