快適な湖上空間
平日なのに満席!! ドーム船は極上空間だった
富士山の絶景を満喫した4人が向かったのは、旭日丘観光。ドーム船ブームの先駆けとなった老舗ボート店だ。
「釣れてるよぉ。昨日なんて初めての人でも100尾くらい」
そんな声に4人の顔が明るくなった。桟橋で大型のボートに乗って、沖の好ポイントに停泊するドーム船に向かう。
「見て!」
齋藤さんが叫んだ。ほぼ無風の湖面に、雪帽子の逆さ富士と雲が現われてまさに名画のよう。そこにたたずむドーム船はまるで空に浮いているようだ。
「信じられない…こんな風景が見られるなんて…」
茶畑さんも感無量のようす。
ドーム船に到着すると、すでに先客がいっぱい。ほとんどが家族やカップルだ。見ているうちにもあちらこちらで
ワカサギが躍り、歓声があがる。
「今日って平日だよね。この賑わいってすごくない?」と落合さん。
「これからしばらくは平日も予約でいっぱいですよ」と、堀内雄仁船長が笑う。
今回、乗せていただいたのは新造された2号船。広々とした室内や、広大なガラス窓など、これまでの快適さはそのままに、回転イスの設置など新たな工夫が各所に加えられている。
「室内禁煙、飲酒禁止など、子ども連れや女性が心地よく楽しめるルール作りも徹底してるね。トイレもきれいでびっくりした。フリードリンクで温かなコーヒーや紅茶もサービスだし、予約でいっぱいという人気ぶりも納得できるよ」と落合さん。
釣りまくる女子、口数の減る男子
キラキラ輝く冬の妖精
大ぶりの回転イスに腰掛けると、足元に横長の穴が伸び、その下に青い湖水が広がっている。目を上げれば霊峰富士が視界いっぱいに広がった。
この日の
タナは14m前後。リールのスイッチをフリーにして仕掛けを沈めていく。湖底に着いたら、少し巻き上げて誘いを開始だ。エサは紅
サシをチョイス。アカムシも持参したが、まずは付けやすさとエサ持ちのよさを優先した。
虫は苦手ですぅ…と顔をしかめていた茶畑さんも、齋藤さんのリードで手際よくエサ付けをこなしている。なんだか楽しそう。ひょっとしたら、意外にイケるタイプかも…?
編集部に強気のひと言を残してしまった男性陣は真剣そのもの。富士山もきれいだねぇ、なんて賑やかな女性陣とは対照的に、無言で誘いを続ける。
やがて、齋藤さんのサオが2度、3度とおじぎをした。「きたぁっ!」と明るい笑い声。小刻みにサオ先を震わせながら上がってきたのは、今日の主役ワカサギだ。8cmほどのパールホワイトの魚体。光の加減でうっすらと紫色に輝き、触ればひんやりとしていて、ほんのりとキュウリのような薫りがする。齋藤さんもその美しさにしばし見惚れていた。
一説によれば、富士山に降った雨は70~80年かけてろ過され、三島や富士などの地表に湧き出してくるとか。山中湖の水源もほとんどが湧水だというから、こうして清められた水がワカサギたちを育んでいるのだろう。まさに霊峰の恵みである。
山中湖の女神は、つり女子に微笑んだ
これを皮切りに、齋藤さんと茶畑さんの快進撃が始まった。始まってみれば茶畑さんも大活躍! 彼女の明るい笑い声が響き、次々とワカサギを抜き上げていく。
「エサ付けだって全然大丈夫だね!」と、齋藤さんも舌を巻いた。とはいえ、早期と違ってわずかな
アタリだけで食い逃げされたり、途中まで上がってきても逃げられたり…と、なかなか手強い。そんなスリリングさも彼女たちには魅力的なようす。
「今日の目標はね、数釣りなんだ…だから多点掛けをしたいんだよ」と、齋藤さん。
「多点掛けって何?」と不思議そうな茶畑さん。
「1回で、2尾とか3尾とかずらっと並んで上がってくること。ワカサギ釣りの醍醐味だよ」と説明しながら、齋藤さんはその目前で4尾掛けを披露する。もう絶好調だ。
「
食いが渋くなったら、どんどんエサを変えるんだよ。それと"ゼロテンション"だね。オモリを底に着けたままで、イトを軽く張ったり緩めたりするのがいいみたい」
しかし、男性陣はなかなか調子が上がらない。女性チームに先行された焦りなのだろうか…誘いやエサ付けは同じように見えるけれど、アタリは間違いなく彼女たちのほうが多い。やがて、松邨さんがちょっといい型をあげると、「よかったねぇ」と茶畑さんにほめられる始末。こりゃ、立場が逆転だ。後半、エサをアカムシに変えると数が伸び始めたが、齋藤さんだってペースは落ちない。とはいえ、目の前で女の子が笑顔いっぱいになるのを見て、ふたりも何だか嬉しそうだ。
ここで、堀内船長が山中湖のワカサギ釣りを説明してくれた。
「この時期はだいたい12~15mの層にワカサギが集まっているんです。もちろん、ドーム船はいちばん実績のある場所にご案内します。でも食い方って日によって結構違うんですよ。朝の一時だけ
食いが立って昼は静かになっちゃうとか、風が吹いたら急に食ったとか…。今日は、皆さんがお越しになるちょっと前、早朝に
荒食いしました(笑)。だから、タイミングを逃さないことも数を釣るコツです。例年、ワカサギ釣りは10月くらいからぼちぼち始まって、11月にシーズンインですね。9月、10月、11月と、だんだん脂がのってきて美味しくなります。年明けの2月くらいになると卵を持ち始めるんですが、そうなると甘みが出てきます。山中湖の魅力は、なんといっても富士山の眺望でしょうね。11月半ばになると紅葉を愛でながらの釣りも楽しめるんですよ。まさに絶景です」
結局、4時間ほどの釣りだったが、トップは齋藤さんの65尾、2位は落合さんの30尾、3位は茶畑さんの26尾、ラストは松邨さんの22尾で終了。合計するとつり女子チームは91尾、編集部チームは52尾で、女性陣が倍近い釣果で圧勝。
とはいえ、4人とも山中湖のワカサギ釣りを堪能したようで、笑顔の撤収となった。
※撮影:浦壮一郎/文:三浦事務所
※このコンテンツは、2011年12月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
【取材協力】旭日丘観光
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