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AM 8:00
快適な湖上空間

快適な湖上空間

平日なのに満席!! ドーム船は極上空間だった

富士山の絶景を満喫した4人が向かったのは、旭日丘観光。ドーム船ブームの先駆けとなった老舗ボート店だ。
「釣れてるよぉ。昨日なんて初めての人でも100尾くらい」
そんな声に4人の顔が明るくなった。桟橋で大型のボートに乗って、沖の好ポイントに停泊するドーム船に向かう。

「見て!」

齋藤さんが叫んだ。ほぼ無風の湖面に、雪帽子の逆さ富士と雲が現われてまさに名画のよう。そこにたたずむドーム船はまるで空に浮いているようだ。
「信じられない…こんな風景が見られるなんて…」
茶畑さんも感無量のようす。
まさに絶景。静かな湖面には逆さ富士と白雲が揺らぎ、まるで空に浮いたようにドーム船が佇んでいた。冬は空気が澄んでいるので美しさが一層際立つ
まさに絶景。静かな湖面には逆さ富士と白雲が揺らぎ、まるで空に浮いたようにドーム船が佇んでいた。冬は空気が澄んでいるので美しさが一層際立つ
【取材協力】旭日丘観光
〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村旭日丘506-296
http://asakan.gr.jp/
旭日丘観光の受け付けで入漁券と乗船手続きを済ませる。ここでエサや仕掛け、レンタル用具も手配可能。至れり尽くせりのサービスなので、初心者でも、手ぶらでもまったく心配ない
旭日丘観光の受け付けで入漁券と乗船手続きを済ませる。ここでエサや仕掛け、レンタル用具も手配可能。至れり尽くせりのサービスなので、初心者でも、手ぶらでもまったく心配ない
桟橋からボートに乗って沖に停泊するドーム船に向かう。「目の前に富士山がそびえるし、湖面は静かだし、ホントに気持ちいいね!」。このサービスがあるので、釣りの開始時刻も撤収も自由自在なのだ
桟橋からボートに乗って沖に停泊するドーム船に向かう。「目の前に富士山がそびえるし、湖面は静かだし、ホントに気持ちいいね!」。このサービスがあるので、釣りの開始時刻も撤収も自由自在なのだ
ドーム船に到着すると、すでに先客がいっぱい。ほとんどが家族やカップルだ。見ているうちにもあちらこちらでワカサギが躍り、歓声があがる。
「今日って平日だよね。この賑わいってすごくない?」と落合さん。
「これからしばらくは平日も予約でいっぱいですよ」と、堀内雄仁船長が笑う。

今回、乗せていただいたのは新造された2号船。広々とした室内や、広大なガラス窓など、これまでの快適さはそのままに、回転イスの設置など新たな工夫が各所に加えられている。
「室内禁煙、飲酒禁止など、子ども連れや女性が心地よく楽しめるルール作りも徹底してるね。トイレもきれいでびっくりした。フリードリンクで温かなコーヒーや紅茶もサービスだし、予約でいっぱいという人気ぶりも納得できるよ」と落合さん。
桟橋から3分ほどで水深15m前後の実績ポイントに停まっているドーム船に到着。しっかり横付けしてくれるので、子どもや女性でも安心して乗り移ることができる
桟橋から3分ほどで水深15m前後の実績ポイントに停まっているドーム船に到着。しっかり横付けしてくれるので、子どもや女性でも安心して乗り移ることができる
見てください! この眺望。釣座の正面にまっ白な帽子をかぶった富士山が現れるんです。これこそ至福のひととき。つり女子も大感激でした
見てください! この眺望。釣座の正面にまっ白な帽子をかぶった富士山が現れるんです。これこそ至福のひととき。つり女子も大感激でした

釣りまくる女子、口数の減る男子

キラキラ輝く冬の妖精

大ぶりの回転イスに腰掛けると、足元に横長の穴が伸び、その下に青い湖水が広がっている。目を上げれば霊峰富士が視界いっぱいに広がった。

この日のタナは14m前後。リールのスイッチをフリーにして仕掛けを沈めていく。湖底に着いたら、少し巻き上げて誘いを開始だ。エサは紅サシをチョイス。アカムシも持参したが、まずは付けやすさとエサ持ちのよさを優先した。
虫は苦手ですぅ…と顔をしかめていた茶畑さんも、齋藤さんのリードで手際よくエサ付けをこなしている。なんだか楽しそう。ひょっとしたら、意外にイケるタイプかも…?

編集部に強気のひと言を残してしまった男性陣は真剣そのもの。富士山もきれいだねぇ、なんて賑やかな女性陣とは対照的に、無言で誘いを続ける。
虫は苦手なんですよぉ…と言っていた茶畑さん。始まってみればそんなセリフどこへ行ったのやら…という感じで、齋藤さんのアドバイスよろしくつり女子全開でした
虫は苦手なんですよぉ…と言っていた茶畑さん。始まってみればそんなセリフどこへ行ったのやら…という感じで、齋藤さんのアドバイスよろしくつり女子全開でした
茶畑さん、ついに良型の2尾掛け!「これがやってみたかったんです。次は、4尾とか5尾とか、コイのぼりみたいにしてみたいな!」
茶畑さん、ついに良型の2尾掛け!「これがやってみたかったんです。次は、4尾とか5尾とか、コイのぼりみたいにしてみたいな!」
やがて、齋藤さんのサオが2度、3度とおじぎをした。「きたぁっ!」と明るい笑い声。小刻みにサオ先を震わせながら上がってきたのは、今日の主役ワカサギだ。8cmほどのパールホワイトの魚体。光の加減でうっすらと紫色に輝き、触ればひんやりとしていて、ほんのりとキュウリのような薫りがする。齋藤さんもその美しさにしばし見惚れていた。

一説によれば、富士山に降った雨は70~80年かけてろ過され、三島や富士などの地表に湧き出してくるとか。山中湖の水源もほとんどが湧水だというから、こうして清められた水がワカサギたちを育んでいるのだろう。まさに霊峰の恵みである。
柔らかく繊細な穂先にピクピクっと小さなアタリがくる。すかさずほんの少し煽ってハリ掛かりさせるのがコツ。食いがよければ向こうアワセで掛かってくれるんですけどネ
柔らかく繊細な穂先にピクピクっと小さなアタリがくる。すかさずほんの少し煽ってハリ掛かりさせるのがコツ。食いがよければ向こうアワセで掛かってくれるんですけどネ
冬の日差しにキラキラと輝きながらあがってきた山中湖の妖精。惚れぼれする美しさだ。もちろん食味も一級
冬の日差しにキラキラと輝きながらあがってきた山中湖の妖精。惚れぼれする美しさだ。もちろん食味も一級
旭日丘観光のドーム船が人気の理由は、この水洗トイレにもあった。船長が2、3時間おきに掃除をし、便座マットでさえまめに交換するというホスピタリティの高さが女性ファンの支持を受けたのである。釣り船の臭~いトイレって男でもイヤですもんねぇ
旭日丘観光のドーム船が人気の理由は、この水洗トイレにもあった。船長が2、3時間おきに掃除をし、便座マットでさえまめに交換するというホスピタリティの高さが女性ファンの支持を受けたのである。釣り船の臭~いトイレって男でもイヤですもんねぇ

山中湖の女神は、つり女子に微笑んだ

これを皮切りに、齋藤さんと茶畑さんの快進撃が始まった。始まってみれば茶畑さんも大活躍! 彼女の明るい笑い声が響き、次々とワカサギを抜き上げていく。
「エサ付けだって全然大丈夫だね!」と、齋藤さんも舌を巻いた。とはいえ、早期と違ってわずかなアタリだけで食い逃げされたり、途中まで上がってきても逃げられたり…と、なかなか手強い。そんなスリリングさも彼女たちには魅力的なようす。
「今日の目標はね、数釣りなんだ…だから多点掛けをしたいんだよ」と、齋藤さん。
「多点掛けって何?」と不思議そうな茶畑さん。
「1回で、2尾とか3尾とかずらっと並んで上がってくること。ワカサギ釣りの醍醐味だよ」と説明しながら、齋藤さんはその目前で4尾掛けを披露する。もう絶好調だ。
食いが渋くなったら、どんどんエサを変えるんだよ。それと"ゼロテンション"だね。オモリを底に着けたままで、イトを軽く張ったり緩めたりするのがいいみたい」

しかし、男性陣はなかなか調子が上がらない。女性チームに先行された焦りなのだろうか…誘いやエサ付けは同じように見えるけれど、アタリは間違いなく彼女たちのほうが多い。やがて、松邨さんがちょっといい型をあげると、「よかったねぇ」と茶畑さんにほめられる始末。こりゃ、立場が逆転だ。後半、エサをアカムシに変えると数が伸び始めたが、齋藤さんだってペースは落ちない。とはいえ、目の前で女の子が笑顔いっぱいになるのを見て、ふたりも何だか嬉しそうだ。
齋藤さんが良型を2尾掛け! 多点掛けが楽しいという彼女はこの後、2点、3点を連発した
齋藤さんが良型を2尾掛け! 多点掛けが楽しいという彼女はこの後、2点、3点を連発した
齋藤さんと茶畑さんのダブルヒット! もう止まりません!
齋藤さんと茶畑さんのダブルヒット! もう止まりません!
袋のふくらみを見れば勝負は一目瞭然。つり女子チームが倍近い釣果で圧勝でした。「もう1度勝負できるなら、また負かしたいと思います。もうちょっと修行してこい!(笑)」と齋藤さん。呆然としながらも、その差に苦笑いの男性ふたりです。さて、これから厨房が待ってますよ!
袋のふくらみを見れば勝負は一目瞭然。つり女子チームが倍近い釣果で圧勝でした。「もう1度勝負できるなら、また負かしたいと思います。もうちょっと修行してこい!(笑)」と齋藤さん。呆然としながらも、その差に苦笑いの男性ふたりです。さて、これから厨房が待ってますよ!
ここで、堀内船長が山中湖のワカサギ釣りを説明してくれた。
「この時期はだいたい12~15mの層にワカサギが集まっているんです。もちろん、ドーム船はいちばん実績のある場所にご案内します。でも食い方って日によって結構違うんですよ。朝の一時だけ食いが立って昼は静かになっちゃうとか、風が吹いたら急に食ったとか…。今日は、皆さんがお越しになるちょっと前、早朝に荒食いしました(笑)。だから、タイミングを逃さないことも数を釣るコツです。例年、ワカサギ釣りは10月くらいからぼちぼち始まって、11月にシーズンインですね。9月、10月、11月と、だんだん脂がのってきて美味しくなります。年明けの2月くらいになると卵を持ち始めるんですが、そうなると甘みが出てきます。山中湖の魅力は、なんといっても富士山の眺望でしょうね。11月半ばになると紅葉を愛でながらの釣りも楽しめるんですよ。まさに絶景です」
月刊『つり人』編集部員の意地を見せて、落合さんも齋藤さんを猛追する。でも、齋藤さんもペースを落とさず…デッドヒートにはなりませんでした。「齋藤さんからのプレッシャーがすごかったです(笑)。ちなみにワカサギは今日で2回目。ちょっと甘く見てましたね。反省です。でも手軽でみんなで楽しめるっていうのがとてもいいと思いました」
月刊『つり人』編集部員の意地を見せて、落合さんも齋藤さんを猛追する。でも、齋藤さんもペースを落とさず…デッドヒートにはなりませんでした。「齋藤さんからのプレッシャーがすごかったです(笑)。ちなみにワカサギは今日で2回目。ちょっと甘く見てましたね。反省です。でも手軽でみんなで楽しめるっていうのがとてもいいと思いました」
福島県出身で氷上穴釣りのメッカ、裏磐梯桧原湖での経験もある松邨さんですが、プレッシャーに弱いのか…この日は不調。結局、最下位に終わった。「丸沼ではまったくノーフィッシュでしたから今日は釣れてよかった(笑)。福島出身なので、桧原湖で経験があるし、自信があったんですけどね。精進します!」
福島県出身で氷上穴釣りのメッカ、裏磐梯桧原湖での経験もある松邨さんですが、プレッシャーに弱いのか…この日は不調。結局、最下位に終わった。「丸沼ではまったくノーフィッシュでしたから今日は釣れてよかった(笑)。福島出身なので、桧原湖で経験があるし、自信があったんですけどね。精進します!」
結局、4時間ほどの釣りだったが、トップは齋藤さんの65尾、2位は落合さんの30尾、3位は茶畑さんの26尾、ラストは松邨さんの22尾で終了。合計するとつり女子チームは91尾、編集部チームは52尾で、女性陣が倍近い釣果で圧勝。
とはいえ、4人とも山中湖のワカサギ釣りを堪能したようで、笑顔の撤収となった。
※撮影:浦壮一郎/文:三浦事務所
※このコンテンツは、2011年12月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。