ブラジルGPは、87年にゴイアニアで最初の大会が行われ、以後、インテルラゴス(サンパウロ)へと舞台を移し、95年からはリオ・デ・ジャネイロのネルソン・ピケ・サーキットで開催されるようになり、今年で6回目の開催。過去の大会ではM.ドゥーハンが2勝、昨年はロッシが優勝とHondaにとっては相性のいいサーキット。今年もHonda勢の活躍に注目が集まった。
予選初日は、うす曇。しかし気温は29℃まで上がる初夏の陽気。フリー走行ではK.ロバーツ(S)がトップタイム。ロッシが2番手、地元ブラジル大会に闘志を燃やすバロスが4番手。午後の予選ではロッシが逆転で暫定PPを獲得。以下、バロスは5番手、カピロッシ7番手。クリビーレ9位、宇川14位と、好調なロッシをのぞけば、ほとんどの選手が昨年よりコンディションの悪化している路面に苦労することになった。
しかし、2日目の予選は、各チームともに、路面のギャップ対策を講じ、最終戦に相応しい激しい戦いとなる。フリー走行では、初日の好調を維持してロッシがトップタイムを叩き出したが、最後の予選は、1秒以内に13台という大激戦。PPを獲得したのは宇川で、今季初PP。カピロッシが2番手。ロッシが4番手。フロントローにHonda勢が3台と一気に上昇ムードとなる。しかも、その4台のタイム差がわずか0.3秒という接戦。クリビーレは14位に落ちたが、タイム差はわずか。グリッドに並んだすべての選手に優勝のチャンスがあると言ってもいい状況だった。
2日間の予選は、こうして、ともにドライコンディション。気温も26℃から30℃前後というまずまずの天候の中で行われた。しかし、決勝日の朝は、断続的に雨が降るというウエットで迎えることになった。
ウォームアップはウエットコンディション。最初の決勝レースとなった125ccクラスはウエット。250ccクラスはウエットからドライへと変化する戦い。そして今シーズン最後のレースとなった500ccクラスは、辛うじてドライコンディションでスタートが切られることになった。
好スタートを切ったのは、予選3番手のK.ロバーツ(S)。1コーナーではO.ジャック(Y)が転倒、それに中野真矢(Y)が巻き込まれるというハプニング。しかし、それをクリアした宇川、カピロッシが続いた。そして2周目にPPの宇川がトップに浮上。さらにロバーツ(S)が逆転という激しい首位争いとなったが、4周を終えた時点で雨が降って赤旗中断。レースは「ウエット」宣言がされて第2ヒートが行われることになった。
路面は湿った状態。空は厚い雲が覆い、いつ雨が降ってもおかしくない不安定な状態。グリッドにならんだ選手は、思い思いのタイヤをチョイスしてレースに挑むことになった。
そして第2ヒートで好ダッシュを見せたのが、ロッシ。フロントにインターミディ。リヤにカットスリックというタイヤ選択でぐいぐいとペースアップ。しかし、次第に路面が乾き始め、フロントにカットスリック、リヤにスリックを選択したチェカ(Y)とビアッジ(Y)がロッシに迫る。以後、この3人の戦いとなり、終盤にはチェカ(Y)とロッシの一騎打ちとなり、最後はチェカ(Y)が先着。ロッシはチェカ(Y)の背後をピタリとマークして2番手でフィニッシュしたが、第1ヒートのタイム差で、ロッシがチェカ(Y)を0.143秒抑えて今季11勝目を飾ることに成功した。3位にはビアッジ(Y)。
前半、この3人と首位争いに加わった地元のバロスは、思うようにペースが上がらず4位。カピロッシ5位。クリビーレが7位という結果だった。宇川は第2ヒートの序盤に転倒。リタイヤとなった。
250ccクラスの決勝は、ウエットからドライへと変化する難しいコンディション。ほとんどの選手が前後にカットスリックを装着。もしくはリヤタイヤのみスリックというタイヤ選択でグリッドに並んだ。好スタートを切ったのは、予選2番手の加藤大治郎。それにR.ロカテリ(A)、J.マックウィリアムス(A)、M.メランドリ(A)、原田哲也(A)、F.ニエト(A)と続く大接戦。ライン上が乾き始めるとペースは上がり、しかもラインを外せないという、選手にとっては、抜きにくく、集中力を要求される戦いとなった。
中盤はロカテリ(A)、原田(A)、メランドリ(A)と目まぐるしくトップが入れ替わる。その中で加藤は積極的な走りで確実にポジションアップ。ラスト3周でトップに浮上すると、追いすがるメランドリ(A)とロカテリ(A)を突き放して今季11勝目。GP史上シーズン最多勝利記録を20年ぶりに更新する快挙を達成。この優勝でコンストラクターズタイトルも決まった。
125ccクラスはウエットレース。宇井陽一(D)が今季6勝目。2位にS.サンナ(A)。3位にヴァンサン。
最終戦を終えてHondaは、500ccと250ccクラスの個人タイトルを獲得。コンストラクターズタイトルでは、3クラスを制覇した。また、500ccクラスは今年最後のシーズン。来季からは4ストロークGPマシンが参加する「MotoGP」クラスとしてスタートする。
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