STEP :
AM 7:00
あっという間にダブルヒット! でも…

あっという間にダブルヒット! でも…

銀色に輝くその魚は?

ふたりがボートの中央近くに、野崎さんが船尾に座って、芦ノ湖のヒメトロがスタートした。思ったよりも船足は遅く、人がゆっくり歩く感じ。
開始5分。左舷のサオがググっとお辞儀をした。あまりに早い展開に、ふたりは「ホントに魚?」という表情。
「おい、きてるぞ!」と野崎さん。
落合さんがあわててロッドホルダ-からサオを取り上げた。
「口が切れるからゆっくり巻けよ」
サオの弾力を活かすようにして丁寧にリールを巻き上げる。胴調子の長いサオが何度か大きく絞られた。それにしても、あっという間のファーストヒット。落合さんも松邨さんも笑いが止まらない。
開始5分。まさかのダブルヒットに笑いが止まらない。でも、釣れたのはお目当てのヒメマスではなくサクラマスだった
開始5分。まさかのダブルヒットに笑いが止まらない。でも、釣れたのはお目当てのヒメマスではなくサクラマスだった
群青色の湖水から銀白の美しい魚が上がってきた。小気味よい引きがふたりを楽しませてくれた
群青色の湖水から銀白の美しい魚が上がってきた。小気味よい引きがふたりを楽しませてくれた
次々と掛かってくるサクラマス。時には、2本のサオで同時に食ってくることも…。野崎さんの言葉どおり、サクラマスの活性がとても高かった
次々と掛かってくるサクラマス。時には、2本のサオで同時に食ってくることも…。野崎さんの言葉どおり、サクラマスの活性がとても高かった
あがってきたのは美しい銀色に輝く25cmほどの魚。それも2本のハリに2尾かかっている! いきなりのダブルヒットに、ふたりのボルテージはさらにアップ。

「あぁ、やっぱりサクラだな。こいつは掛かると結構暴れるから、それにつられてもう1尾掛かってきちゃうんだ」と野崎さん。ヒメマスではなかった。やはり漁協が増殖に力を入れているサクラマスだ。
「この春に稚魚で放したやつが半年でこれくらいになるんだよ。来年には40cmまで育つから、できるだけリリースしてほしい。深場から釣り上げるんで水面に来た時には弱ってしまうのも多いんだけどな」との言葉に、落合さんは手際よくリリース。
プランクトンや小魚を貪欲に食べるので成長が速く、ルアーにも反応がいいらしい。これが40cmになったらどんなに楽しいだろう。サクラマスはこの後も、トロウリングに次々と掛かってきた。

今年の芦ノ湖は、ヒメマスが不調だったとか。
沖のトロウリングで数釣りができる、ピークの期間を迎えることもなく、秋が近づいても状況が変わらない。
例年は、10月頃になると湾内の湧水などに、婚姻色で真っ赤になったヒメマスが群れになって押し寄せる。
それは、水の中に赤い大きな帯が伸びていくようで、秋の風物詩となってきた。漁協の方によれば今年はそれが見られないかも…とのこと。
ヒメマスは孵化して4年で成熟するのだが、今年の成魚が生まれた4年前の自然条件や放流条件が影響しているらしい。

ヒメマスは御機嫌ななめ。でもビッグなニジマスが!

ヒメマスがなかなか掛からないので、野崎さんの指示でふたりはタナを変えてみた。最初は16m~18mだったのを、34mに落としていく。こういった小まめなチェックも釣果を大きく左右する。
「野崎さんの話では、芦ノ湖みたいに水の透明度が高い湖だと、日差しが強くなってくると食わなくなるんだそうです。本当は曇りのほうがいいって。それで少し深いところも探ってみたんですよ」
しかし、深くしても食ってくるのはサクラマスばかり。野崎さんの言うように、この水深から一気に引き上げられたサクラマスの何尾かは、水圧の急変で弱ってしまい、リリースに耐えられなかったので、無駄にせず食べてみることにした。

結局、芦ノ湖の女神、ヒメマスは微笑んでくれなかった。とはいえ、掛かってきたサクラマスは十数尾! 芦ノ湖の豊かさを実感だ。
ボートの脇で水飛沫を上げたのは40cmを超える大もの! フライフィッシングが大好きな松邨さんが思わず「でっかいニジマスだ!」と叫んだ
ボートの脇で水飛沫を上げたのは40cmを超える大もの! フライフィッシングが大好きな松邨さんが思わず「でっかいニジマスだ!」と叫んだ
最後にニジマスかブラウンを…と、舵を転じた野崎さん。そのねらいは見事的中で松邨さんのサオが大きく引き込まれた。さて、掛かったのは?
最後にニジマスかブラウンを…と、舵を転じた野崎さん。そのねらいは見事的中で松邨さんのサオが大きく引き込まれた。さて、掛かったのは?
九頭竜神社に手を合わせて釣運向上を…と企てたふたり。御利益があるかどうかは別にして、この光景には心が洗われる
九頭竜神社に手を合わせて釣運向上を…と企てたふたり。御利益があるかどうかは別にして、この光景には心が洗われる
最後にビッグワンを手にしたふたり。ヒメマスには逢えなかったけれどトロウリングを満喫です
最後にビッグワンを手にしたふたり。ヒメマスには逢えなかったけれどトロウリングを満喫です
ここで、ふたりから妙なリクエストが出た。
「野崎さん…ちょっと湖尻のほうに行っていただけませんか? 九頭竜神社って水の神様だと聞いたので、湖上から手を合わせたいな…と。そうしたら僕らも少しは釣りがうまくなるような気がするんですが」
呆気にとられた野崎さん。
「まぁ、あの鳥居周りは浅いからヒメトロする場所じゃないけどな。行ってみるか…」と、苦笑いしながらボートを加速する。元箱根湾の箱根神社と同じように湖水に立った赤鳥居の脇をゆっくりと走る3人のボート。さて、御利益はあるでしょうか…。

「じゃ、最後にニジマスブラウンでも狙ってみるか…」
野崎さんがふたりを気遣って、ポイントとコースを変更した。ヒメマスに比べ少し船足は速くなった感じ。コースも岸に近づいた。

開始10分。すごい勢いでサオ先が引き込まれる。飛びついたのは松邨さんで、サクラマスとは違う大きなストロークでサオがお辞儀をした。
「いいサイズですよ。なかなか寄ってきません」
フライフィッシングの経験が豊富な彼もちょっと緊張のようす。ボートの脇で大きく水飛沫を上げたのは40cmを軽く超える精悍なニジマスだった。野崎さんの狙いが的中したわけで、その読みの確かさにふたりは脱帽。
大ものを手にして大喜びのふたりに、「じゃ、そろそろワカサギに行くか…」と野崎さん。こうして、ふたりのヒメマスチャレンジは幕を閉じた。

箱根の献上ワカサギが鈴なり!

湾内でエサなしで爆釣という嬉しいターゲット

ふたりは、いったん桟橋に戻って、ワカサギ用の手こぎボートに乗り換える。この釣りでは、ポイントを決めたら、アンカー(船を留めるためのコンクリート製のイカリ)を降ろすので、その要領やイケスの使い方を、野崎さんにひと通り教わろうというのだ。
「今なら水深12mくらいの場所がいいんじゃないかな」と、野崎さんは100mほど沖を指さす。そこではすでに2艇のボートがワカサギ釣りを楽しんでいた。
ヒメトロから戻ったふたりは桟橋で、手こぎボートの使用法を教わった。船首にあるストッパーは、アンカーのロープを固定するために不可欠なもの
ヒメトロから戻ったふたりは桟橋で、手こぎボートの使用法を教わった。船首にあるストッパーは、アンカーのロープを固定するために不可欠なもの
この釣りは秋から冬のイメージが強いが、芦ノ湖では7月末にシーズンが始まる。
"カラバリ"と言って、エサをつけずにハリだけの仕掛けでワカサギが釣れるのがこの湖の特徴だ。ミミズや虫を触らずにすむので女性や子どもにも人気がある。

他のボートでは女性ファンが大きなワカサギを1度に5、6尾釣り上げ、歓声があがっていて、ふたりのモチベーションも一気にアップ!
なかなかアタリが来ないふたりを見て、フィッシング・ショップ・ノザキのスタッフがいいポイントに案内してくれた
なかなかアタリが来ないふたりを見て、フィッシング・ショップ・ノザキのスタッフがいいポイントに案内してくれた
しかし、なかなかアタリが来ない。それを桟橋から見ていたフィッシング・ショップ・ノザキのスタッフがやってきて、ちょっと離れた別のポイントに引っ張っていってくれた。
するとすぐに反応が…。仕掛けをゆっくりと降ろして、湖底に着いたら軽く張って、上下に誘いをかける。
落合さんに5尾の多点掛けだ。しばらくして仕掛けを2本つないでみると、鈴なりが連発!
いやぁ、プロのアドバイスってすごい。
落合さんが多点掛けを連発! それも良型ばかりだ
落合さんが多点掛けを連発! それも良型ばかりだ
野崎さんが勧めてくれたのは、堤防の五目釣り用の仕掛けだった。エサをつけずに仕掛けをそのまま降ろして誘いをかければいいという
野崎さんが勧めてくれたのは、堤防の五目釣り用の仕掛けだった。エサをつけずに仕掛けをそのまま降ろして誘いをかければいいという
オススメのタックルはコレ!
写真上はダイワの『クリスティア ワカサギ CR(カウンターリール)』に『クリスティアワカサギ穂先』をセットしたタックル。
カウンター機能付きなので、ヒットした水深が分かり便利。

下はシマノ『ワカサギマチック DDM』と『ワカサギマチックシステム穂先』の組み合わせ。コンパクトな設計で手によく馴染む。こちらもカウンター機能付きで、群れを逃がさない。 両方とも最新の電動タックルだ。
「アタリがあってもすぐに引き上げずに、イトを張ったまま待っていると次々と掛かるんだよ。どんどん重くなっていく感じがたまらないねぇ」と落合さんが、1、2尾ずつしか掛からない松邨さんにガイドする。
そして、ここでもタナの大切さを知ったふたり。
「14mくらい(の水深)を釣っているとサイズがいいんです。でも、12mくらいに上げてくると小さくなるものの数が釣れるようになります。どっちを選ぶかも作戦のうち。それに群れで移動しているようで、食いが立った時に効率よく釣り上げることが、数を伸ばすコツみたいですね。ワカサギ釣りも奥が深い。MISSION 6の際に、山中湖でも大型のドーム船で楽しみましたが、自分でポイントを移動できるこのボートの釣りは違った魅力がありますね」

1時間ほどで、ボウル1杯分くらいのワカサギをゲット。
銀白に輝く箱根の献上ワカサギだ。芦ノ湖では毎年10月にワカサギの刺し網が解禁になり、それが献上されるという。ということは、今回、一足先に味わってしまうわけで…。
いずれにしても、お土産は充分過ぎるくらい確保。子どもたちの笑顔が目に浮かぶふたりだった。
アタリがあってもすぐに巻き上げず、ミチイトを張ったまま続けてかかるのを待つのがコツだとか…
アタリがあってもすぐに巻き上げず、ミチイトを張ったまま続けてかかるのを待つのがコツだとか…
これが芦ノ湖の「献上わかさぎ」。その旨さは広く知られている
これが芦ノ湖の「献上わかさぎ」。その旨さは広く知られている
結局、ふたりは短時間でこれだけのワカサギをゲット!サイズも色ツヤもベスト。キャンプ場で待つ家族に最高の土産になった
結局、ふたりは短時間でこれだけのワカサギをゲット!サイズも色ツヤもベスト。キャンプ場で待つ家族に最高の土産になった
※撮影:浦壮一郎
※このコンテンツは、2012年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。