STEP :
AM 5:00
草食男子 VS つり女子。
今回は、真っ白な富士山を眺めながら湖の妖精ワカサギと遊びます。…と、聞けばとても優雅なテーマですが、いつものふたりは、つり女子相手の真剣勝負。
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落合洋平さん
落合洋平さん
"魚を呼ぶ男"として名を馳せていた『つり人』の編集部員。でも、前回の丸沼で惨敗して、今回はリベンジを誓っているとか。乞うご期待です。
松邨龍亮さん
松邨龍亮さん
西欧貴族のたしなみ、フライフィッシングの若き伝道師。やはり丸沼がトラウマのようで、ちょっと反省の日々を送っている『FlyFisher』編集部員。
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齋藤絵理さん
齋藤絵理さん
つり女子活動記 堤防五目釣りに挑戦!の巻」で伊豆の堤防を満喫。実は、ワカサギ釣りは10回目で、山中湖も最近訪ねたばかりです。男性陣を返り討ちにしちゃおうと虎視眈々。
茶畑育代さん
茶畑育代さん
釣りは初めてという茶畑さん。「アカムシとか苦手なんですぅ…」と言いながらも、軽快なリズムで仕掛けを操る姿は、とても初心者には見えません。つり女子恐るべし。
人気沸騰! 楽々ワカサギ釣り

人気沸騰! 楽々ワカサギ釣り

師走初頭の編集部にて…

師走の月刊『つり人』編集部に、いつものドスの効いた声が響いていた。
「今年も残り少ないが、振り返ってみるとつり女子のメンバーはよく頑張っていろいろと魚を釣ってくれたなぁ」
ご存じ山根編集長である。
「そうですねぇ。思ったよりも健闘してくれましたよね」
そんな調子のいい相槌を打つのは落合さんだ。
「……くれましたよね、じゃねえよ。お前ら、この前丸沼でボウズを食らったじゃないかよ。魚ナシの撮影なんていう醜態さらしたのはお前と松邨だけだぞ!」
師走初頭の編集部にて…
よくできました。 もっとがんばりましょう。
その怒声を聞いて松邨さんが駆け寄ってきた。
「あれはひと晩で4℃も水温が上がるなんてアクシデントがあったんですから、勘弁してくださいよ。つり女子と一緒に釣りをさせてもらえれば、編集部の凄さをビシっと見せつけてやりますよ!」
「…とか何とか言って、合コンの約束でも取りつけようっていうんじゃないのか。ま、いい。そこまで言うなら行ってみるか? どうせなら、食べて旨い魚がいいな…負けたほうが料理して御馳走するってのはどうだ」と編集長があおる。
「望むところです! つり女子に料理させて、腹一杯食ってやりますよ」と、落合さんが豪語した。
色白の優男だが、こういう時、言うことは言う。

でも、大丈夫ですかぁ…そこまで強気になっちゃって。つり女子は、なかなか手強いと思うんだけどなぁ。

富士山麓の冬の女神

美しい山中湖のワカサギ。釣期が長いことでも知られ、初秋から晩春まで季節に応じた釣りを味わえる。もちろん食味は折り紙付きだ
美しい山中湖のワカサギ。釣期が長いことでも知られ、初秋から晩春まで季節に応じた釣りを味わえる。もちろん食味は折り紙付きだ
そんな展開で、今回は男女の合同釣り会となった。
「そういえば、山中湖のドーム船が予約もとれないくらいの人気だって言ってたな。今回のミッションは"冬のワカサギ対決! つり女子にカッコいいところを見せつけろ!"だ」と、編集長が高らかに宣言した。
願ってもないミッションにボルテージが一気にアップする。
「了解しました。ワカサギは、繊細な中にも攻めの釣り…こればっかりは、つり女子が出る幕じゃありませんね」
落合さんが自信満々の勝利宣言。その強気の背景にはワケがある。一昨年の秋に月刊『つり人』で、中禅寺湖や丸沼のワカサギ取材を手がけ、10ページ以上も特集を組むために、さまざまな情報を集めていたのだ。

ちょっとフェアじゃない気もするが、たしかに負ける要素はなさそうで、あの丸沼の屈辱を一気にはらす大チャンスであります。
いつも厳しい編集長も、今回ばかりはかわいい部下に温情のミッションを与えたのかも…。そんなワケないか。

老若男女、誰でもOKのイージーフィッシング

パールカラーの妖精は意外なファイター

パールカラーの妖精は意外なファイター
ワカサギはパールホワイトの華麗な魚体から、湖の妖精だの、冬のアイドル魚だのとはやされているけれど、実はなかなかのファイターなのだ。まず、好奇心が旺盛で食欲も旺盛。釣り番組の水中映像などで、激しくエサを取り合う姿やキラキラと輝くハリやオモリに突進していく姿を見た方も多いはずだ。

その一方で、神経質で狡猾な顔も持っている。同じエサを使い続けると食いが落ちたり、誘いや間の取り方のちょっとした違いで雲泥の差が現われたりする。
カジキのような豪快なジャンプも、ニジマスのような疾駆も、イシダイのようなパワーもないこの小魚に、冬になるとアユバスヘラブナのベテランたちが足繁く通うのも、華麗にして狡猾、豪快にして臆病という、ジキルとハイドのようなワカサギの釣りに心を奪われてしまったからなのである。
さて、山中湖は人気ワカサギ釣り場のひとつで富士山に最も近い湖だ。面積は6.8㎢で、富士五湖最大。湖面の標高は981mで、昭和40年代までは軽トラックで走れるほど厚く結氷したそうだが、近年は冬場でも結氷しづらくなり、厳寒期でもボートからの釣りが主体になっていた。とはいえ、氷点近くの湖上はめちゃくちゃ寒く、特に女性や子どもにはツラかった。
富士五湖最大で、清冽な湖水を満たす山中湖は、コイやウグイ、ブラックバスなど釣りの対象魚も豊富で、1年を通して釣り人の姿が絶えない
富士五湖最大で、清冽な湖水を満たす山中湖は、コイウグイブラックバスなど釣りの対象魚も豊富で、1年を通して釣り人の姿が絶えない
山中湖はマリモ生息地の南限としても知られている。富士マリモと名づけられ、土産店で購入も可能。やはり美しい湖水が育んだ富士の恵みだ
山中湖はマリモ生息地の南限としても知られている。富士マリモと名づけられ、土産店で購入も可能。やはり美しい湖水が育んだ富士の恵みだ

山中湖のワカサギ釣り革命

しかし、10年ほど前に一大変化が起こった。近代的な専用大型船がデビューし、瞬く間にワカサギ釣りの主役となったのである。真っ白な富士山を眺めながら釣りができるように設計された広大なガラス窓、セーター1枚でも釣りが可能な暖房と断熱性に優れた船体、魚探を駆使した船長の細かいアドバイス、女性客を想定した清潔で明るいトイレ…まったくのビギナーでもワカサギ釣りを満喫できるようなシステムが整えられ、週末は家族連れやカップルで満席が続いた。
旭日丘観光の新造船は、このとおり左右に一列ずつ回転イスが並んでいる。長時間の釣りでも腰が痛くならず、誘いに集中できるのがうれしい。
旭日丘観光の新造船は、このとおり左右に一列ずつ回転イスが並んでいる。長時間の釣りでも腰が痛くならず、誘いに集中できるのがうれしい。
ドーム船の中では、コーヒーや紅茶がフリードリンク。こんなサービスも家族連れやカップルから支持される理由のひとつなのだろう
ドーム船の中では、コーヒーや紅茶がフリードリンク。こんなサービスも家族連れやカップルから支持される理由のひとつなのだろう
レンタル用の道具も完備されているので、手ぶらやドライブや温泉ついでの釣行でも楽しむことができる。もちろん、エサや仕掛けも常備。何にも必要ないのです
レンタル用の道具も完備されているので、手ぶらやドライブや温泉ついでの釣行でも楽しむことができる。もちろん、エサや仕掛けも常備。何にも必要ないのです
ベテラン船長が魚探をにらみながら的確なアドバイスをくれるので、ビギナーでも安心。もちろん、頼めばこの画像を見せてくれるので、水深や湖底の形状など参考になるだろう
ベテラン船長が魚探をにらみながら的確なアドバイスをくれるので、ビギナーでも安心。もちろん、頼めばこの画像を見せてくれるので、水深や湖底の形状など参考になるだろう
その後、次々と同様のドーム船がデビュー。山中湖のワカサギは、老若男女、誰でも楽しめる冬のレジャーに変身したのである。
とにかく楽。そして簡単。朝の出船だって定刻は決まっているが、その後も大型ボートで桟橋とドーム船を送迎してくれるから、スロースタートOK。もちろん、早上がりだって可能だ。レンタルの道具やエサも完備なので、手ぶらで出かけられるし、船長がエサの付け方から、その日のタナ、誘い方、魚の外し方まで丁寧に教えてくれる。
これがワカサギの最新タックル。DAIWA(グローブライド)から発売されているクリスティア ワカサギ CR。このコンパクトなボディーに、先進のワカサギテクノロジーがすべて盛り込まれている。その日の食いに合わせて穂先の交換も可能
これがワカサギの最新タックル。DAIWA(グローブライド)から発売されているクリスティア ワカサギ CR。このコンパクトなボディーに、先進のワカサギテクノロジーがすべて盛り込まれている。その日の食いに合わせて穂先の交換も可能
ワカサギブームの到来で、用具も一気に進化した。かつて、ワカサギのハイスペックモデルは、名手が立ちあげた工房などで生み出されるハンドメイドが多く、初心者には入手も操作も容易ではなかった。
しかし近年、大手メーカーから次々と先進のワカサギアイテムが発表され、その多くは最先端の機能を搭載しながらも、初心者が簡単に扱えると好評だ。モーター内蔵で釣り糸の巻き上げは自動、そのスピードも調整可能。液晶パネルのデジタル水深カウンターまで装備という、従来の釣具の概念を超える先進ぶり。
ワカサギの専用オモリは、細長く水の抵抗を少なくした設計がなされている。速く、まっすぐに沈め、細かいサオの操作に敏感に反応させるためのデザインだ。クルマと同じように、オモリにも安定感と操作性のよさが求められるのだ
ワカサギの専用オモリは、細長く水の抵抗を少なくした設計がなされている。速く、まっすぐに沈め、細かいサオの操作に敏感に反応させるためのデザインだ。クルマと同じように、オモリにも安定感と操作性のよさが求められるのだ
ワカサギでは市販の仕掛けを使うのが一般的。この日は、DAIWA(グローブライド)製のドーム船用仕掛けを使用した。絡みやすいし、マスやブラックバスなど大型魚に切られることもあるので、少し多めに用意しておこう
ワカサギでは市販の仕掛けを使うのが一般的。この日は、DAIWA(グローブライド)製のドーム船用仕掛けを使用した。絡みやすいし、マスやブラックバスなど大型魚に切られることもあるので、少し多めに用意しておこう
※撮影:浦壮一郎/文:三浦事務所
※このコンテンツは、2011年12月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。