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今回のHRCテストは三日間の日程で行われているが、2日目の今日、RC211Vに関しては、マシンの挙動の安定化を主要課題に、サスペンションセッティングからタイヤ、ブレーキ、エンジン等全域に渡って様々な仕様がトライされた。
バレンティーノ・ロッシと宇川 徹は、4.423kmのヘレスサーキットを、二人合わせて136ラップし、ベストなマシンセットアップを探った。
ロッシは、チームと共に、RC211Vの性能を把握するために様々な方向からのトライを行い60ラップをこなしたが、タイムとしては前日のベストを更新することは無かった。
今日の宇川は、コーナー進入時のスムーズな挙動を得るための足回りのセットアップに集中し、トータルで76周を消化、ベストラップは1分43秒6だった。

グレシーニ・レーシングの加藤大治郎は、NSR500の180馬力を越すパワーにもまるでひるむ様子も無く、すっかり自分のものにしている。 加藤は身長162cm、体重51kgと小柄だが、今日までのテストでは、その彼の体格に合うように、ポジションや重量配分等のマシンの基本的なセッティングを探る事に専念している。

チーム・カネモト・Hondaのグールベルクは、来期に向けたブリヂストンタイヤの開発を中心に、NSR500で2時間半のセッションをこなし、テストの最終ラップで一度転倒があったものの、けがは負わずにテストを終えた。
テスト環境
日程:2001年11月28日(水)
場所:スペイン ヘレスサーキット(4.423km)
天候:晴れ
気温:22℃


バレンティーノ・ロッシのコメント
基本的にマシンは、鈴鹿テストの時と比べるとポジションが改善されていて乗り易いし、トラクションも良くなっている上にパワーも向上している。
ただ昨日は良いセッティングを見付けられたと思ったけれど、今日同じ方向性でテストを進めている中であまり良いタイムは出せなかった。現状の問題点は、コーナー進入時に強いエンジンブレーキの影響でマシンが少し神経質な動きをする事と、コーナー中盤でのスロットルコントロールが難しく、ハードに開けていくとリヤがスライドしてしまう事。路面も改装されていて今回初めて乗るから、何が原因なのか今ひとつ確信が持てていない。タイヤの問題ではないかと思うが、そうであればミシュランががんばって解決してくれると思う。
明日は乗り慣れたNSR500で何周か走ってみて、グリップの問題の原因を探ってみようと思う。どちらにしてもRC211Vでは試してみるオプションがまだまだたくさんあるので、これから全てトライしていく。
クリスマス前にはフィリップアイランドでのテストもあるし、そこでもたくさんの事をやらなければならない。テストは暖かい所でやるのに限るし、あそこは間違いなく暖かいからね。
宇川 徹のコメント
今日のラップタイムは2ストローク勢とあまり変わらない内容で、もう一つ伸びなかった。
色々な事を試したんだけど、セットアップがいまいち決まらなかった。もちろんRC211VはNSRより速くなると思うし、本当に乗り易いから凄くポテンシャルはあると思う。エンジンブレーキは2ストと比べたらやはりかなり強いから、多少扱いは難しい。とにかく減速は強烈で、コーナーの進入毎にリヤホイールが浮いてしまうので、少し挙動が不安定になっているんだけど、それでも前回テストした時と比べたら、その部分も確実に良くなってきている。
明日も安定性アップに向けて、サスとタイヤの組み合わせを色々トライするよ。そうすればもっともっと開けて、今まで以上にアグレッシブに攻められるマシンだと思うしね。とにかく間違いなく良い方向に向かっているし、明日はもっと良くなると思うよ。
加藤 大治郎のコメント
基本的に、マシンがもっと自分の思い通りに動くようにするのに、まだまだ走り込む必要がある。昨日よりも良くなってるけど、今日の時点でもまだセットアップが完全に自分のものになってない。ただ、とにかく全くの新しいマシンだから、あまり急に大きくいじらないで、ちょっとずつ色々トライするようにしている。だからタイムや何かにはまだまだ満足してないし、まだいけると思う。
エミリオ・アルツァモーラのコメント
今日は新しいキャブのテストをしていたので、ピットに出たり入ったりだった。でもある程度目処がついて、マシンはいい感触になった。明日は新しい前後サスと、それに合うタイヤのテストをするから、その為にも今日の作業は重要だった。
ロベルト・ロルフォのコメント
NSRはいままで乗っていたアプリリアとは全然違って、特にサイズがとてもコンパクトなので、まだすっかりなじんだとまではいかない。今は少しずつ進めているよ。エンジンはコーナー立ち上がりでアプリリアよりずっといいし、乗りやすい。今日は1コーナーでちょっと転倒してしまったけど大丈夫。明日は本当に攻め込む前に、もう少しバイクに慣れる為の時間を取るよ。
ユルゲン・ファンデン・グールベルクのコメント
まとまりが出て来たね。シャシーに関してもパワーについてもいい感触になってきたし、昨日から着実にまた一歩先に進んだと思う。今は僕がマシンに慣れるのと併行してタイヤテストに集中していて、一本とても良いリヤタイヤが見付かったよ。ただフロントをリヤほどまめに交換してなかったら、最後の周の、それもピットイン直前にフロントからスリップダウンしてしまった。ストレートエンドの低速コーナーだったから怪我は無かったけど、気分は良くないよね。パワーデリバリーは今シーズン乗っていた3気筒とは全然違う感覚だけど、乗るたびになじんできている。タイヤについては、路面が改装されていることもあってデータが無いので、しっかり時間をかけて色々試しているんだ。
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ラップタイム |
V.ロッシ(RC211V) |
1.43.3(60周) |
宇川 徹(RC211V) |
1.43.6(76周) |
加藤大治郎(NSR500) |
1.42.6(55周) |
J.V.D.グールベルグ(NSR500) |
1.45.3(38周) |
E.アルツァモラ(NSR250) |
1.45.00(48周) |
R.ロルフォ(NSR250) |
1.46.7(26周) |
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