
第17戦は舞台をオーストラリア東海岸へと移し、サーファーズパラダイスのストリート・コースで開催。雷雨となった日曜日のレースは予定どおり午後2時にスタートしたが、オープニング・ラップのフロント・ストレートで9台を巻き込む大クラッシュが発生し、赤旗中断。CARTは周回数を本来の70周から50周へと短縮して3時27分に再スタート。しかし再び雨が強くなったために、10周でフルコース・コーションとなる。天候は一向に回復せず、追い越し禁止のコーションのままでピット・ストップのタイミングだけが勝負を決める展開となったレース。結局、予定よりさらに10周短い40周目で再び赤旗となり、3位を走行していたポール・トレイシーが今季4度目の表彰台を獲得した。 |
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第17戦は観光地として名高いオーストラリア・ゴールドコーストのサーファーズパラダイス。今年で12回目の開催となるこのイベントは地元でも非常に人気が高く、今年は約30万人もの観客が訪れた。コースは細長いレイアウトで、シケインが設置されている2本のストレートでは最高速度300キロを超える。
予選10月26日(土)
金曜日の第1予選ではポール・トレイシーが2番グリッドを確保。翌土曜日の最終予選ではトニー・カナーンが好調で、1999年にダリオ・フランキッティがマークしたコース・レコードを凌ぐ90.427秒のタイムで2列目3番グリッドを確保。この予選セッションでは、ポール・ポジション以下11台のマシンが旧コース・レコードを破るタイムを記録した。さらにHonda勢は1995年の覇者ポール・トレイシーが90.731秒で5番手、ストリートを得意とする中野信治がトップから0.732秒遅れの90.936秒で7番グリッドを確保。1998年と1999年に2年連続でポール・ポジションを獲得しているダリオ・フランキッティは8番手となり、2000年のウイナー、エイドリアン・フェルナンデスは10番手。このコースで過去に2度ポール・ポジションを獲得し、1994年に優勝しているマイケル・アンドレッティは今回16番手からのスタートとなる。
決勝10月27日(日)
10万人以上もの観客が訪れた決勝日だが、朝から生憎の雷雨となったサーファーズパラダイス。午後2時7分、完全なウェット・コンディションの中、グリーン・フラッグを合図にレースがスタート。水しぶきでほとんど視界ゼロとなってしまったオープニング・ラップで、エイドリアン・フェルナンデスとJ.バッサーが接触。これが引き金となって9台のマシンを巻き込む大クラッシュが発生する。
レースはすぐに赤旗中断。このアクシデントでエイドリアン・フェルナンデスと高木虎之介はメディカル・センターで検査を受けるために、リタイアを余儀なくされる。中断から一時間以上経過した3時27分、CARTは周回数を当初の70周から50周へと短縮してレースを再開。本来の周回数である70周の半分以上、36周を完了した時点で中断となればレースは成立する。
3時44分、3周のフルコース・コーションを終え、16台のマシンがグリーン・フラッグを合図に再スタート。ところが5分もしないうちにどんどん雨が強くなり、10周目にCARTは安全のためフルコース・コーションを提示。このタイミングを利用してほとんどがピット・ストップを行うが、中野信治とマイケル・アンドレッティはあえてピット・インを見送る作戦に出る。
その後マイケル・アンドレッティは16周目にピット・ストップ。このままフルコース・コーションが続いて規定の36周を消化した時点で赤旗中断となれば、優勝となる。また50周を走りきった時点で終了となれば、30周目にストップを行っているトニー・カナーンの優勝で決まるという状況だ。
しかしCARTは36周目ではなく、雨が激しくなってきた40周目に赤旗中断とすることを決定。フルコース・コーションのまま迎えた40周目に赤旗とチェッカード・フラッグが同時に振られ、その時点で3位を走行していたポール・トレイシーが、今シーズン4度目の表彰台に上がった。今回優勝こそ逃したものの、Honda勢は合計4台がトップ10入りを果たす。
一方、予選7位スタートの中野信治はフルコース・コーション下の17周目にピット・ストップ。36周目に中断となることを見越したチームの判断でいけば、上位入賞も夢ではなかった。だが結局CARTの判断は40周目での中断となったことで作戦が狂ってしまい、中野信治は36周目にピット・イン。結果13位完走、ノーポイントという結果に終わった。
P.トレイシー(3位)
雨がどんどん強くなってきて、自分もチームも一体どうなっているのか良く分からない状態だった。あそこまでレースが続いた理由も良く理解できない。最後はかなり暗くなっていたしね。天候に関しては誰のせいでもない。こればかりはどうしようもないからね。
T.カナーン(5位)
こんな一日は初めてだ。なんといってもファンには気の毒なレース内容だった。あのまま50周でレースが行われていたら優勝は自分達のものだったと思うと残念だ。どんな形にしろ優勝は優勝だからね。今回CARTは違った判断をしたわけだ。次回フォンタナで雪辱を果たすよ。
D.フランキッティ(7位)
最初のアクシデントでは前のほうにいたために助かった。視界ゼロの状態だったから前を行くシンジ(中野)についていったよ。こんなレースは初めてだ。本来なら36周目でストップすべきで、あの時点でトップだったマイケル(アンドレッティ)が優勝のはずだったと思う。
M.アンドレッティ(9位)
非常に残念な結果だ。なにか政治的な判断があったとしか思えないね。16周目でピット・ストップする作戦に出たチームの判断は正しかったはずだ。あの視界の中でなぜ36周でレースが終了とならなかったか不可解だ。とにかく今日は失望したよ。
中野 信治(13位)
最初のスタートは意識的に前を空けていたのですが、それでも何も見えませんでした。今回は36周でゴールになるとチームが判断したので17周目にピットへ入ったものの、結局そうならなかったのは残念です。作戦が上手くいけば3位に入れたのですが。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
多重事故に巻き込まれたエイドリアンの状態は、幸いそれほどひどくないと聞いて安心しました。レースはひどい雨の中でほとんどがイエローラップとなり、まるっきりレースになっていません。そんな中でもポールのピットインの作戦が成功して3位が獲れた事は良かったですね。次のフォンタナではクリーンなパワーレースでぜひとも勝ちたいと思っています。
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