アワセが決まり、タチウオの心地よい重量感が感じられたら、あとは落ち着いて魚を取り込む。その時、最後までタチウオの鋭い前歯でケガをしないよう、安全に取り込むことが大切だ。自分はもちろん、周囲の人が暴れたタチウオでケガをしないようにすることも心掛けたい。
タチウオはハリに掛かると、バックするようにして強く引き込む。この時は無理にリールを巻かなくてよい。魚からの感触を楽しむくらいの余裕を持ち、ふっと抵抗が弱まった瞬間に巻き始めよう。「綱引きをしない」のがコツだ。
あとは、テンビンが海面に現われるまでリールを巻く(逆に巻きすぎないように注意する)。そのままサオを持ち上げてまずテンビンを掴んだら、ラインを緩めないように意識しつつサオを船べりに置き、続けてテンビンも近くに置きつつ、最初に上のほうのハリスを掴む。そこから反対の手でも下のほうのハリスを掴んで準備を整えたら(これでタチウオが海面近くに見えている状態)、最後は両方でハリスをつまんだ状態で、遠心力を利用して一気に船内にタチウオを抜き上げる。
一見すると乱暴に見えるが、これがタチウオに計算外の暴れ方をさせない基本の取り込み方。もちろん、隣の人がすぐ横にいる時は、抜き上げる時に充分な距離があるか確認しておく。タチウオは船上に抜き上げられると比較的おとなしいので、あとはフィッシュグリップまたは素手で首をしっかりつかみ、頭から海水を張ったバケツにまず入れ、釣りが一段落したタイミングで氷(少し海水を入れた潮氷がよい)を入れたクーラーに早めに移す。これで釣ったタチウオを鮮度のよい状態で美味しく持ち帰ることができる。