Honda Racing F1 Team 決勝レースの展開
決勝当日は、朝から断続的に強い雨の降る天候となった。レースが始まる午後1時の時点では雨はほぼ止み、わずかに薄日も差している。しかし、再び雨になる可能性は十分にある。路面は、完全ウエット。Hondaの2人は、浅溝のウエットタイヤでのスタートとなった。
バリチェロがいいスタートを決め、1周目で6つ順位を上げて10番手にジャンプアップ。フェリペ・マッサ(フェラーリ)のスピン、デビッド・クルサード(レッドブル)、セバスチャン・フェテル(トロロッソ)の接触リタイアなどが続き、バトンも3周目には11番手に上がる。
10周目、バトンとバリチェロの順位が入れ替わり、その後、ともにマーク・ウェーバー(レッドブル)に抜かれて、15周目の時点で11、12番手を走る。しかしウェーバーは燃料が軽く、18周目に最初のピットイン。再び10、11番手となった2人は、乾きかけの路面で順調にペースを上げていく。
23周目ごろから再び雨が降り出す。24周目にバリチェロが、そして次の周にバトンがピットに向かった。ほぼ全マシンが1回目のピットインを終えた中盤30周目、バリチェロは入賞圏内の7番手、バトンは11番手を走行する。
30周目。バリチェロの前を走るキミ・ライコネン(フェラーリ)が、2度目のピットイン。これでバリチェロは、6番手に上がる。いったん止みかけていた雨が、再び激しくなってくる。35周目に、バリチェロとバトンが相次いで2回目のピットインを行い、深溝のエクストリームウエットタイヤに履き替える。しかしバリチェロのピットイン時、フューエルリグのトラブルが起こる。これにより、あとからピットインしたバトンもタイムロスを喫した。
しかし、その後、エクストリームウエットタイヤの効果は抜群で、バリチェロはライバルよりはるかに速いペースで快走する。39周目にはヘイッキ・コバライネン(マクラーレン)をあっと言いう間に抜き去り、40周目にはフェルナンド・アロンソ(ルノー)も抜いて4番手に躍進する。一方のバトンは、終盤の低速区間でストップし、38周でリタイアした。
41周目。バリチェロはヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)を抜いて、ついに表彰台圏内の3番手に。2番手のニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)との差も、少しずつ縮まっていく。そして43周目には、ついに2位に上がった。
46周目。バリチェロが3度目のピットインに向かい、雨は完全に上がっていたことから、再び浅溝のウエットタイヤに履き替える。そして3番手で、コースに復帰。そのまま走りきり、3位でチェッカーを受けた。バリチェロにとってはF1キャリア通算62回目、チームとしては2006年最終戦ブラジルGP以来の表彰台獲得となった。
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