FIA-F4 2019 | 総集編

HFDPがFIA-F4シリーズ全7大会14レースで優勝
佐藤蓮がシーズン8連勝の偉業を挙げてチャンピオンに

2019年度のHFDP(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)のFIA-F4選手権の体制は、三宅淳詞、太田格之進、佐藤蓮および小山美姫の4人で始まった。ただし、小山はヨーロッパで開催される女性選手のみのフォーミュラレース、Wシリーズと並行して参戦する予定となった。

岡山国際サーキットで開催されたシリーズ開幕戦でポールトゥウインを飾ったのは、F4参戦2年目の佐藤だった。昨年4輪レースにデビューした佐藤は、本来の速さを発揮することができず、14戦中最高位は4位、シリーズランキング7位に終わっていた。しかし2年目のチャンスを得るとシーズンオフにレーシングカートや4輪車両で走り込むとともに精神面を鍛え、自信を持って開幕戦に臨み、思い通りの結果を獲得した。

第2戦でも佐藤は速さをみせたが、ジャンプスタート判定を受け、ドライブスルーペナルティーが科せられて後退した。代わって首位に立ったのは参戦初年度、デビュー2レース目の三宅だった。三宅は後続車から攻められながらも落ちついて逃げきり初優勝。HFDPは開幕2連勝と幸先のよいスタートを切った。

富士スピードウェイで開かれた第2大会でも佐藤は速く、第3戦、第4戦と優勝を飾って3連勝を挙げ、シリーズランキングで独走状態のトップに立った。第3大会はHFDPの選手たちが走り慣れた鈴鹿サーキットで開催された。第1大会と第2大会はWシリーズ出場のため欠場した小山は、この大会からチームに合流。しかし、小山は感覚を取り戻すことができず苦戦する。ほかの3選手は、F4参戦初年度の太田が2戦連続でポールトゥウインを飾り、佐藤が2戦連続で2位、三宅が2戦連続で3位に入賞と、HFDPが2レースともに表彰台を独占するという完勝を飾った。

開幕からHFDPは快調で、佐藤をトップに太田や三宅もシリーズポイントランキング上位に並んでいたが、シリーズ中盤を迎えると、参戦初年度の太田、三宅にはミスや不振が目立つようになる。一方、佐藤はますます自信にあふれた走りを展開するようになり、徐々にポイントランキングでも後続を引き離し始めた。2カ月にわたる長いインターバルを挟み、富士スピードウェイで開催された第4大会では、佐藤がセーフティカー介入による波乱や自分のミスにも動じることなく2戦連続ポールトゥウインを達成。ポイントランキング首位の座を固めていく。

オートポリスへ転戦して行われた第5大会でも、HFDPの三宅、佐藤、太田が快調でスターティンググリッド上位を占めた。第9戦決勝では佐藤がシーズン6度目の優勝を挙げ、三宅、太田が2-3位に続いて、表彰台をまたもHFDPが独占する完勝を遂げた。佐藤は第10戦も制し、前大会から4連勝でシリーズ通算7勝目を記録、ついにシリーズチャンピオンに王手をかけることとなった。

第9戦ではHFDPの佐藤、三宅、太田が表彰台を独占
第9戦ではHFDPの佐藤、三宅、太田が表彰台を独占

佐藤が王座をかけて迎えた第6大会はスポーツランドSUGOで行われた。公式予選では三宅が2レースともにポールポジション(PP)を獲得、佐藤は2戦連続で2番手からのスタートとなった。しかし佐藤はスタートに自信を持っており、全く動じることはなかった。その自信を表すかのように、佐藤は第11戦決勝のスタートで三宅をかわしてトップに立つと、そのまま走りきって優勝。5連勝、シリーズ通算8勝目を挙げて、最終大会を待たずにシリーズチャンピオンを獲得した。佐藤の勢いは止まらず、第12戦でも三宅をスタートでかわして優勝、王座獲得に華を添えた。

最終大会はツインリンクもてぎで開催された。F4チャンピオンとしてレースに臨んだ佐藤は、ここでも圧倒的なパフォーマンスを発揮して2レースを制し、シーズン8連勝というFIA-F4史上初の偉業を達成。シリーズ通算11勝を挙げてシーズンを締めくくった。シリーズランキングでは、シーズン終盤に力を発揮した三宅が2位につけた一方、シーズン後半失速した太田は6位となった。小山はWシリーズのスケジュールで欠場した大会もあったほか、流れに乗ることができず、ランキング17位で終えた。HFDPはシリーズ全7大会14レースでPPを獲得、優勝を記録してシーズンを完全制覇した。

シーズンが終了後の11月27日には、SRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクール フォーミュラ)の新たなスカラシップ生が決定した。FIA-F4の18年シーズンは角田裕毅が王座獲得、19年シーズンは佐藤、三宅、太田の3名が席巻したHFDPに加わり、来シーズン開幕を待つことになる。

POINTS

順位 No. ドライバー 車名 総合 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
17佐藤蓮SRS/コチラレーシング 311 25 0 25 25 18 18 25 25 25 25 25 25 25 25
2 5 三宅淳詞 HFDP/SRS/コチラレーシング 147 0 25 0 1 15 15 2 DNF 18 18 18 18 2 15
3 63 川合孝汰 DENSOルボーセ IPG F4 131 0 10 10 15 6 8 8 8 10 15 15 8 DNF 18
4 24 平木玲次 Media DoADVICS影山F110 129 10 6 1 18 4 4 DNF 18 4 12 12 10 18 12
5 60 菅波冬悟 OTG DL F110 128 15 18 4 8 12 12 18 15 6 6 8 6 DNF DNF
6 6 太田格之進 SRS/コチラレーシング 125 0 0 18 10 25 25 12 2 15 8 0 0 4 6
                     
17 8 小山美姫 #USLETE Honda Racing 7 - - - - - - 4 0 0 0 0 2 1 0