2008年シーズンの開幕戦を約1カ月後に控えたIRL IndyCarシリーズは、フロリダ州のホームステッド・マイアミ・スピードウェイにおいて2日間にわたる合同テストを開催した。全長1.5マイルのオーバルコースで行われるシリーズ第1戦はナイト・レースのため、テスト走行は夕方の4時にスタートし、夜の10時に終了するスケジュール。フロリダ州最南端のホームステッドとしては珍しく、テストが行われた2日間は肌寒いほどの天候だったが、集まった16台のインディカー、そしてドライバーたちは十分に与えられた走行時間をフルに使って走り込んだ。
初日に最速タイムとなる25秒0619=平均時速213.312マイルを記録したのは、ダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)。2日目は、それよりわずかに遅い25秒0772=平均時速213.182マイルをマークしたダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が最速だった。このテスト2日目には走行した16台すべてがトップから1秒以内の僅差に収まり、IndyCarシリーズ出場チーム、ドライバーたちの実力拮抗ぶりがさらに進んでいることが明らかとなった。2008年シーズンもすべてのサーキットですさまじい高速接近戦が繰り広げられるに違いない。
アンドレッティ・グリーン・レーシングからルーキーとしてIndyCarシリーズへの参戦を開始する武藤英紀は、2日間フルに走り込み、プラクティス1日目にはトップから0秒1857差で8番手にランクされる25秒2476=平均時速211.743マイルをマーク。2日目にはタイムを強く意識したプログラムではなかったが、自己ベストを25秒1463=平均時速212.596マイルまでラップタイムを縮め、6番手に食い込んだ。2日間のタイムを総合すると武藤のポジションは8番手。多数のマシンとともにコースを走るのは初めてだったが、武藤は開幕戦から上位での戦いを十分に行えるだけの力を見せた。
テスト初日にはIRL創始者のトニー・ジョージ氏がケビン・カルコーベン氏とともに記者会見を行い、もうひとつのオープンホイール・チャンピオンシップとしてカルコーベン氏らが運営してきたチャンプカー・ワールド・シリーズがその開催を今シーズンから取りやめ、同シリーズのチーム、ドライバーたちもIndyCarシリーズに参戦を開始すると発表。ツインリンクもてぎでのINDY JAPAN 300 mileも予定されていた通りに4月19日決勝で開催されることが改めて確認された。
アメリカン・トップ・オープンホイールは、ついにIndyCarシリーズに一本化されることとなった。2つのシリーズが一元化されることで、IndyCarシリーズは出場台数が大幅に増加し、戦いの激しさもまた一段と高まることとなったのだ。
「最速タイムを出せたことはうれしいよ。でも、今回はテストであって、本当のレースではないんだから、手放しで喜んではいられないな。2日間のテストで多くのプログラムをこなして、マシンの仕上がりは非常によいものになっていたよ。トラフィックの中でのマシンのハンドリングもよかった。コースのコンディションは、レースのときより気温、路面温度の両方とも低かったけれど、僕らはレースに向けてとてもレベルの高いベースラインを作り上げることができたよ」
「2日間のテストに用意したプログラムは、ほぼすべて順調にこなすことができた。大勢のドライバーたちと一緒にコースを走るのは久しぶりだったけれど、それは僕にレースシーズンがいよいよ始まるんだということを意識させてくれ、気分の高揚を感じた。僕らのマシンはトラフィックの中でも安定していたし、スピードも目指していたレベルのものが出せていた。チームメートのダン(ウェルドン)も、僕も今回のテストの内容、得られた成果にはとても満足だ。この勢いを開幕戦まで保って、スタート・ダッシュを決めたいものだね」
「テストが始まってすぐは、マシンのハンドリングが定まらず大変だったの。スピードは高いものが出せていたんだけれど、マシンのフィーリングが正しくないと感じていたから。でも、走行を重ねてセッティング変更を繰り返していくと、マシンはすばらしいハンドリングになっていったわ。チーム・ペンスキー、ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングのマシンと一緒に走ったとき、マシンのハンドリング、感触がとてもいいものだったのはエキサイティングだったわ。このテストの終盤に出せていたスピードをレースでも発揮できたら、私たちのマシンは誰もが倒すべき相手としてマークすることになるでしょうね」
「今回のテストでは、決勝レース用のセッティングを向上させることをメインのテーマにしていました。ピットストップのレベルアップ、インラップとアウトラップのタイム短縮といったことも目標としていて、すべてで大きな成果を得られました。1日目のセッティングでよくなかった部分を2日目に改善しようと考え、その狙い通りにマシンは乗り易いものとなっていました。トラフィックでのテストも行うことができ、マシンの仕上がり具合のよさを感じました。このコースで行われる開幕戦に向け、手ごたえのようなものを掴むことができました。スピードを上げようしてハンドリングが悪くなる場合があるので、レースに向けてはスピードとハンドリングのバランスをどれだけうまく取るかが課題になると思います」
「2008年の開幕戦を行うホームステッド・マイアミ・スピードウェイでの合同テストには16台が集まった。今年も出場全車がHonda Indy V-8を搭載して走行しているが、エンジンにトラブルは一切出ず、極めて順調に進んだ。今年から燃料のミクスチャー・ダイヤルが復活し、ギア・チェンジのシステムはパドル・シフトへと変わったが、それらにも問題は出ていない。
今回のテストでは、排気音量を抑えた新しいエキゾースト・システムのテストも行った。市街地コースだけでなく、オーバルコースにおいても音量を幾分下げることを検討してもよいであろうとのアイデアから開発に取り組み始めたが、そちらの成果も満足のいくものが得られた。
テスト初日には、IndyCarシリーズとチャンプカー・シリーズが今シーズンからひとつになることが発表された。出場台数の増加は、競争のさらなる激化を促すこととなるだろう。IndyCarシリーズは昨年まで以上にエキサイティングなものになることと期待している。HPDとしてはエンジンの供給体制を拡大し、コースで各チームのサポートを行うエンジニアの増員が必要となるとも考えられるが、まずは参戦を行う台数が何台になるのかを明確にするなど、一つひとつの物事を一段階ずつ確実にクリアしていくつもりだ」