F1世界選手権 CARTチャンピオンシップ・シリーズ全日本GT選手権スーパーバイク世界選手権全日本ロードレース選手権モトクロス世界選手権全日本モトクロス選手権AMA スーパークロストライアル世界選手権全日本トライアル選手権ル・マン/マン島/鈴鹿8耐
Honda ホームページへ
MotorSports
HondaRacing Topへ
Honda Racing WGP
スケジュールへ リザルトへ ランキングへ

 


  ヘレステスト最終日。
  期間中、天候にも恵まれ、無事全プログラムを終了。
  (2001年11月29日)  


スペインヘレスサーキットで三日間に渡って実施されたHRCテストは、予定されていたプログラムをもれなく終了し、ライダーにとってもエンジニアにとっても満足の行く内容の濃いものとなった。
今回のテストは現役GPライダーがRC211Vを本格的にテストする初めてに近い機会だったが、エンジニア達は、プロジェクトを前に進める為には欠かせない貴重なフィードバックを得る事ができた。三日間のテストを終え、バレンティーノ・ロッシと宇川 徹の両ライダーは開発が正しい方向に向っている事を確認し、この三日間でのセットアップの進展に満足してテストを終えた。

グレシーニ・レーシングの加藤大治郎は、最終日の今日52周をこなし、前日までに続いて小柄な体格にあったシャシーと足回りのセットアップを探る事に専念した。まだまだ課題を抱えてはいながらも、加藤は今回のテストに参加したライダーの中でのベストラップとなる1分42秒4を記録し、今年の5月にロッシが記録した1分43秒779というコースレコードを大きく上回った。

本年の250ccチャンピオンチームとなったグレシーニ・レーシングから、来季250ccクラスに参戦予定の二人のライダーの内、エミリオ・アルツァモーラは新型のサスペンションとタイヤのテストに専念し、一方新加入のロベルト・ロルフォはあくまでもHondaの特性に慣れる為の走り込みに徹した。

チーム・カネモト・Hondaのグールベルクは、ファクトリーの4気筒マシンに乗るのは今回が初めてで、一歩ずつ着実にペースアップを図っていったが、マシンにも慣れ、ペースを掴んだ結果、昨日までのタイムを更新する事に成功した。

テスト環境
日程:2001年11月29日(木)
場所:スペイン ヘレスサーキット(4.423km)
天候:晴れ
気温:23℃


バレンティーノ・ロッシのコメント
今日はサスペンションセッティングとタイヤ、パワーデリバリーに集中して、色々な事にトライしたんだ。だけどベストな解決策が見付からなかった領域もあったけどね。その中でリヤサスペンションのリンクを変えてみたんだけど、強力なエンジンブレーキのせいで起こるホッピングを解決するのに役立ったみたいだ。
いずれにせよこのマシンには凄くポテンシャルがあるし、今回のテストにはとても満足してるよ。これから今回のデータやリザルトをきちんと分析する必要があるけど、次回のテストまでには解決策が見付けられると信じてるよ。マシンの開発がいい方向に進んでいる手応えはあったし、次のテストが楽しみだよ。

宇川 徹のコメント
今回のテストでは、RC211Vの熟成に向けていいスタート が切れました。今回のテストで目標にしていた、自分自身の500ccでのタイムを上回るという事も達成できたし、良い結果だったと言えると思います。今はRC211Vに合うように少し乗り方を変える事にトライしています。250から500に乗り換えた時もライディングスタイルを変える必要があったけど、NSRからRC211Vへの乗り換えも大きな変化ですからね。
三日間のテストで僕は大体200ラップ位周回をこなして、ここですべきテストは全て消化することができました。今日はサスペンションとタイヤに集中してテストしたけど、満足の行く結果を得られたと思います。
とにかくこのマシンには凄いポテンシャルがあるし、乗る度に良くなっていくのが実感できるから、とにかく今は少しでも多くテストがしたいです。

加藤 大治郎のコメント
今日はサスペンションのセッティングを集中してやったけど、いまいち詰めきれなくて、フロントとリヤの両方にチャタリングが出てる。ただエンジンは大体いい感じになってきてて、バイクにも慣れてきた。でもまだまだやることはたくさんあるし、開幕戦はあっという間に来るから、どんどんテストを進めて行かないといけないと思う。
今回のテストの結果は悪くないけど、まだもっと良くなると思う部分がたくさんある。鈴鹿の時にはもっと完全な形に持っていきたいから、もっともっと走り込みたい。

エミリオ・アルツァモーラのコメント
この新しいサスペンションはなかなかいいね! 特に高速コーナーですごく僕好みの動き方をするんだ。バンプに乗り上げた時の収束もスムーズだし、感心する位だったよ。コーナー進入時の挙動も非常に読み易くて、気に入ったね。
今日は1分44秒9が何度か出たけど、単独走行だったことを思えば良いタイムだと思う。次回は12月初旬にバルセロナでのテストが予定されているけど、そこでは今回収集したデータを活かしてもっと煮詰めて行くよ。とにかく全般的に言ってすごく良いテストになったね。

ロベルト・ロルフォのコメント
今日はこの三日間で初めていいフィーリングが得られたから、すごく嬉しいよ。
初日はまずライディングポジションを調整する事に集中して、二日目は良いセッティングを見付けようと頑張ったんだけど方向性が違ったみたいで、転倒までしてしまったからね。
今日は今後のセットアップを進めて行く上での、僕のライディングスタイルに合ったベースセッティングが見付かったと思うよ。ただもっとマシンの特性を把握して、このバイクの強みを活かせるようにならないといけないけどね。
チームとその仕事ぶりには、特に満足しているよ。今日は61周してベストタイムは1分46秒1だったけど、これ位のタイムでなら一日中でも走れそうだよ。今の段階で一発のタイムを出しても何も意味が無いからね。
このテストで大事だったのは、NSRとチームの事を良く知ってなじむことだったけど、全てが良い方向に向っていると思うよ。

ユルゲン・ファンデン・グールベルクのコメント
今日の結果は昨日とさほど変わらないけど、まあちょっと良かったかな。
今日は昨日より色々な事にトライして、僕の乗り方に合うフロントタイヤを見付けたのと、フロントフォークに変更を加えたのが良かったみたいだね。
もちろんまだまだ課題はたくさんあるし、この三日間でのラップ数もあまり多くはなかったけど、何せマシンもタイヤもチームも何もかもが初めてのものばかりだったからね。
ラップタイムも伸びたけど、まあ今回はこのテストに参加できた事自体が一番大事な事だったね。ブリヂストンからはたくさんの貴重な情報をもらったし、逆に彼らの開発に必要なフィードバックも十分に提供できたと思うから、現状のタイヤのビハインドは埋められると思うよ。

HRC中田監督のコメント
鈴鹿を除くとGPが開催されるサーキットでの初めての テストですし、現役GPライダーによるテストという意味でも、鈴鹿では天気に恵まれませんでしたから、本格的なものとしては初めてに近く、非常に重要なテストでしたが、今回は三日間とも晴天に恵まれ、充実した内容になりました。
今回のテストではヘレスサーキットでのベストなセットアップを探る事が目的ではなく、あくまでもマシンの基本的な方向性を見付ける事が重要でしたが、その目的は達成できました。
バレンティーノと宇川の二人のライダー達も、常に積極的に主体性を持ってテストに取り組んでくれ、貴重な多くの課題を提示してくれました。
この先、複数のGP開催サーキットでのテストを予定していますので、そこで熟成を重ねていきたいと考えていますが、まずは好感触を得たと言えると思います。

HRC中島取締役のコメント
今回はRC211Vの初めての海外テストであり、しかもロッシと宇川が本格的にテストする最初でもあったので、テスト項目はかなりの多岐に渡ったが、ほぼ予定通りに全てのプログラムを消化する事ができた。
RC211Vは完全新設計のニューマシンであり、現在最も重要な事は目先のタイムではなく、むしろ逆に潜在的な問題点をクリアにする事だが、今回のテストでそれがかなり明確に見えて来た。
今後海外テストを重ねていく中でそれらの問題点を解決して行き、来年のIRTAテスト時には、ある程度完成形に持って行きたい。とにかくまだまだ課題はあるが、4月の開幕戦に向けて方向性は見えたと思っている。
また来季MotoGPクラスにステップアップする加藤については、期待していた通りの見事な滑り出しを見せてくれて嬉しく思っている。もちろんまだようやく第一歩を踏み出したところであり、本人もまだまだこのレベルで満足はしていないようだから、今後に更に期待している。

ラップタイム
V.ロッシ(RC211V) 1.43.1(49周)
宇川 徹(RC211V) 1.43.0(58周)
加藤大治郎(NSR500) 1.42.4(52周)
J.V.D.グールベルグ(NSR500) 1.44.1(37周)
E.アルツァモラ(NSR250) 1.44.9(54周)
R.ロルフォ(NSR250) 1.46.1(61周)
初日レポートへ2日目レポートへ