渓流ルアーフィッシングの強みは、ルアー1つで次々と新しい場所をねらっていけること。そこで、1つのポイントでヤマメやイワナの追いが見られなかったら、何回もキャストして粘るよりも、早めに見切りをつけて次々に新しいポイントを釣っていくほうが、結果的に多くのヒットを得られることが多い。つまり、足も積極的に使ってどんどん釣り上がっていく。
ヤマメやイワナは、川のどんな場所で釣れるか、その日によってある程度の傾向が見える場合が多い。たとえばある程度の水深がある「淵」でよく釣れるのか、それとも淵と淵の間にあって、波立ちのある「瀬」の中でよく釣れるのか、意識しながら釣り上がっていると、「今日は淵での反応がよいので、途中の瀬はあまりしつこくねらわず、どんどん新しい淵を見つけて釣ってみよう」といったペース配分の判断ができる。
もちろん、そのためにもまずはキャストが正確にできることが必要。キャストが思い通りに決まり、しっかりルアーを通したけれども反応がないと確認したところで、「ここは粘らず、次のポイントを探ってみよう」と判断していく。
逆に一度でヒットさせられなくても、ルアーを追いかけてくる魚の反応が確認できたら、そこはある程度粘ってキャストするとよい。魚が途中まで反応してきたのなら、魚が元いた場所まで戻ったところで、もう一度同じコースにルアーを通してみる。それで反応がない場合は、レンジといって、ルアーを通す層(深さ)を少し変えるとよい。特に淵のような水深のあるポイントの場合、着水後にリールを巻き始める時間を少し遅らせ、レンジを下げて同じコースを通すと食い付いてくることがよくある。
シンプルな道具でテンポのよい釣りを楽しめる渓流のルアーフィッシングで、美しいトラウトとの出会いをぜひ楽しんでほしい。