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MotoGP

round 01

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March 20/21/22/23 2014 MotoGP Commercial Bank Grand Prix of Qatar

カタールカタールGP

カタールGPプレビュー

ロードレース世界選手権(WGP)第1戦カタールGPが、3月20日(木)、ドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕します。カタールGPは、2004年に初開催。08年にはグランプリ史上初のナイトレースが開催されて大きなニュースになりました。

カタールGPプレビュー

カタールGPは今年で11回目。ナイトレースとしては7回目の開催となります。この大会は走行が深夜に及ぶため、2011年からは、ライダー、スタッフの負担を軽減するため4日間の開催となりました。

今年は2月から公式テストがスタートしました。MotoGPクラスは、マレーシアのセパンで2回、オーストラリアのフィリップアイランド(ワークスチームのみ)とカタール(ワークスチームを除くチーム)で、それぞれ3回、9日間のテストが行われました。

MotoGPクラスは、今年から共通ECU(エンジン・コントロールユニット)の使用が義務付けられ、独自ソフトを使用する「ファクトリーオプション」と、共通ソフトを使用する「オープンカテゴリー」に分けられました。Hondaは、「ファクトリーオプション」に、Repsol Honda Team、GO & FUN Honda Gresini、LCR Honda MotoGPの3チーム4台、「オープンカテゴリー」には、Drive M7 Aspar、Cardion AB Motoracing、GO & FUN Honda Gresiniの3チームから、市販レーシングマシンの「RCV1000R」で4台が出場します。

昨年、史上最年少記録を次々に樹立し、最高峰クラスのチャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、今年は2年連続タイトル獲得を目指します。マルケスは、昨年の最終戦バレンシアGPのあとに行われた公式テストと、今年2月にマレーシア・セパンで行われた公式テストでトップタイムをマークして、一段と成長したことを感じさせました。その後、地元スペインで行っていたトレーニング中に右足の腓骨(ひこつ)を骨折し、2回目のマレーシアテスト、3月上旬のオーストラリア・フィリップアイランドでのタイヤテストをキャンセルしました。マルケスにとっては、テストメニューを消化できず、不安を抱えての開幕戦となりますが、右足の回復を優先させました。

昨年は、ウインターテストからルーキーとは思えない速さをみせて周囲を驚かせました。その期待に応えて、デビュー戦となった開幕戦カタールGPで3位に入り、MotoGPでの初表彰台を獲得。サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われた第2戦アメリカズGPで史上最年少記録で優勝し、世界中をアッと驚かせました。今年は、開幕戦カタールGPがケガからの復帰戦となりますが、「アメリカズGPで100%の状態に持っていきたい」と、2連覇に向けてシーズン序盤のプランを語っていました。

Repsol Honda Teamで9年目のシーズンを迎えるダニ・ペドロサも、念願のタイトル獲得に向けて闘志をかき立てています。昨年はシーズン中盤戦のケガなどでタイトル争いから脱落しましたが、今年は体調もよく、ウインターテストでは徹底的に走り込みを行い、万全の状態で開幕戦を迎えます。

MotoGPクラスの「ファクトリーオプション」は、今年から燃料タンク容量が21リットルから20リットルに減少しましたが、Honda勢は燃費問題を完全にクリア。ペドロサは、昨年のウインターテストより、ベストタイムもアベレージも短縮して仕上がりのよさをアピールしました。ペドロサは、カタールGPで3位3回、2位1回と計4度の表彰台に立ってきましたが、今年はカタールGP初制覇を目指します。

GO & FUN Honda Gresiniで3年目のシーズンを迎えるアルバロ・バウティスタは、念願の初優勝に闘志を燃やしています。今年のウインターテストでは、SHOWAのサスペンションとNISSINのブレーキのテストに多くの時間を割きました。その結果、2回目のマレーシアテストの初日にトップタイムをマークするなど、確実にパフォーマンスを上げています。一昨年は、初ポールポジション(PP)獲得や、2度の表彰台に立つなど活躍し、総合5位。昨年は表彰台に立てませんでしたが、総合6位と健闘しました。

LCR Honda MotoGPで3年目を迎えるステファン・ブラドルも、今年は飛躍のシーズンにする意気込みです。一昨年はルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。昨年はドイツ人ライダーとしては初のPPを獲得し、初表彰台も達成しました。昨年のシーズン終盤戦のケガも完治して、万全の体調で開幕戦を迎えることになり、バウティスタとともに初優勝の期待がふくらみます。

Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」を駆り、今年は3チームから4選手が「オープンカテゴリー」で出場します。Drive M7 Asparは、ニッキー・ヘイデンと青山博一の2台体制となります。06年にHondaでチャンピオンを獲得したヘイデンは、08年以来、6年ぶりにHonda陣営に名前を連ねることになりました。ウインターテストでは、RCV1000Rのテストに専念し、着実にパフォーマンスを引き出しました。今年は乗り慣れたHondaのマシンでどんな活躍をみせてくれるのか、大きな注目を集めています。

09年の250ccチャンピオンで、10年、11年とRC213VでMotoGPクラスに出場した青山博一は、3年ぶりにHondaのマシンでMotoGPクラスに出場します。昨年は、パフォーマンスに劣るCRTマシンでフラストレーションをためる一年となりましたが、今年はウインターテストでノートラブル。たっぷり走り込んでいるだけに、開幕戦から元気あふれる走りをみせてくれそうです。

MotoGPクラス4年目のシーズンをRCV1000Rで戦うカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、昨年痛めた左肩が完治していない状態での開幕戦となりますが、ニューチャレンジに闘志を燃やしています。

昨年、Moto2クラスでチャンピオン争いに加わり、総合2位となったスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)も、新しいチャレンジに気合を入れています。ウインターテストでは、昨年のシーズン終盤戦で負ったケガの回復の状態を見ながら、着実にライダースキルを上げていきました。カタールテストを終えたときには、ヘイデン、青山博一と変わらないタイムをマークし、今年の活躍に期待がふくらみました。

CBR600RRのHondaエンジンを搭載して行われるMoto2クラスは、今年も厳しい戦いが予想されます。その中で最も大きな注目を集めているのが、3年目のシーズンを迎える中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)で、ウインターテストではトップタイムをマークするなど、今年のタイトル獲得が期待されます。初のフル参戦となる長島哲太(Teluru Team JiR Webike)も、初めて経験するサーキットが続きますが、この挑戦に気合を入れています。

Moto3クラスには、4チームから6名の選手がHondaマシンで出場します。昨年総合2位のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)、総合4位でマルク・マルケスの弟のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)は、ともに今季のタイトル獲得が期待されます。さらに、アレックス・マスボー(Ongetta-Rivacold)、ズルファミ・カイルディン(Ongetta-AirAsia)、Caretta Technology-RTGからはエフレン・バスケスとジョン・マクフィーが出場します。ウインターテストでは、6選手ともに着実に調子を上げているだけに、今年の活躍に期待が集まっています。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP チャンピオン)
「とても残念だったのは、2回目のマレーシアとオーストラリアのテストに参加できなかったことです。しかし、いいニュースは、骨折した右足が順調に回復していることです。トレーニングを続けていますが、カタールでは、自分の右足の状態を確認しながらの走りとなります。現状は100%ではありません。厳しい走りを強いられるかもしれませんが、全力で挑みたいと思います。最も大事なのは、今大会で価値あるポイントを獲得して、第2戦のオースティンまでに100%の状態に持っていくことです。ワールドチャンピオンとしてカタールGPを迎えることになり、とても新鮮な気持ちです。『タイトルを防衛』という状況の中で、最初のセッションからその走りが注目されると思います。昨年の大会では、初めて表彰台に立てましたし、特別なレースでした。カタールには、いい思い出しかありません」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合3位)
「セパンとフィリップアイランドで多くの周回をこなせましたし、今年はウインターテストからかなり積極的に走ることができました。多くの進歩もありましたが、まだまだ改善の余地もあります。フィリップアイランドでのオーストラリアテストを終えてからは、開幕戦に向けて、さまざまなトレーニングを続けながら体調を管理してきました。とても充実した日々でした。カタールGPは4日間ととても長く、最初のフリー走行は常にグリップも低いのが特徴です。しかし、開幕に向けて準備はできています。とても楽しみにしています」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合6位)
「カタールテストでは、いくつかの変更にトライしました。初日はあまり快適ではありませんでしたが、2日目、3日目と大きく改善することができました。シーズンの開幕を前に大きな自信を身につけることができました。しかし、今の状態では、まだまだ完全ではないですし、シーズンを通して最も難しいサーキットの一つであるロサイルに挑むには十分ではありません。さらなる改善のためにもがんばらなければなりません。タフな週末になると思います。いい結果を残すためにも、110%で挑まなければなりません」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合7位)
「開幕戦を前にとても気持ちが高ぶっています。ナイトレースというのはファンにとっても我々にとっても特別なものです。カタールテストでは、本番に向けていいペースを得るために、セットアップに集中しました。決勝を想定したロングランでは悪くなかったのですが、ソフトタイヤでは思うようにタイムを出せず、パフォーマンスも発揮できませんでした。開幕戦では引き続き、この問題に取り組みます。ウインターテストは、全体的にはよかったと思います。体力的にも精神的にも万全の状態で挑むことができます」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合9位)
「前回のテストは順調でしたし、大きく前進することができました。正直に言えば、フロントローに近づくためには、もっといろいろ準備がしたかったのですが、チーム内のコミュニケーションはとてもよくなっています。Hondaに戻って最初のレースになりますが、車体のフィーリングがよく、とても楽しく乗れているので、それが大きな支えになっています。新しい冒険に向けて準備は整っています。スタートが楽しみでたまりません。レースは厳しく、簡単ではありません。しかし、いい結果を残すために全力を尽くしていきます。そして、シーズンを通じて戦闘力を上げていかなければなりません。ロサイルは得意ではありませんが、ナイトレースの感覚は好きです」

青山博一(MotoGP 総合20位)
「マレーシアとカタールで3回、9日間のテストを行いましたが、着実に前進できたことがとてもよかったです。最後のカタールテストでは、旋回性に苦しみました。思ったほど前進できなかったのが残念ですが、開幕戦では、この問題に引き続き取り組みたいと思っています。今年は、ケガもなく、万全の体調で開幕戦を迎えられるのがとてもうれしいです。シーズン序盤、カタール、アメリカ、アルゼンチンと続くので、この3戦でしっかり結果を残し、ヨーロッパラウンドにつなげたいと思っています。Hondaに戻って新しいチームで迎える開幕戦が楽しみで仕方ありません」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合24位)
「ウインターテストでは完治していない左肩に苦しみましたが、残念ながら、開幕戦を前にして、まだ完全ではありません。自分にとっては、ちょっと早すぎるシーズン開幕となりましたが、同じRCV1000Rに乗るヘイデンとのタイム差を少しでも縮めていきたいと思っています。ウインターテストではニューマシンを乗りこなすところまでいかなかったので、今回もマシンを学ぶところからスタートして、ベストを尽くしたいと思っています」

スコット・レディング(MotoGP デビューシーズン)
「MotoGPのレースに出場するのは、とてもエキサイティングなことです。スターティンググリッドに並んだときには緊張すると思いますが、同時に、どんな結果になるのだろうとわくわくすると思います。当面の目標は、ニッキー・ヘイデンと肩を並べて、オープンカテゴリーの中で、Hondaライダーのトップになることです。もちろん、タイヤから電子制御まで、多くのことを学ばなければいけないと分かっています。ナイトレースとなるロサイル・サーキットは好きです。周囲になにも見えないのは奇妙ですが、集中力をキープするにはいい環境です。自分にとって初のMotoGPのレースは、私にとってグランプリ参戦100戦目となるので、とてもうれしいです」

エステベ・ラバト(Moto2 総合3位)
「ウインターテストでは、マシンのセットアップも順調に進み、いいアベレージで走ることができました。この勢いを、なんとしても開幕戦の結果につなげたいです。カタールGPでは優勝を狙っていきます。出場する35選手が同じ目標を持っていると思いますし、厳しい戦いになることは分かっていますが、とても楽しみです。カタールGPの行われるロサイルは好きなサーキットの一つ。最初のフリー走行からトップを狙っていきます。毎日、全力で挑みます」

ミカ・カリオ(Moto2 総合4位)
「昨年のシーズン終盤戦のリザルトもよかったですし、今年のウインターテストもよかったので、自信を持ってシーズンに挑むことができます。特に序盤の3戦、カタール、アメリカ、アルゼンチンでいい結果を残して、ヨーロッパラウンドに戻りたいと思っています。今年はチャンピオン争いができると信じています。カタールは得意とするサーキットではありませんが、これまでいい結果も残してきました。ナイトレースなので、ほかのサーキットと違って独特なレースとなります。とても楽しみにしています」

ドミニク・エージャーター(Moto2 総合5位)
「スペインでのヘレステストは順調でしたし、多くのデータを得ることができました。サスペンションもとてもよく、最後のテストでは、とても好調でした。今年の目標はとてもクリアです。昨年が総合5位だったので、それ以上の結果を残すことです。昨年は開幕戦カタールGPでいいスタートを切ることができました。今年もそうなるように願っています」

中上貴晶(Moto2 総合8位)
「スペインのバレンシアとヘレスで行われたテストでは、着実に前進できましたし、ベストタイムもアベレージもよく、とても充実していました。過去2年のシーズンと比べても、内容あるウインターテストになりました。今年はIDEMITSU Honda Team Asiaに移籍しましたが、新しいスタッフとのコミュニケーションもよく、万全の状態で開幕戦に挑むことができます。最後のヘレステストでは、目標の一つだったトップタイムで終われましたし、アベレージもよかったので、自信になりました。今年の開幕戦は自分にとって大事な一戦になります。昨年のカタールGPは予選2番手、決勝3位。今年はPP、初優勝を目標に全力で挑みます」

長島哲太(Moto2 デビューシーズン)
「フル参戦1年目、そして、カタールは初めて走るサーキットなので、着実に走ってポイントを獲得したいと思っています。初めてのコースなのでポイントを獲得するのも厳しいと思いますが、時間をうまく使い、コースをしっかり攻略していきたいです。開幕前にスペインのバレンシアとヘレステストに参加しました。最後のヘレステストでは、転倒してしまい、思ったよりセッティングで前進できなかったのが残念です。今回は自分がどれだけがんばれるかがリザルトに出ると思います。伊藤真一さんも応援に来てくれているので、アドバイスを生かして、しっかり走りたいです」

アレックス・リンス(Moto3 総合2位)
「今年はHondaのニューマシンとHRCのサポートを受けて新しいプロジェクトに挑むことになりますが、いいスタートを切りたいです。カタールはハイスピードコースですが、ウインターテストを行ったヘレスと、いくつか似たようなコーナーがあって、我々のマシンには適していると思います。カタールはスリップストリームの使い合いになります。タイヤが消耗してくる中盤から難しい戦いになるので、そこからがおもしろい展開になると思います。いい結果を残すために全力で挑みます」

アレックス・マルケス(Moto3 総合4位)
「スペインのヘレステストでは、最終日にとてもいい走りができたので、新しいシーズンに向けてモチベーションが上がっています。カタールは昨年経験していますが、自分にとっては最も難しいサーキットの一つだったので、初日からセットアップに集中してレースに取り組みたいと思います。カタールはHondaが得意とする中速コーナーと高速コーナーが多く、楽しみにしています」

アレックス・マスボー(Moto3 総合8位)
「今月の始めに左手首のピンを取り除く手術をしたので、スペインのヘレステストは痛みがひどく、厳しい走りを強いられましたが、それでも自己ベストをマークできました。開幕戦では手の状態も少しはよくなっていると思いますし、いい走りができると思います。Hondaのニューマシンはアクセレーションが向上して加速がよくなっているので、とても楽しみにしています」