
第16戦はフロリダ州マイアミのストリート・コースで開催。高温多湿の厳しいコンディションの中、午後1時14分にスタートしたレースで今季初ポールを獲得したトニー・カナーンが好調にリード。しかし19周目にS.ディクソンに接触されて後退を余儀なくされ、代わってHonda勢はダリオ・フランキッティが2位に浮上し、予選16番手からスタートのポール・トレイシーも4位に躍進する。ところがレース後半の89周目にダリオ・フランキッティがターン3でタイヤバリアに突っ込み、3位に上がったポール・トレイシーも残り7周のところで後続に追突されて戦線離脱。不運に見舞われたHonda勢はエイドリアン・フェルナンデスの7位が最高位という結果に終わった。 |
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第16戦の舞台となるのはマイアミ市街地のストリート・コース。フロリダ州でのCARTシリーズ開催は2000年以来で、今回のコースはウォーター・フロントのベイフロント・パーク内に特設された。ストリート・コース特有の、様々な路面変化に対するメカニカル・グリップがキーとなる。
予選10月5日(土)
金曜日に行われたドライコンディションでの第1予選で、トニー・カナーンが暫定ポール・ポジションを獲得、好調な滑り出しを見せる。以下Honda勢はダリオ・フランキッティ、エイドリアン・フェルナンデスらが初日予選でトップ10入り。迎えた翌土曜日の最終予選、午前中のプラクティス途中から雨が降り始めたため、セッション前半は完全に路面がウェットの状態。予選後半は雲の隙間から日が差して徐々に路面も乾き始めたが、コースの一部はドライとなっても依然滑りやすく、水はけの悪い状態が重なってタイム・アップはほぼ不可能な状況だ。結局どのドライバーも予選初日のタイムを凌ぐことは出来ず、トニー・カナーンが昨年のシカゴ以来、通算3度目となるポール・ポジションを獲得。以下Honda勢はダリオ・フランキッティが7番手、エイドリアン・フェルナンデスが9番手を確保。中野信治は11番手、マイケル・アンドレッティは14番手、ポール・トレイシーは16番手からのスタートとなる。
決勝10月6日(日)
高温多湿の厳しいコンディションとなった日曜日、午後1時14分、グリーン・フラッグとともに105周の決勝がスタート。レースはオープニング・ラップからフルコース・コーションが出される波乱の幕開けとなり、2回のコーションを経て6周目に再スタート。ポール・ポジションのトニー・カナーンが序盤のレースをリードし、今季初優勝を目指す。
しかし19周目、インを突いてきたS.ディクソンとトニー・カナーンがまさかの接触。リタイアこそ免れたものの、トニー・カナーンは進路を妨害したとしてペナルティを科せられ、大幅な後退を余儀なくされてしまう。ここでダリオ・フランキッティが2位に上がり、加えてチームメイトのポール・トレイシーも予選16番手からジャンプアップを果たして4番手まで躍進してきた。
レースも中盤に入った42周目、ダリオ・フランキッティが予定のピットイン。その4周後にポール・トレイシーが2度目のストップを行い、2台は一時的に3位と6位に後退するが、62周目に元のポジションに復活。依然タイトル獲得のチャンスに望みを繋ぐダリオ・フランキッティだったが、残り15周のターン3でタイヤバリアに追突。再スタートするものの11位まで後退してしまった。
ここで3位に上がったポール・トレイシーも、99周目のターン1で後方からJ.バッサーが追突するなど、Honda勢を次々とアクシデントが襲う。ラスト数周、最後まで諦めなかったダリオ・フランキッティは最終的に10位に終わったが、残されていたタイトル獲得の可能性は消滅。レースはC.ダ・マッタが今季7勝目を挙げ、最終戦を待たずしてドライバーズ・タイトルを獲得した。
結局Honda勢はトップ10以内に合計4台、ポイント圏内を含めると合計5台が入賞したが、最高位はエイドリアン・フェルナンデスの7位がベスト。次回サーファーズ・パラダイスで開催される第17戦は、Hondaが冠スポンサーを担う“Honda Indy 300”。マニュファクチャラーズ・タイトル獲得に望みを繋ぐHonda勢の活躍に期待がかかる。
今回予選11位からのスタートとなった中野信治は、最初のピット・ストップも難なくこなし、40周目には10位にポジション・アップ。さらに43周目には9位と着実に順位を上げる。ところが67周目に突然メカニカル・トラブルが発生し、最終ターン付近で火災が発生したため中野信治はマシンから脱出。大事には至らなかったものの両手に軽いやけどを負い、14位リタイアに終わった。
A.フェルナンデス(7位)
厳しい一日だったよ。マシンは最初の10ラップまでは好調だったけれど、そのあとからアンダー・ステアとオーバー・ステアが交互にでて、4輪ともグリップが不足している状態になった。今日は我慢のレースだった。こんな最悪の状況でも7位に終わったことは、評価すべき事かも知れないね。
M.アンドレッティ(8位)
タイトなコースと高い気温、そしてハンドリングの決まらないシャシーでのレースはフィジカルな面で非常に厳しく、長い一日だったよ。トニー(カナーン)が僕をパスしようとした時はまさかくるとは思わなかった。彼がインを突いた時はもうすでに自分もラインをはずせなかったんだ。
T.カナーン(9位)
自分達にとっては辛い結果だ。CARTが自分に対してペナルティを科したことは非常に残念。ほぼ同レベルのマシン同士がこのようなコースレイアウトで競えば、あのような接触は避けようがないこともある。結果は残念だが、自分はドライバーとして精一杯の仕事をしただけだ。
D.フランキッティ(10位)
マシンの調子は良かったが、最初のストップで無線交信できなくなってしまった。レース中はクリスチアーノ(ダ・マッタ)についていくことに集中したよ。彼にはおめでとうを言いたい。今日は彼に一杯おごる事になるね。みんなで彼のチャンピオン獲得の功績に対して祝福を贈るよ。
P.トレイシー(12位)
チーム・クール・グリーンにとって散々な結果だ。なんとか3位表彰台を勝ち取りたかったが、終盤ジミー(バッサー)に当てられてしまったよ。彼にしては珍しいね。普段はああいうミスを犯す男ではないんだ。今日は状況によってハンドリングが変わるレースで、苦労を強いられた。
中野 信治(14位)
終始、コース・コンディションは悪かったです。路面温度が高く、アンダー・ステアに悩まされました。マシンはコースのいたるところでスライドしていたんですが、皆同じような状態だったと思います。最後はマシン後方で火災が発生し、このような形でレースを終えたのはとても残念でした。
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