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システムエンジニアからBiz Devへ──事業開発への挑戦で活躍の幅を広げた彼の足跡

電動モビリティの普及に向けて、バッテリーのシェアリングを実現する「BaaS(Battery as a Service)*」への注目が高まるなか、BaaS事業の立ち上げをめざすHondaにも想いを持ったメンバーが集まってきています。電機メーカーでプログラマーとして働いてきた赤川もそのひとり。Hondaでの挑戦は彼のキャリアにどんな変化をもたらしたのでしょうか?

*これまで製品として販売されていたバッテリーをシェアリングなどでサービス提供する形態のこと。モビリティをはじめとしたさまざまなハードウェアの動力が電気(バッテリー)に切り替わる動きが起こるなか、BaaSを利用した新たなエネルギー供給のビジネス・市場が拡がると言われている

赤川 朋也Tomoya Akagawa

事業開発本部 事業開発統括部 新事業開発部 BaaS・MaaS事業課

大手電機メーカーでプログラマー、プロジェクトマネージャーとして官公庁や電力系のシステム開発を経験した後、2019年にHondaへ中途入社。システム開発の知見を生かし、ハードとソフト一体型のBaaS事業の立ち上げを担当する。

バッテリーシェアリングで実現する未来

2050年までにHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルをめざしているHondaでは、開発する幅広い製品の電動化をめざしています。しかし、電動モビリティを普及させることは簡単ではありません。電動モビリティに電力を供給しやすい環境が全国的に整備されていることが大事な条件となるのです。

そうした課題に対して、Hondaでは持ち運びが簡単な交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」の開発を2015年から続けてきました。汎用的なバッテリーが随所に配備され、多様な電動モビリティに供給される未来をめざし、2019年からはインドネシアで、2021年からはインドで実証実験を開始しています。

赤川「現状は、モビリティ用途での普及をめざしていますが、Honda Mobile Power Packのような持ち運びできる中規模バッテリーは、モビリティ以外にも活用できることに真価があると思っています。手の届きやすいところに、バッテリーの交換ステーションがあることで、多様な製品・サービスに対してて電力を届けることができるようになります。

再生可能エネルギーを用いれば、本来使えない場所でも、再生可能エネルギーを使うことができるようになるので、地球環境の改善に対して、大きなブレイクポイントになる可能性を秘めているのではないかと思っています」

バッテリーシェアリングによって実現する「BaaS(Battery as a Service)」の可能性に大きな期待を示す赤川は、インドネシアでの実証実験から事業化へ移るタイミングで、電機メーカーから転職してきました。

赤川「前職はSIerだったので、お客様の事業に役立つものを、ご要望に基づいて作ることが主な仕事でした。システムエンジニアからキャリアをはじめ、プロジェクトマネージャーとして経験を積むうちに、自らが事業を作る立場になって、社会を変えるような仕事にチャレンジしたいと思うようになったんです。

そんななか、HondaがBaaS領域で一から新しい事業を立ち上げていくという話を聞き興味を持ちました」

めざす方向は同じ──議論を重ねるHondaのフィロソフィーを感じた瞬間

赤川は、Hondaに入社後、バッテリーのシェアリングサービスを管理するクラウドシステムのプロジェクトマネージャーを担当し、ユーザー向けのアプリや、ステーションに配備されたバッテリーの情報を管理するシステム開発を担っています。

赤川「私が入社する以前から実証実験が行われていましたが、事業化にあたっては、バッテリーや充電器だけでなく管理システムも一新する必要がありました。また、システム担当だからといってソフトウェアの開発だけを行っていれば良いというわけではありませんでした。

利用者のユーザビリティや商流・物流などビジネスの多様な面を複合的に考えていく必要があり、社内外の関係者と議論を重ねる日々でした。慣れないことで苦しくもあり、おもしろくもありましたね」

前職でシステム開発を経験してきた赤川が特に重視したのは、ハードウェア部門とのコミュニケーションでした。

赤川「Hondaはハードウェア開発を主体としてきた企業です。私に取っては当たり前だったシステム開発の考え方との違いが大きく、なかなか折り合わない部分があります。何度もコミュニケーションを重ねて、お互いに理解を深めながら、製品・サービスのブラッシュアップを図っていきました」

一方で、こうした真っ向勝負の議論が、Hondaのフィロソフィーに共感するきっかけになったといいます。

赤川「お互いにめざす方向は結局同じなんです。ときには意見を戦わせながらも、より良いものを送り出せるようプロジェクトを前に進めていきます。そんな過程で、Hondaのフィロソフィーにある“お互いに個人の違いを認めあい尊重する”という言葉が染み込んできました。

私自身、それまで自分の意見を優先するような性格だったのだなと反省し、コミュニケーションの仕方を見直すようになりましたね(笑)。一度そのことに気づくと、こうした文化が会社全体にしっかり根付いているんだなと感じることがよくあります」

業務の幅広さと得られる経験の多さが事業開発の醍醐味

赤川が培ってきたシステム開発の知見は、HondaのBaaS事業を育てるために必要なスキルでした。一方、新規事業の開発ならではの環境が、自身の成長にもつながっていると赤川は話します。

赤川「新しいものをつくろうとするときは、システムにとどまらず、ビジネスへも思考を広げていく必要があります。加えて、新規事業においてはヒューマンリソースも限られているため、皆が定められた役割を超えて価値を発揮していかなくては、目標を達成できないんです。その過程で、結果的にビジネス側に寄り添った考え方ができるようになってきたと感じますね」

当初、特定のシステムのプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトにジョインした赤川でしたが、プロダクト全体の戦略や収益などを統括するプロダクトマネージャー、そして事業構造を考えるBizDev(事業開発)へと活躍の幅を広げていきました。

赤川「たとえばビジネスサイドから考えると、プロダクトサイドからは思いもしない改善点が見つかることがあります。しかし、プロダクトの現実を一番知っている立場としては、コスト、スケジュールなど現実的な部分も見なければならない。

両方の視点を持ち、双方の制約を踏まえながら、ニーズを満たす解決方法を発見できたときは、テンションが上がりますね(笑)。Biz Devの仕事を楽しく感じる瞬間でもあります」

もちろん、赤川は流れに身を任せただけで、こうしたポジションを得たわけではありません。個人情報を含むデータを取り扱ううえで必要な法規関連の知識、ビジネスを考えるうえで欠かせない税務、会計、マーケティングの知識などを、積極的に学び身につけていったのです。

自分が育てていくプロダクトをさまざまな観点で理解する──。そんな責任感が赤川を成長させてきました。

そして、Hondaでのそうした働き方が、赤川のマインド面にも変化をもたらします。

赤川「ビジネスとは何だろうと、すごく考えるようになりました。『なぜわれわれはこの事業をやっているのか』、『社会の何を変えたいのか』と。いつの間にか、SIerで働いていたころとは異なる意識で仕事に臨むようになった自分がいるんです。

また、自分なりに確固たるものを持っておかないと、判断軸がぶれて、ビジネスに影響を与えてしまうという危機感も抱くようになりました。何かしらの答えを常に自分の中で持っておくために、人とディスカッションしながら意識・考えを高めるようにしています」

“カオス”の先に得られる達成感がある

インドでの事業立ち上げ準備中のひとコマ

赤川がHondaにジョインしてから3年が経った2022年、これまでの努力が芽吹きはじめました。

2022年には、インドでHonda Mobile Power Pack e: を用いたインドの電動三輪タクシー(リキシャ)向けのバッテリーシェアリングサービス事業がスタートしました。

ときを同じくして、ENEOSホールディングス株式会社とカワサキモータース株式会社、スズキ株式会社、ヤマハ発動機株式会社の4社と協力し、電動二輪車の共通仕様バッテリーのシェアリングサービス提供と、シェアリングサービスのためのインフラ整備を目的とする「株式会社Gachaco(ガチャコ)」を設立し、10月からバッテリーシェアサービスを開始しました。念願の事業化でしたが、赤川にとっては新たな課題に向き合うきっかけにもなりました。

赤川「このころから、ビジネス側のメンバーと共にお客様に対してサービスの説明をする機会が増えてきました。社外の方に向かってわれわれの思い描く世界やサービスの形を伝えていくことの難しさを実感しましたね。実際に運用する段階になっても、お客様との認識の齟齬に気づいたり、まだまだニーズを満たせていない箇所に気づいたりしたんです。つくる側としての力不足を痛感しました」

日本、インドに続いて、お客様の需要に応えるグローバルでの展開をめざすなか、さまざまな改善点が浮き彫りなってきました。しかし、赤川はこうした状況にもおもしろさを感じています。

赤川「課題は山積みですが、プロダクトにとどまらず、ビジネス全体でどう改善していくかを考えることがやはり楽しいです。私はHondaで“カオス”な状況を楽しんできました。何事も動かなければはじまりません。前例がなければ前例をつくるんだという想いで、混沌とした状況を乗り越える方法を考えてきました。

それを成し遂げたときには、何事にも代えがたい喜びが待っています。こうした考え方こそ自分の強みなのかもしれません。いつかは、自分のアイデアから事業を起こすという、さらなる“カオス”に挑んでいきたいですね」

日本、インドでの事業化を通して見えてきた課題も、これから展開していく国々独自の法的・文化的壁も、赤川にとっては自らのやる気を刺激する“カオス”の材料に過ぎません。どんな課題も乗り越えることを前提に向き合っているのです。

BaaS事業で経験を積んだ赤川がいつか手がける新たな事業も、きっと前例のないような価値を社会にもたらしてくれることでしょう。

Hondaではともに働く仲間を募集中です!

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新規事業企画・開拓営業(BaaS/バッテリー・アズ・ア・サービスの新規領域開発)

※掲載内容は取材当時のものです。

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