
第15戦はアメリカを離れ、イギリスの“ロッキンガム・モーター・スピードウェイ”で開催。今シーズン4回目のオーバルのレースで、予選2番手からスタートしたマイケル・アンドレッティが序盤、トップグループを維持するも、2度目のピットの際に痛恨のピットレーン速度違反を犯し、ペナルティを受けて後退。一方、チーム・クール・グリーンのダリオ・フランキッティは最初のピットでエンストを喫し、最後尾まで順位を落としたが、ピットインのタイミングをずらす作戦が功を奏して終盤上位に躍進。最後のピットストップでいっきにトップに立ったダリオ・フランキッティは、そのままライバルを抑えて優勝。地元ヨーロッパで嬉しいオーバル初勝利を遂げ、今季3勝目を達成した。 |
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第15戦は舞台をイギリスへと移動、ロンドンから約120キロ北に位置する“ロッキンガム・モーター・スピードウェイ”で開催された。異なる4つのコーナーによる台形のコースは、バンク角が浅くオーバーテイクが困難なため、ピット・ストップのタイミングがポジション・アップのキーとなる。
予選9月13日(金)
2日間のイベントとなった今回、金曜日に行われた“シングルカー・クオリファイ”で、11番手にタイム・アタックしたマイケル・アンドレッティが24.928秒を記録。ポール・タイムとわずか0.02秒差の、予選2番手を獲得した。マイケル・アンドレッティは午前中に行われたプラクティスで記録した24.968秒のタイムを0.04秒縮め、今シーズン初のフロントロー・スタートとなる。さらにHonda勢は現在ランキング3位のダリオ・フランキッティが25.001秒のタイムで3列目5番手。4列目にはチームメイトのポール・トレイシーと、モー・ナン・レーシングのトニー・カナーンが7番手と8番手に並ぶ。以下エイドリアン・フェルナンデスが11番手、前回の第14戦デンバーで予選3番手を獲得した中野信治は、朝のプラクティスでアンダーステアに悩まされたために予選はTカーでアタック。トップから0.392秒遅れの25.3秒となり、15番手からのスタートとなる。
決勝9月14日(土)
午後1時36分、グリーン・フラッグを合図に2年目のイギリス・ラウンドがスタート。朝のウォーム・アップでトップ・タイムをマークしたマイケル・アンドレッティが好調に2番手をキープしていたが、その後方、1周目に5番手までポジションを上げたポール・トレイシーが13周目にギアボックス・トラブルでリタイアとなってしまう。
各マシンが46周目の2度目のフルコース・コーションでいっせいにピット・ストップを行うなか、マイケル・アンドレッティが3位に後退。この時5位を走行していたダリオ・フランキッティはピットでエンジン・ストールを喫してしまい、最下位まで下がってしまった。Honda勢の不運はなおも続き、62周目に中野信治がターン4で痛恨のクラッシュ。ドライバーにケガは無かったものの、マシンは右半分が大破してリタイアとなる。
このフルコース・コーションで、最後尾に転落していたダリオ・フランキッティが敢えてピットインを行い、タイミングをずらす作戦に出た。その後、94周目に予定のストップを行ったマイケル・アンドレッティだったが、コース復帰の際にピット・レーンでスピード違反を犯してしまい、痛恨のペナルティ。最下位にポジションを下げ、優勝争いから大きく後退してしまった。
一方、ピットのタイミングを変更したダリオ・フランキッティは、ライバル達が94周目に予定のピット・ストップを行っている間にトップへと浮上。110周目に4回目のストップを行ったあと、素早いピット作業により4位で戦列に復帰する。この時ダリオ・フランキッティをスローパンクチャーのトラブルが襲い、144周目にピット・ストップを強いられたものの再び4位でコースへ。その後3位まで躍進した。
レースも終盤を迎えようとしていた169周目、この日5回目となるフルコース・コーションの際、トップグループ全員がいっせいにピットへ。このピット作業でいっきにトップへと踊り出たダリオ・フランキッティは、残り39周に渡ってライバルを抑えきり、見事今シーズンの3勝目を達成。地元ヨーロッパで、記念すべきオーバル初優勝を獲得した。
予選15番手からスタートとなった中野信治は、序盤のフルコース・コーションでチームメイトのエイドリアン・フェルナンデスとともに早めのストップを敢行。2度目のピットストップ後は12位のポイント圏内に上昇するが、62周目にターン4手前でコントロールを失いウォールに激突。前回のデンバーに続き無念のリタイアを強いられた。また、エイドリアン・フェルナンデスは終盤ピット速度違反を犯してしまい、ブラック・フラッグとなったものの従わなかったため、リタイアに終わる。
D.フランキッティ(優勝)
ピットインでストールした時はトラクション・コントロールの問題かと思ったが、2度目も同じ問題が出たので、これはクラッチかもしれないと思った。その時点でもう何も失うものは無かったから、ピットのタイミングをずらしたんだ。最後のストップではクルーの迅速な作業でトップに上がることができた。とても良い気分だよ。
M.アンドレッティ(10位)
優勝できるマシンだっただけに、今日の結果は非常に残念だ。燃費を抑えた走りでも十分にスピードはあったし、あのままいけば確実に表彰台を狙うことができた。優勝したダリオには心からおめでとうを言いたい。しかしチーム・モトローラにとってはまったく残念な結果だ。
A.フェルナンデス(14位)
非常に大きな失望と大変な怒りを感じている。今日のマシンはレースで十分に結果を出せるものだった。だが残念なことに、CARTのルールブックの一部にはすべてを台無しにする項目があるようで、今回がまさにその良い例だといえる。
T.カナーン(15位)
なにが起こったか分からないが、ターン1に差し掛かったときに何かが壊れたのだと思う。なんとかターン2まで持ちこたえようとしたがダメだった。衝撃はさほど強くなかったけど、ほんとうに残念でしょうがない。次はホームタウンのマイアミだけに、好結果を目指すよ。
中野 信治(16位)
ターン4に差し掛かったとき、一瞬にしてグリップを失ってしまいました。アンダーやオーバーステアが出ていたわけでもないのにマシンが直進してしまい、何が起こったかよく分からない状態でした。今、チームのスタッフが原因を調べています。トラブルが判明すると良いのですが。
P.トレイシー(19位)
なんの前触れもなくクラッチがいってしまった。突然大きな衝撃があって、そのままニュートラルに入れることも出来なかった。決勝用のマシンはパーフェクトでなかったけど、徐々に調整をしていくつもりだった。でも最初のストップまでもたなかったのでは、どうしようもないね。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
昨日のスタートから大変調子の良かったダリオは、予選で気合が入りすぎてポールを取れませんでしたが、レースではその好調さを見せてくれ、ピットイン作戦とあわせて大変不利な展開となったレースを勝ち取ってくれました。あとシーズンも4戦となりましたが、この勢いで残りを全勝の思いで頑張ります。
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