「自分のキャリアが終わった」
#AbuDhabiGP
フェルナンド・アロンソは、本日のアブダビGPで10位入賞を果たし、2016年FIAフォーミュラ・ワン世界選手権において最後の1ポイントをMcLaren-Hondaにもたらしました。その結果、チームのコンストラクター選手権における6位が確定しました。
最終スティントに向けて新品のプライムタイヤを装着したアロンソは、前方のマシンとのタイム差をすぐに縮め始め、すぐ前を走るマシンに対して1周あたり1〜2秒ずつ差を詰めました。
ただアロンソは、フェリペ・マッサ選手(Williams)に対するビハインドを15秒縮めながらも、マッサ選手をオーバーテイクすることはできず、最終的に10位でチェッカーフラッグを受けました。
一方、ジェンソン・バトンの最後のグランプリは、フロント右側のサスペンションに不具合が発生したため、わずか12周で終了しました。その結果、17年間で305戦という彼の輝かしいF1キャリアが少し早く幕を閉じることになったかもしれません。ただ、友人、家族、そして数々のすばらしい思い出に包まれる中、さまざまな想いが駆け巡る週末を終え、それがバトンのスピリットに影を落とすことはありませんでした。
バトンの人生の新しい章は、(恐らく本人がそうするに十分に値する朝寝をしたあと)月曜日の朝に始まります。McLaren-Hondaにとっては、2017年シーズンが明日、本格的にキックオフを迎えます。
順位 | ゼッケン | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 55 | 1:38'04.013 |
2 | 6 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | 55 | +0.439 |
3 | 5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 55 | +0.843 |
4 | 33 | マックス・フェルスタッペン | Red Bull | 55 | +1.685 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 55 | +5.315 |
6 | 7 | キミ・ライコネン | Ferrari | 55 | +18.816 |
7 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | 55 | +50.114 |
8 | 11 | セルジオ・ペレス | Force India | 55 | +58.776 |
9 | 19 | フェリペ・マッサ | Williams | 55 | +59.436 |
10 | 14 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | 55 | +59.896 |
11 | 8 | ロマン・グロージャン | Haas | 55 | +76.777 |
12 | 21 | エステバン・グティエレス | Haas | 55 | +95.113 |
13 | 31 | エステバン・オコン | Manor | 54 | +1Lap |
14 | 94 | パスカル・ウェーレイン | Manor | 54 | +1Lap |
15 | 9 | マーカス・エリクソン | Sauber | 54 | +1Lap |
16 | 12 | フェリペ・ナスル | Sauber | 54 | +1Lap |
17 | 30 | ジョリオン・パーマー | Renault | 54 | +1Lap |
NC | 55 | カルロス・サインツ | Toro Rosso | 41 | DNF |
NC | 26 | ダニール・クビアト | Toro Rosso | 14 | DNF |
NC | 22 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | 12 | DNF |
NC | 77 | バルテッリ・ボッタス | Williams | 6 | DNF |
NC | 20 | ケビン・マグヌッセン | Renault | 5 | DNF |
フェルナンド・アロンソ MP4-31-04
「今日はいい内容で楽しかったものの、難しいレースでもありました。
Force IndiaとWilliamsのマシンに対して私ができることは、あまりありませんでした。それでも最終ラップまで戦って、かなり近いところまで差を詰めることができました。ですから、今日獲得したポイントには満足していますし、コンストラクター選手権とドライバー選手権で自分たちの順位を死守できたことをうれしく思います。
全体的に、今シーズンは前向きな一年でした。2015年に比べて飛躍的な進化を遂げることができました。ただ、我々はワールドチャンピオンシップで優勝したいのです。それを達成するには、まだ長い道のりが待っています。これから長い冬が待っているので、その間に最大限の努力をして、(来季の初戦が開催される)オーストラリアには、より競争力のあるマシンを持ち込めるようにします。
ジェンソンの最後のレースが、序盤で終わってしまったことは残念です。ただ、ジェンソンは来年もチームに残りますし、彼は新しい役割を担う中で我々にとって大きな財産となるでしょう。
最後に、ニコ・ロズベルグ選手(Mercedes)がワールドチャンピオンに輝いたことを、とてもうれしく思います。彼はすばらしいシーズンを送っていましたし、チャンピオンに値するドライバーです。ロズベルグ選手は、常に自分の可能性を信じていましたし、自分のアドバンテージを完ぺきに守りました。ロズベルグ選手もルイス・ハミルトン選手(Mercedes)もすばらしい仕事をしました。ただ、ハミルトン選手はすでに3回タイトルを獲得しているので、今年はロズベルグ選手がワールドチャンピオンになる番でした!」
ジェンソン・バトン MP4-31-03
「マシンのサスペンションの部品に不具合が発生しましたが、その問題が起こるのは非常にまれです。フロント右側で不具合が発生したのですが、(11コーナーの手前で)ブレーキを踏む前になにが起きたのかを理解することができて、ホッとしています。部品に不具合が発生することは滅多にないというのが常に我々の大きな強みでしたが、今日に限ってなにかが壊れてしまいました。でもそれは単に不運であったに過ぎないのです。
それでも、今日は大いに楽しむことができました。
私のレースはすぐに終わってしまったものの、それ以外のすべてのことを楽しむことができました。今日マシンに乗り込む前に、とても感傷的な気持ちになりました。ガレージに向かう際にチームのみんなと、友人と家族の全員が応援してくれて、本当に特別な雰囲気でした。そのときサングラスをかけていて、よかったです…。
私は自分のキャリアの中で達成したすべてのことに、とても満足しています。そのキャリアが終わりました。ただ、私は今この瞬間を生きているので、今夜は思う存分楽しみます!」
エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
「今日はフェルナンドがミスのない走りで10位入賞し、チームのためにワールドチャンピオンシップポイントを1点獲得してくれました。ただ、再び力強い走りを披露してくれたフェルナンドの功績を損なうことのないように祈りながらも、今日は我々にとってジェンソンがすべてでした。
ジェンソンのレースがサスペンションの不具合によって終わってしまったことに、悲しく、申し訳ない気持ちでいます。ただ、リタイアによって彼が失ったいくつかの順位というのは、イギリス人の同僚が言うように彼のこれまでの偉業から見れば、それほど大きな意味を成すものではありません。
ジェンソンのMcLarenでの記録がそれを物語っています。彼は8回のグランプリ優勝を飾り、そのうちのいくつかは本当に見事な勝利でした。また、彼は(我がチームで過ごした)このすばらしい7年間でMcLarenのスタッフやファンの心を虜にしました。チーム全員を代表して、ジェンソンに敬意を表します。
もちろん、来年もジェンソンはチームに残り、我々をさまざまなかたちで手助けしてくれます。ただ、我々のマシンでレースに臨むのは、現在、世界で最もすばらしいレーシングドライバーと言われるフェルナンドと、限りない可能性を秘めているストフェル・バンドーンです。立証済みの経験を持つベテランと将来有望な若手ドライバーという2人をF1ドライバーのラインナップの中で最適な組み合わせとみなすのであれば(実際に多くの人がそう考えています)、我々の2017年のドライバーよりも優れたペアの名前を挙げてみてください。
2016年シーズンが幕を閉じるにあたり、今季に目を見張る進化を遂げたHondaを褒めたたえたいと思います。また、我々のスポンサーおよびパートナーの方々に対しても、引き続き重要なサポートをいただいていることに感謝します。チームのスタッフ全員にも「よくやった」と肩をたたいてやりたいと思います。難しい状況の中、みんながファインプレーをしてくれました。メカニックのメンバーが言うように、「よくやった」というのが最も適した表現です。
また、世界で一番のファンの皆さんに対して敬意を表します。皆さんが我々を信じて忠実にサポートしてくださっていることは、いつもチームにとって刺激となっています。ファンの方々が #BelieveInMcLarenHonda で惜しみない活力を与えてくださっていることに感謝いたします。
最後になりましたが、今夜ここアブダビで、このすばらしいシーズンを経てワールドチャンピオンに輝いたニコ・ロズベルグ選手にチームを代表してお祝いの言葉を述べたいと思います。ニコがMcLarenのドライバーになったことはありませんが、我々は彼のことをよく知っています。ニコの有名な父であるケケ(ロズベルグ)が30年前にMcLarenのドライバーだったころ、彼に紹介されて、まだ子どもだったニコをパドックのモーターホームに初めて迎え入れました。ニコ、そしてケケ、おめでとう!」
長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「2016年最後のレースが終わり、まずは今年一年間がんばってくれたチームの全員に感謝したいと思います。我々が実現できた、昨年からの進化を誇らしく思っています。
本日のジェンソンのレースは、残念ながら早い時点でのリタイアとなってしまいましたが、本人が望んでいた通りに力強いレース展開ができていたことがよかったと思います。ジェンソンが走れなかった分、フェルナンドが最後までチャレンジングスピリットをみせてくれ、順位を上げようとファイナルラップまでプッシュしてくれていました。波乱もなく、難しいレースで最後にポイントを獲得でき、シーズンの締めくくりとして満足できる結果だと思います。
また、明日からは早速、来季を見据えた開発活動にフルパワーで挑み、冬季テストではさらなるステップアップを目指したいと思います。
最後に、ジェンソンは本日をもってF1へのフル参戦からは離れて休養を取るので、レース現場で頻繁に会えなくなるのは本当に寂しくなりますが、本人の方が寂しくなって、いつか戻ってきてくれることを期待しています。ありがとう、ジェンソン!」