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AM 6:00
師匠は、芦ノ湖を代表するすご腕フィッシャーマン

師匠は、芦ノ湖を代表するすご腕フィッシャーマン

うれしいサプライズ。ワカサギにも挑戦!

フィッシング・ショップ・ノザキは、人気ポイント元箱根湾にある老舗ボート店。貸しボートだけではなく、入漁券からエサ、各種ルアー&フライ、サオからリールまで、芦ノ湖の釣りに関するすべてが揃っている。何よりも、そのすべてが野崎さんの厳しい目で選ばれたものだから、芦ノ湖でイイ想いをしようと思ったら、ここを訪ねるのがいちばんの近道だ。

野崎さんは満面の笑顔でふたりを迎えてくれた。編集長から聞いていたとおり、頼りになる親分って感じ。
釣れずに帰ってきた子ども客がいると、好ポイントに連れていき、思い出の1尾を釣らせる心やさしい店主だ。だから、親子2代の客も少なくないとか。
ヒメマスを釣りたいんだって? このところ、ちょっと調子が悪いんだけどな。まぁ、やってみるか。ニジマスとかブラウントラウトサクラマスが釣れるかもしれないしなぁ。まず、コーヒーでも飲みながら、釣りの説明をするから…」
ちょっぴり緊張していた落合さんと松邨さんだが、気さくな野崎さんにすっかりリラックス。店内にはさまざまな写真が貼ってある。目を凝らすと、そこにはテレビでよく見る芸能人や人気のスポーツ選手が…。みんな魚を手に楽しそうに微笑んでいる。
野崎さんが、ヒメトロ初心者のふたりにやさしくレクチャー。ここで腕を上げていった釣り人は数知れず…まさに「野崎道場」だ
野崎さんが、ヒメトロ初心者のふたりにやさしくレクチャー。ここで腕を上げていった釣り人は数知れず…まさに「野崎道場」だ
野崎さんは、芦ノ湖のスポークスマンとして、何十年も前からいろいろな取材、イベント協力などを一手に引き受けてきた。昨年、そんな野崎さんが芦之湖漁協の組合長に就任。ゲームフィッシングのメッカとしてファンの熱い視線を集めている。
野崎茂則(のざき・しげのり)さん
野崎茂則(のざき・しげのり)さん
「フィッシング・ショップ・ノザキ」のオーナーであり芦之湖漁業協同組合長。
30年以上にわたって、月刊『つり人』や『FlyFisher』など釣り雑誌でも活躍してきた。
芦ノ湖を最もよく知るエキスパート。
フィッシング・ショップ・ノザキ
〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根78
Tel&Fax:0460-83-6167
https://fs-nozaki.com/

ヒメマスのトロウリング。だから「ヒメトロ」

ヒメトロ用品はシンプルだ。トロウリング用ロッドに両軸リール、集魚効果のある仕掛け…といったところ。仕掛けは湖によって差があるので、最初は現地で入手したほうがいい
ヒメトロ用品はシンプルだ。トロウリング用ロッドに両軸リール、集魚効果のある仕掛け…といったところ。仕掛けは湖によって差があるので、最初は現地で入手したほうがいい
ヒメマスのトロウリングでは独特の仕掛けを使う。
ミチイトの途中に大きなプロペラを付けたり、仕掛け全体を躍らせるためのドジャーという潜行集魚板を付けたりする。ヒメトロ初体験のふたりは興味津々、野崎さんの話に釘づけだ。

この日は、野崎さんが操船してくれることになった。編集長の言うとおり、いきなりすべてを自分達で…というのはあまりにもハードルが高い。
流すコースやスピード、アタリの捉え方など、野崎さんの実地指導を受けられるというわけで、これならヒメマスに会えるかもしれない。
ここで野崎さんが嬉しい提案をしてくれた。
「釣れた魚を知り合いに届けるって言ってたな。だったら、ヒメトロの後で少しワカサギもやっていけよ。ここのは献上ワカサギって言って、宮内庁にお届けしている高級魚だから喜ばれるぞ。目の前の元箱根湾で釣れるし、今ならサイズもいい。大丈夫、お前らでも釣れるよ」
もちろん異論はございません。笑顔でうなずくふたり。芦ノ湖の女神と妖精を両方追いかける贅沢なプランに変更だ!
野崎さんが教えてくれた、
「ヒメトロ」の道具
【ヒメマスの仕掛け】ヒメマスの仕掛けは、ヒメペラとドジャー、オモリ、ハリをワイヤでつないだシンプルな構成
【ヒメマスの仕掛け】
ヒメマスの仕掛けは、ヒメペラとドジャー、オモリ、ハリをワイヤでつないだシンプルな構成
【カウンター付き両軸受けリール】ヒメマスはタナの釣り。そのため、カウンターのついた両軸受けリールを使う。ミチイトの長さを正確にチェックしながらアタリを待つのだ
【カウンター付き両軸受けリール】
ヒメマスはタナの釣り。 そのため、カウンターのついた両軸受けリールを使う。ミチイトの長さを正確にチェックしながらアタリを待つのだ
【ヒメペラ】ヒメペラは水中でクルクル回って光を放ち、ヒメマスを誘う
【ヒメペラ】
ヒメペラは水中でクルクル回って光を放ち、ヒメマスを誘う
【ドジャー】湖のトロウリングでしばしば使われるドジャーと呼ばれる潜行板。水の抵抗で左右に動いて魚を誘う
【ドジャー】
湖のトロウリングでしばしば使われるドジャーと呼ばれる潜行板。水の抵抗で左右に動いて魚を誘う
【ヒメトロオモリ】ノザキオリジナルのヒメトロオモリ。水の抵抗を計算し、ねらったタナを正確にトロウリングできるような形状に仕上げられている
【ヒメトロオモリ】
ノザキオリジナルのヒメトロオモリ。水の抵抗を計算し、ねらったタナを正確にトロウリングできるような形状に仕上げられている
【赤いハリス】ヒメマスは赤い色を好むので、赤いハリスを使用する。エサは紅サシなど。掛かっても口が切れやすいので、ていねいな取り込みが大切だ
【赤いハリス】
ヒメマスは赤い色を好むので、赤いハリスを使用する。エサは紅サシなど。掛かっても口が切れやすいので、ていねいな取り込みが大切だ

ヒメマス釣りはタナ捜しから

秋の芦ノ湖は絵画のような美しさ

野崎さんのお店で仕掛けのほかにトロウリング用のロッドやリール、道具一式を借りて桟橋へ…。湾内にはすでにワカサギ釣りのボートが浮いていた。
トロウリングに使うボートは、ゆったりとしていて、真ん中にイケスがついていた。船底を通じて水が出入りするようになっていて、魚を生かしておける。

芦ノ湖では、他湖に先んじて、湖水を汚さない船外機や生分解性のエンジンオイルを採用してきた。このボートも例外ではなく、Hondaの4ストロークの船外機が取りつけられていた。
こういった地道な努力が、美しい湖水と魚たちを守っているのである。桟橋を離れたボートはスピードを増して沖に向かった。箱根神社の赤鳥居から山のホテル前…と、ルアーフィッシングの名ポイントを通過していく。

空は真っ青。山はまだまだ緑深く、ため息がでるほど美しい。もう少しすれば徐々に紅葉が始まり、やがて冠雪した富士山も楽しめるようになるだろう。
芦ノ湖名物の海賊船をバックに、秋の気配が漂い始めた湖上を進んでいく
芦ノ湖名物の海賊船をバックに、秋の気配が漂い始めた湖上を進んでいく
フィッシング・ショップ・ノザキから桟橋までは徒歩1分。いよいよ出船だ
フィッシング・ショップ・ノザキから桟橋までは徒歩1分。いよいよ出船だ

湖を三次元で考える釣り

タナが決まったら、仕掛けを伸ばして、トロウリング開始。見事な風景を眺めながらの湖上クルーズは本当に気持ちいい。「優雅な釣りなんですね」と落合さん
タナが決まったら、仕掛けを伸ばして、トロウリング開始。見事な風景を眺めながらの湖上クルーズは本当に気持ちいい。「優雅な釣りなんですね」と落合さん
仕掛けの説明からエサの付け方まで…船上の野崎道場が続いていく
仕掛けの説明からエサの付け方まで…船上の野崎道場が続いていく
野崎さんが魚探をにらみながらゆっくりとボートを蛇行させた。この日のタナ(魚の遊泳層)を探り出しているのだ
野崎さんが魚探をにらみながらゆっくりとボートを蛇行させた。この日のタナ(魚の遊泳層)を探り出しているのだ
しばらく進むと、野崎さんは速度を落としてボートをジグザグに走らせ始めた。
ヒメマス釣りはタナ(魚の泳層)を把握しないと始まらない。魚探をにらみながら、魚の反応がある場所を探っていくのだ。魚探の見方、画面に現れる変化を、ふたりに教えながら10分、20分…。3人の表情が緩み始めた。どうやら魚の反応があったらしい。
仕掛けを水中に降ろして、ゆっくりとミチイトを伸ばしていく。所定の深さに達したら、ボートの左右に取り付けられたロッドホルダーにサオを1本ずつ差し込めば、準備はOKだ。

「リールについたカウンターで水深を計るんですけど、ねらう深さに2m足した長さまでイトを出しました。ボートが走り出すと、水の抵抗で、イトや仕掛けが浮き上がるので、その分長めにするんだそうです」と落合さん。

ヒメマス釣りは、広い湖にどんなスピードでどんなコースを描いてボートを走らせるかという二次元の展開に、魚がいる深さを読んでタナを設定するという要素が加わる、いわば三次元の釣り。野崎さんの熱い説明に、ふたりは超真剣モードだ。
※撮影:浦壮一郎
※このコンテンツは、2012年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。