Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

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ソフトウェア・デファインド・モビリティ──Hondaでソフトウェア開発に携わる魅力

変革期を迎える自動車業界では、自動化、電動化、コネクテッドカーなど次世代のクルマが次々に登場しています。それにともない、車両の電子システムは複雑化が進んでいます。現在ソフトウェアのプラットフォーム開発の内製化を進めながら体制の強化を進めるHondaで働く2人の想いに迫ります。

井手 博仁Hirohito Ide

事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 電子プラットフォーム開発部 制御ソフトウェアプラットフォーム開発課 課長

2000年入社以来、ソフトウェア・制御分野を担当。エンジン用のソフトウェアプラットフォームの内製開発やハイブリッド車の制御開発に取り組み、2020年から現在の組織の前身となる電子制御ユニット開発課所属となる。2022年4月より課長を務める。

鴫原 一人Kazuto Shigihara

事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 電子プラットフォーム開発部 制御ソフトウェアプラットフォーム開発課

SIerで車載向けのソフトウェアプラットフォーム開発に取り組み、2021年Hondaに転職。セントラル電子制御ユニット(Electronic Control Unit以下ECU)・自動運転用ECU・運転支援用ECUの中で動くソフトウェアプラットフォームの開発を進める。

良い製品をタイムリーにお客様に提供すべく、進めるソフトウェア開発の内製化

100年に1度の変革期を迎えている自動車業界では、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)という考え方が広がりはじめています。これは開発プロセスにおいて、まずソフトウェアを定義したうえでハードウェアを決めていくクルマづくりです。

Hondaではこれを「ソフトウェア・デファインド・モビリティ(SDM)」と呼び、新たな開発の流れを整えています。

井手

「Hondaは四輪以外にもさまざまなモビリティを作っているため、ビークルではなく“モビリティ”と表現しています。その基盤技術となるソフトウェアプラットフォームの開発が、われわれの役割です。

Hondaのソフトウェア領域において、新しい開発は基本的に自分たちで進めるという内製化のスタンスを取っています。ソフトウェアだけでなく、ソフトウェア開発に必要なツールや開発環境も内部で作っているところです。プラットフォーム側も内製しているため、体制がさらに整ってくればお客様により良いものをスピーディに提供できると考えています」

井手と鴫原の所属する課は、取り扱うソフトウェアプラットフォームによって5つのチームに分かれています。

井手

「自動運転システム(以下、AD)や運転支援システム(以下、ADAS)用ECUのソフトウェアプラットフォームを開発するチーム、クルマの頭脳となるセントラルECU用のソフトウェアプラットフォーム開発をするチーム、開発環境を構築するチーム、開発プロセスを構築するチーム、ソフトウェアの開発戦略を担うチームがあります」

鴫原

「そのなかで、私はAD-ECU・ADAS-ECU・セントラルECUを見ています。3つのECUの中で動くソフトウェアプラットフォームの開発の取りまとめが、私の役割ですね」

井手

「われわれの次なるミッションは、試作開発を完了させることです。近く量産開発に移行するため、今はその立ち上げが求められています」

答えのない中で自分たちで考えてモノづくりができるのはHondaの魅力

ソフトウェア開発を自社で行う制御ソフトウェアプラットフォーム開発課では、ソフトウェアエンジニアの人数を大幅増員予定です。2021年にHondaへ転職してきた鴫原も、これまでの実績を買われて入社することになりました。

鴫原

「前職はSIerで、車載向けのソフトウェアプラットフォームを開発していました。車載のソフトウェアはナビなど情報系とエンジン制御など制御系の大きく2つの領域があるんですが、私は制御系のECUに載るプラットフォーム自体の開発をしていました。

前職では好きなソフトウェア開発に携わることができて充実していたのですが、海外勤務の予定が、コロナ禍になって頓挫してしまったんです。目標が失われたタイミングでHondaの社員と話をする機会があり、ソフトウェアに対する考え方がとても進んでいると感じました。

Hondaは完成車メーカーとしてソフトウェア開発ができるようにならないとやっていけない時代になるという危機感を持ち、内製化を進めていました。その様子を見て、自身のキャリアを活かして日本の自動車業界に貢献できれば嬉しいなと考え、転職を決意しました」

Hondaで話を聞いたあと、自動運転レベル3*搭載の「LEGEND」に乗る機会があった鴫原は、最先端の技術を目の当たりにして感動したと振り返ります。

*Hondaは2020年11月、当時世界初となる自動運転レベル3 型式指定を国土交通省から取得し、2021年3月には「自動運行装置」であるトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を実現したHonda SENSING Eliteとそれを搭載する新型LEGENDを発表した

鴫原

「自動運転の様子を助手席で見て、時代はここまで進んでいるんだと感動しました。それまでは、自分が開発に関わっていたソフトウェアがクルマを動かしている感覚があまりなかったんですが、手も足も使わず運転するところを見て、ソフトウェア制御の可能性を実感しましたね」

Honda入社後、鴫原は複数のECU向けのソフトウェアプラットフォーム開発をサプライヤーと相談しながら進めるとともに、新技術開発プロジェクトで2026年に向けて次世代のソフトウェアプラットフォーム開発を進めています。

鴫原

「Hondaに転職して大きく変わったのは、作る側から使う側の立場になったことです。前職ではプラットフォームを作る側でしたが、Hondaに来たことでプラットフォームを使って実際のECUを開発する立場になりました。

プラットフォームは手段ですが、車載領域でも規模の大きいソフトウェアを使いこなすためには専門的な知識も必要です。自動運転や車外(クラウド)とつながるといったやりたいことを実現するために、われわれの目的に合うOSを採用します」

鴫原はHondaに転職したことで、これまで持っていなかった新たな視点が身についたと実感しています。

鴫原

「完成車メーカーは、自動車業界で最初にリクエストを出すところです。それを受けて作るサプライヤーやソフトウェアベンダーとは違い、完成車メーカーは技術的な課題があったときも自分たちで結論を出さなければいけない。誰に聞いても教えてもらえるわけではないので、自分たちが考えたことが答えになります。

Hondaはどのような経緯や議論のもと、こういう結論になったと技術資料として残していくしくみがあり、それで技術継承されていくのがおもしろいですね」

井手

「私もそこはHondaに入っておもしろいと思った点ですね。一昔前は、ハイブリッド車の作り方を示す教材はありませんでした。どうすればハイブリッド車を作れるか、自分たちで考えなければならなかったんです。

自動運転車も同じで、作り方が世の中にないから自分たちで考えるしかありません。そして今度は“ソフトウェアデファインドモビリティ”という題目が来て、また自分たちで考えて作っています。これはHondaならではの醍醐味だと思いますね」

質疑や議論を繰り返しながら妥協ではない解決策を見つける

課全体をまとめる立場にいる井手は、チャレンジングな仕事をこなしながらキャリアを積んできました。

井手

「入社当時はエンジン用のソフトウェアプラットフォームの内製開発を担当しました。その後はハイブリッド車用の制御の開発に取り組み、マネジメントになってからもずっとハイブリッドの制御を見ていたんです。

2020年頃から、自動運転に関わるようになりました。大きな変化が何度もあったのはラッキーで、飽きない会社だと感じています」

井手の仕事内容は、大きく3つにわけると、課のミッション・ビジョン・方針を策定すること、判断すること、そして、課を盛り上げることです。

井手

「課を盛り上げることは実は重要です。皆が意気投合してワイワイガヤガヤ議論ができるような環境でなければ先に進めないこともあると思うんです。そのため、わからないことを気軽に相談できる雰囲気を作るようにしています。

ミッション・ビジョン・方針は私が示して、鴫原を筆頭にメンバーで技術開発してもらっています。私は今後クルマのソフトウェアをどうしていけばいいかという戦略の策定や、対外的な窓口を担当していますね。マネジメントもしていますが、私は技術が大好きなので、鴫原から話を聞いて議論することもたびたびあります」

鴫原

「何か課題があって、解決するための技術的な選択肢が2〜3個あったとして、今の状況を踏まえると無難にA案しかないよねと思って井手に持っていくと、『本当にそうなの?』『検討は十分なの?』とほぼ100%突っ込まれます」

井手

「日程などを加味するとA案が妥当でも、マネジメント側で日程や人のアサインを調整して少し頑張ればB案にできるなら、もう少し諦めずにトライしていこうという話をよくします。

あとは、時間が許す限り、鴫原から勉強させてもらうことがほとんどです。鴫原が技術的なことを説明してくれて、私が理解して、質疑を繰り返すなかで改善案を見つけることはよくありますね」

鴫原

「私自身は完成車メーカーやサプライヤーで働いた経験がなく、クルマの過去機種の事例も詳しくはありません。井手はそういった知識・経験をすべて踏まえたうえでの指摘やアドバイスをくれるので、『なるほど、それはそうだな』と思うところが多いです。一度持って帰ってまた検討して、という流れになりますね」

井手

「最終的に、技術的な解決策は鴫原がちゃんと見つけてくれています」

豊富なモビリティを持つHondaでは、ソフトウェアの力でさまざまなニーズに応えられる

これからますます成長が期待される、Hondaのソフトウェア開発。鴫原も井手も、最先端の仕事に携わるうえで大切にしている価値観があります。

鴫原

「井手がまさに体現しているんですが、技術に真摯であることは大切にしています。腹落ちしないことに対して妥協せず、技術に向き合わなければ本質的な技術開発はできません。真摯でなければ楽しくありませんし、きちんと向き合うことは大事ですね。

また、井手に何回言われたかわからないことですが、HowではなくWhyやWhatを重視することも心がけています。私は要求を受けて作る側だったので、なぜやるのか、何をするのか考えるよりもどうやってやるかを考えてしまいがちです。

しかし、Hondaでは、何でこの要求なんだろう、何がしたいんだろうという部分を大切にしています。これはHondaに入ってから意識するようになりました」

井手

「私は社歴が長いので、世界初の商品を1番早くお客様に届けたいという想いがあり、それは今回のソフトウェアデファインドモビリティも同様です。クルマは絶対に安心安全を担保しなくてはいけないので、そこは崩さず開発のスピードを上げる必要がある。難しいことですが、大切にしていきたいと思っています」

井手も鴫原も、モビリティ会社でソフトウェア開発をするからこそおもしろさを感じられると考えています。

井手

「アイデア次第でどんなことも実現できる可能性を秘めているのは、Hondaでソフトウェア開発をする魅力のひとつですね。

たとえば、レーダー(RADAR)は自動運転車に搭載すると外にある障害物を検知します。しかし、レーダー内のソフトウェアを少し修正すると、人間の心拍数も測れるようになります。そうすると、ヘルスケア用途にも使えますよね。

カメラもレーダーも昔からありましたが、それらを組み合わせてソフトウェアの力で自動運転車を作っているので、すごいと実感しますね。Hondaは四輪に限らず豊富なモビリティを持っているため、ソフトウェアの力でさまざまな人々のニーズを満たす商品を生み出していける。それは、ほかの完成車メーカーにない強みだと思いますね」

鴫原

「Hondaは世界中のお客様が利用いただく商品を作っているので、今まで考えたことがなかった世界中の情報に触れられることが魅力です。法規は国ごとに違うため、対応を変えなければならない場合もあり、世界でビジネスをするためには本当にいろいろなことを考えなければならないんだと肌で感じていますし、それがおもしろいと思います」

メーカーやサプライヤー、ソフトウェアベンダーなど、中途採用でHondaのソフトウェア開発に参画したメンバーのバックグラウンドは多岐にわたります。クルマは幅広い技術の集合体だからこそ、各人が得意な領域を活かすことができます。

井手

「マインド面では、0から1を作る仕事を楽しめる方に来ていただけるといいですね。モビリティのソフトウェア開発はWhyやWhatから考えてHowにつなげたり、教科書がないなかでモノづくりをしたりの連続です。それを楽しめる方なら、Hondaで活躍できると思います。

スキル面では、自動車はいろいろなスキルの集合体なので、広い領域のソフトウェアエンジニアの方が活躍できると思います。自動車や車載に関する経験がなくても技術的に共通するところがあれば、経験を活かしていただけるフィールドは多々あるかと思います。だからこそ、さまざまな分野のエンジニアの方と一緒に働きたいですね」

鴫原

「私も含めて全方位得意なエンジニアはいないと思うので、どんなところでも得意な領域があれば活躍できると思います。どちらかといえば、新しい技術を学ぶ貪欲さがあればいいですね。

たとえば私もセキュリティは詳しくありませんでしたが、Hondaに転職してからセキュリティ要件をたくさん見て詳しくなったので、興味を持って自分で勉強できる方に入っていただけるといいんじゃないかと思います」

ともに働くメンバーを増やしながら、さらなる開発体制の強化を目指すHondaのソフトウェア開発。幅広い領域のエンジニアが活躍できる最先端の現場で、今日もメンバーたちは真摯に技術に向き合っています。

Hondaではともに働く仲間を募集中です!

四輪向けソフトウェアプラットフォームの開発、及び開発環境の開発

※掲載内容は取材当時のものです。

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