#1 ピュアな電源で、
僕の曲を、そして父を聴く

コンテンポラリー・シンガーソングライター尾崎裕哉

Hondaが発電機で培った技術を基に作ったポータブル電源 LiB-AID E500。その高品位な電源特性を活かしてオーディオに向けて磨きをかけた1台がLiB-AID E500 for Musicだ。オーディオの電源を変えると果たしてどれだけの効果が表れるのか。サウンドを生み出すアーティストである尾崎裕哉さんが聴き比べを行った。

Hondaが「いい音」で音楽を聴かせてくれると言う。あの、クルマやバイクで有名なHondaだ。それだけ聞くと何の話か分からないかもしれない。今日の主役は片手で持てる大きさのバッテリーだ。Hondaは、これを蓄電機と呼んでいる。

僕とHonda蓄電機の出会いは2019年7月。野外のアコースティックライブで演奏したときのことだ。そのときのライブは、すべての電源を蓄電機、この小さなポータブル電源でまかなってサウンドを鳴らすという一風変わったライブだった。普通、野外ライブと言えば大きな発電機で機材を動かす。発電機の大きな音に負けないような大きな音で演奏するのが野外ライブの定番だ。でも、そのときのアコースティックライブは、鳥のさえずりと吹き抜ける風の音が聞こえてくるほど自然そのまま。ギターと僕の声だけが草原に響き渡る。しかも、そのサウンドはとてもクリアなもので、シンガーとしてはちょっと印象的なライブ体験だった。

2019年7月の野外アコースティックライブ Photo:Atsuki Iwasa

その蓄電機にオーディオ仕様が開発された。名前は『LiB-AID E500 for Music』。CDを聴いても音が変わるという。オーディオ機器の電源を変えると音が変わると言っても、にわかに信じがたいかもしれない。でも、僕らアーティストからすれば当たり前のことだったりする。曲を収録するスタジオにはノイズの少ない電気を取るために特殊なコンセントが設置してある。実は僕も、自宅では200Vの電気をトランスで100Vに変換して、ちょっといいコンセントから収録機材に繋ぐこだわりを持ってたりする。だから、Hondaがピュア電源と呼ぶこのE500 for Musicには興味がある。

今回、試聴のために、立派なオーディオを用意してもらった。そのオーディオのCDだけ電源を変えて聴き比べてみるという。
商用電源、いわゆる壁のコンセント(通称:壁コン)から普通に電源をとってCDを鳴らす。まず、最初に選んだのは、父 尾崎豊の『音のない部屋』。幼い頃から何度も聴いたことのある曲を、ゆっくりとしっかり最後まで聴く。
次にLiB-AID E500 for Musicに繋ぎなおしてCDを再生してみる。驚いた。イントロが流れたとたん、音の世界が変わったようだ。”壁コン”で聴いたときは、聴き慣れた温かみのある音だと感じた。でも、E500 for Musicに変えた瞬間、サウンドがクリアになり、音域が全域に広がる感じがしたんだ。

次に、僕の曲『Glory Days』を試してみた。音が良くなるのはもう分かってる。それでもビックリした。それこそ曲が生まれるときから、何度も何度も聴いた曲だったけど、レコーディングのときのスタジオを思い出させるようなサウンドと言えばよいのだろうか。サウンドに変な演出がなく、それぞれのスペクトルの中で全部の音が立っている感じ。音楽業界の人にはスタジオモニターっぽいサウンドと言えば分かりやすい表現かもしれない。

同じように音質が良くなるといっても中身は少し違う。今の楽曲は、ProToolsと呼ばれるデジタルツールでレコーディングを行う。だから、デジタルらしい緻密で解像感のある曲に仕上がる。そもそもミックスの段階での分解能が高い曲をE500 for Musicを電源に再生すると、さらにクリアになった。
一方、父の時代、楽曲のレコーディングはテープで録っていた。尾崎豊のCDは当時としては最高峰の音だったらしいが、現代から見れば少し前の時代に制作したCDであるわけで、そんな昔の音源の方がE500 for Musicで鳴らすと音の違いがはっきり出た。きっと、当時のスタジオで聴くってこういう感じだったんだろうと思う。そんな鮮明さを感じることができて、音の伸び代を感じることができる。

そう考えると、E500 for Musicは、今の音楽もいいけど、昔の音源で録られたクラシックやジャズを聴きたくなる。
何度も聴いたことがある曲。そのサウンドが変わるだけで、これほどの感動が得られる。この小さいボディーのピュア電源があれば、それが実現できる。自宅でもトコトン音にこだわるなら、電源をE500 for Musicにするのは大いにアリな選択だと思った。時代の進化というかテクノロジーの進歩に驚きを隠せない自分がいた。

試聴したオーディオ★CDプレーヤー:Marantz SA-12
 プリメンアンプ:Marantz PM-12
 スピーカー:Bowers & Wilkins 706S2

★印の機器にLiB-AID E500 for Musicを接続

尾崎裕哉 スペシャルムービー

■︎前編 サウンドレビュー

■︎後編 開発者インタビュー

コンテンポラリー・シンガーソングライター尾崎裕哉

1989年、東京生まれ。バイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター。もっとも敬愛するアーティストはジョン・メイヤー。父親が遺した音源を繰り返し聴き続け歌唱力を磨き、ギターとソングライティングを習得。ライヴパフォーマンスの経験を重ねながら、バークリー音楽大学の短期プログラムへ参加し、音楽スキルをレベルアップ。
2017年ホールツアー《HIROYA OZAKI "SEIZE THE DAY TOUR 2017"》が開催された。