Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

Hondaが学生に送るエール──新たな技術で社会にインパクトを与えよう(前編)

2022年12月19日、東京工業大学大岡山キャンパスで大学キャンパス出張授業*を開催。Hondaの青山・小栗・四竈の3名が「大変革期にあるモビリティ業界の面白さ ~新たな技術で社会にインパクトを与えよう~」というテーマで講演を行いました。

今回は当日のパネルディスカッションの様子をレポートします。「モビリティ業界が社会へ与える影響力」「仕事を通じて成長していく面白さ」などのテーマについて、参加学生たちの考えに耳を傾けながら、パネラーとなった3名が経験を踏まえた意見やメッセージを伝えました。

*一般社団法人 日本自動車工業会が、各地の大学と連携し、会員メーカー各社の経営トップをはじめとした多彩な講師陣が若い世代の方々にクルマ・バイク、ものづくりの魅力を直接語りかけるイベント

青山 真二Shinji Aoyama

本田技研工業 取締役執行役専務

1986年入社。二輪営業担当から始まり、欧州・アジア・北米などで責任者を担当。キャリアの半分以上は海外で仕事をする。さまざまな地域での経験に加えて、二輪や四輪など幅広い事業領域に関わり、現在に至る。

小栗 浩輔Kosuke Oguri

本田技研工業 事業開発本部 エネルギーシステムデザイン開発統括部 統括部長

2001年に入社し、電気系のエンジニアとしてキャリアを積む。四輪開発センター(当時)では、世界初となる量産車向けリチウムイオンバッテリーを開発。Honda R&D Americas, Inc.での駐在などの経験を経て、現在に至る。

四竈 真人Mahito Shikama

本田技研工業 事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 先進安全・知能化ソリューション開発部 部長

2002年に入社し、エンジンの制御開発に携わる。Honda R&D Americas, Inc.に駐在し市場品質に携わり、帰国後ハイブリッド制御開発を行ったあと、2015年から自動運転開発のプロジェクトリーダーを担当。2022年より現在の所属となる。

人は“移動すること”自体に魅力を感じる!?

パネルディスカッション1つ目のテーマは、「モビリティ業界が社会に与える影響力」。

モビリティ業界に対しどのようなイメージを持っているか学生に聞いたところ、「日本の中心産業」や「移動範囲が拡がることで夢が抱ける。ロマンや夢が詰まっていて、人や社会を動かす業界」といった意見が挙がりました。

それを受けて、パネラーの3名がそれぞれ持っているモビリティのイメージについて、語りました。

四竈

「私には小学生の子どもがいるんですが、子どもは自転車に乗り始めると行動範囲が極端に広がるんです。そうすると、行くあてもなく毎日自転車に乗り続ける。あの感覚がモビリティの原点なんだと思います。

大人になると移動手段がクルマになって、移動範囲が拡がり、同じようにロマンを感じる。人には、移動することに対して根本的欲求があるんだろうなと思いました」

学生からは、「モビリティは人間の動きや物流など、人やものの移動を支える社会基盤になっている」という意見も寄せられました。

四竈

「モビリティが社会基盤になるというのは、その通りだと思います。だからこそ、移動しているもののデータってすごく価値があるんですよね。

また、人の移動を支えるものという考えにもすごく共感します。遠くのものに価値を感じて移動する人は多いのではないでしょうか。

私は熊本県に住んでいたとき、県内にある黒川温泉という温泉には一度も行かず、その後引っ越しをして栃木県に住んでから初めて行きました。逆に栃木に住んでいると、有名な鬼怒川温泉にはほとんど行かないんですよね(笑)。“移動して行くこと”に価値があるというのは誰しも経験したことがあると思いますね」

青山

「今四竈さんのお話を聞いて感じたことがあります。私は先ほど講演パートで、『近代に変化を与えた大きな要素は、モビリティとエネルギーとコミュニケーション』だと申し上げましたが、実は今はこの3つがすごく近づいていると思うんです。

確かに移動の自由を与えるモビリティはある一方、コミュニケーションが進化するなかで移動の必要性が少なくなっていっているのも事実です。これは面白いことなんだろうなという気がしています」

小栗

「実は私も同じ疑問を持ち、『移動ってなんだろう』とまじめに調べたことがありました。ある哲学者が言っていたんですが、人間は『自分の人生にきっといいことがある』と思う仕組みになっているそうです。いいことがあると思うから、辛いことがあっても頑張れる。それが1番端的な行動に表れるのが、移動だと思うんです。どこかに移動すると、新しい出会いがあるかもしれない。そういう気持ちがあるから、人は移動します。

先ほど青山さんが言ったように、移動という行為は技術の進化によって減っている側面もありますが、“人は絶対に移動する”という仮説を私は持っています。答えはわかりませんが、モビリティは社会基盤の側面があると同時に人間にとって根本的な魅力として存在すると思うんです。われわれが責任を持ってその価値を上げていかなければならないという気持ちで、私は仕事をしています」

仕事を通して社会への影響力を感じた出来事――世界中のお客様に価値を届ける

さまざまなモビリティを扱うHonda。そこで働く社員は、モビリティを通じて社会に良い影響を与えられると信じて開発を行っています。3人が仕事をするなかで、社会への影響力の大きさを感じた経験を語りました。

小栗

「開発はプロジェクトチームで進めるので、大学生の皆さんの研究室と似ています。ひとつの目的に向かって小さいチームで仕事をするんですが、開発したものが世に出て量産され、世界中に広がっていくのを目の当たりにできると、仕事の影響力の大きさを感じます。

たとえば駐在でアメリカに住んでいたころ、10年前に開発したクルマとすれ違うことがありました。家族で楽しそうに乗っていただいているところを見て、エンジニアとして感激しましたね。

また、私は電気系で協業メーカーさんと一緒に仕事をするんですが、本気で仕事をすることで、一緒に価値を分かち合えます。社内外含め、いろいろな方と同じ価値を共有できるのは、エンジニアとして非常に魅力的だと思いますね」

四竈

「私も会社に入って最初に自分が関わったクルマが走っているのを見たとき、ものすごく感慨深かったのを思い出します。『本当に走っている』と感動した一方、ちょっと不安で、いろいろな感情が込み上げましたね。

最近の事例でいうと、自動運転レベル3*を出したときにいろいろな取材を受け、さまざまなメディアにも取り上げていただきました。海外の関係者の方々からも『すごいことをやりましたね』という賛辞をいただいて、影響力の大きさを感じましたね。

Hondaがこんなことをやってくるなんて想像していなかった関係者からは『Hondaはダークホースだ』とも言われたようですが (笑)、やった甲斐があったなと思います」

*Hondaは2020年11月、当時世界初となる自動運転レベル3 型式指定を国土交通省から取得し、2021年3月には「自動運行装置」であるトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を実現したHonda SENSING Eliteとそれを搭載する新型LEGENDを発表した。
詳しくはこちら

青山

「おふたりはエンジニアなので技術が軸になっていると思いますが、私は営業領域出身ということもあり、話術が軸になっていますね。とは言ってもやはり、製品を使っていただいているお客様とつながり、モビリティ業界でやって良かったと感じるのは同じです。

私は36年前に入社して、最初の仕事がオートバイの卸販売の担当だったんです。そこでお客様から品質の問題を指摘されることがありました。あれが悪い、これが直らない、すぐ壊れるという話を何度も聞いて、会社に部品を持って帰って直したこともあります。使っていただいた方々に迷惑をかけてはいけないと、そのときに実感しましたね。

いろいろな拠点で仕事をしましたが、特に新興国でモビリティを普及していく活動をしていたときに影響力の大きさを感じました。あるとき、インドで二輪の会社の責任者をしていたんですが、お客様と直接話をする機会が多々あり、本当に喜んでいただけているのが伝わってきたんです。

日本でももちろん喜んでくださるお客様はたくさんいらっしゃいますが、新興国では生活がかかっています。モビリティを手にすれば移動の自由が手に入り、所得が増えて生活が豊かになる。日本にいるとそういった実感を持つことが難しい面もありますが、世界ではそのような局面を迎えている国がたくさんあるので、モビリティの影響力を特に感じますね」

何歳になっても学び続けるおもしろさ

パネルディスカッション2つ目のテーマは、「仕事を通じて成長していくおもしろさ」。

幅広く事業を展開し、業務内容も多岐に渡るHondaでは、キャリアを通じた成長もさまざまです。

四竈

「私はもともとエンジニアで今は自動運転に携わっていて、小栗さんはバッテリーの開発、青山さんは話術!Hondaにはさまざまな活躍フィールドがありますよね」

青山

「私は話術を鍛えながらキャリアを積んできましたが、時代が変わるなかで文系の私も多少技術のことも知らないとうまくいかないと、最近はよく感じています。

これは3年前でも想像すらできていなかったことですが、先月私は海外のとある会社に行き、電池の部材のプロセスを見て議論してきました。要は技術屋ではない、文系の私がそこに関わっていかなければいけない時代になっているということです。

特に電池でいうと、極めて重要な構成部材があり、それを知らなければビジネスが成立しない時代が来ていますね。私はもうじき59歳になりますが、この歳でこんなに学ばなきゃいけないことが出てくるのは、大変面白いですね」

「仕事を通して学び続ける」というエピソードが出ましたが、これから社会に出る学生たちは仕事に対してどんなイメージを抱いているのでしょうか。

失敗を恐れずどんどんチャレンジしよう。そこから素晴らしい価値が生まれる

イベント当日のキャンパス内の様子。Honda製品の特別展示を行いました。

参加した学生に、働くことのイメージや社会に出て成し遂げたいことを聞いてみたところ、「仕事に責任が伴うことが不安」という声がありました。

小栗

「会社はビジネスとして製品を世の中に出していくため、仕事に責任は伴います。ただし、誰かひとりが失敗したからダメでした、ごめんなさい、とならないような仕組みを、会社はしっかりと持っています。

のびのびと仕事に取り組んでもらって、少し失敗するくらいでも構いません。組織としてカバーした上で世の中に製品を出していく機能が会社には整っています。心配しなくて大丈夫だから、逆にどんどん失敗してほしいと私は思いますね」

四竈

「今小栗さんからどんどん失敗しろという話がありましたが、私もそう思います。失敗しないように何もしないのが、1番困るという感覚です。実際に私も、部下の失敗は上司のもので部下の成功は部下のものという考え方でやっています。

失敗を恐れずにどんどんチャレンジすることで、素晴らしい価値が生まれてきます。お給料をもらって働くという責任はありますが、仕事のうえでの前向きな失敗は何の問題もないと思いますね」

青山

「“社会に出る”ことは、必ずしも制度が整った会社で働くことを指すわけではないと思います。ずっと研究を続けられる方も学生さんも、社会の一員ですよね。そのなかで会社は、比較的仕組みが整っているからどんどんチャレンジしましょうよという状態だと思います。

ただし、会社という場所にいすぎると、何をするとどんなことにつながって稼げるかというビジネス上の実感が得られにくい面もあります。大きな会社で仕事をするのも悪くありませんが、自ら起業してメイクマネーしていくのもいいですね。一長一短あって、どちらも大事だと思いますね」

パネルディスカッション後半に続く

パネルディスカッション後半では、「学生時代に身につけたい力」「何が起こるかわからない時代に大切なマインド」についても意見が飛び交いました。

パネルディスカッション後半の様子は、次週お届けします。お楽しみに。

※掲載内容はイベント実施当時のものです。

Recruit

採用情報

Hondaは
共に挑戦する仲間を
募集しています