
真夏の4連戦の最後となる第14戦は、1991年以来の開催となるコロラド州デンバーの市街地コースが舞台。曇り空のなか午後1時5分にレースがスタートし、オープニングラップのターン5でポール・トレイシーがブレーキをロックさせ、ランキング2位のダリオ・フランキッティに追突。ダリオ・フランキッティはリタイアを余儀なくされてしまった。レースはスタートからエイドリアン・フェルナンデスが2位、中野信治が4位とフェルナンデス・レーシングの2台が好調な走りを見せていたが、64周目、3位を走行中だった中野信治にギアボックス・トラブルが発生、無念のリタイアとなる。相次ぐ不運に見舞われたHonda勢だったが、エイドリアン・フェルナンデスが4位入賞を果たした。 |
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4連戦の最後となる第14戦は標高が約1マイル(1607メートル)の高地に位置する大都市、デンバーに仮設されたストリート・コースで開催。シリーズで一番少ない9つのコーナーで構成されるが、空気が薄いためにエンジンやブレーキが冷えにくく、マシンへの負担が大きい。バック・ストレートでは時速200マイルを優に超える。
予選8月31日(土)
金曜日に行われた40分の第1予選では、エイドリアン・フェルナンデスが開幕戦のモンテレー以来となる暫定ポール・ポジションを獲得。バンクーバーのクラッシュで1戦休み、まだケガが完治していないエイドリアン・フェルナンデスだが、見事フロントローと1ポイントを手に入れる。翌土曜日の最終予選でHonda勢のベスト・タイムをマークしたのは、好調なエイドリアン・フェルナンデスのチームメイト、中野信治だった。初日の予選は14番手とやや出遅れ気味だった中野信治だが、最後の予選アタックでは61.808秒を記録して総合2番手のタイムを叩き出す。日本人としては史上最高の予選順位となったが、スターティング・グリッドはすでにフロント・ローを確保しているエイドリアン・フェルナンデスに続く3番手からのスタートとなる。初日3番手のタイムだったトニー・カナーンは、タイムアップしたものの最終的に5列目9番グリッド。以下Honda勢は前回第13戦のウイナー、ダリオ・フランキッティが14番手、ポール・トレイシーは15番手、マイケル・アンドレッティは17番手からスタートする。
決勝9月1日(日)
午後1時5分、コースインした18台のマシンがローリングスタートを決め、100周の決勝レースがスタート。ところがオープニング・ラップのターン5で、ポジション・アップを図ったポール・トレイシーがブレーキをロックさせてしまい、僚友ダリオ・フランキッティのマシンにヒット。ランキング2位だったダリオ・フランキッティはサスペンションに致命的なダメージを負って無念の戦線離脱。ポール・トレイシーは最後尾に後退する。
一方、トップ・グループでスタートしたフェルナンデス・レーシングの2台は、エイドリアン・フェルナンデスが2番手、中野信治はスタート直後に4番手に下がるものの、しっかりとポジションをキープ。そのままの順位で32周目にこの日1回目のピットインを迎え、順位を変えることなくコースへ復帰した。
上位勢に変更のないまま迎えたレース中盤、エイドリアン・フェルナンデスが62周目にピットへ向ったため、中野信治は3位にポジション・アップ。その後64周目にピットインした中野信治だったが、迅速な作業を終えていざピットアウトしようとした瞬間、ギアボックスにまさかのトラブルが発生。なんとか再スタートを試みる中野信治だったが、ギアがまったく入らずそのままリタイアを余儀なくされてしまった。
他のトップグループよりも2周早くピットストップを行ったことでエイドリアン・フェルナンデスは3位に後退し、最後のピットでも4位までポジションダウン。しかしその後方では9番手からスタートしたトニー・カナーンが61周目に7位、78周目には6位に上がる。また、最後尾から追い上げたポール・トレイシーも65周目に11位、78周目には9位まで躍進してきた。
迎えた終盤、89周でこの日最初のフルコース・コーションとなり、残り7周の再スタートで最後のチャンスにかけたエイドリアン・フェルナンデスだったが、最終的に上位3台をとらえることが出来ず4位でフィニッシュ。第9戦クリーブランド以来となる完走を遂げた。以下Honda勢はトニー・カナーンが6位、ポール・トレイシーも最終的に8位まで追い上げて入賞を果たす。
今回、最終予選では日本人史上最高となる2番手のタイムを記録し、予選3番手からスタートした中野信治。トップと褐色無い走りで一時3位に上がり、悲願の日本人初表彰台獲得まで残り46周のところまで迫ったが、痛恨のメカニカルトラブルに見舞われてしまった。次回第15戦はイギリス・ロッキンガム、久しぶりのオーバルのレースに期待がかかる。
A.フェルナンデス(4位)
とてもタフなレースだった。出来るだけマシンをセーブしていこうと思ったが、全体のペースが速かったためにそうはいかなかった。後半のピットストップのタイミングが裏目に出たようだね。それでもHondaエンジンは過酷な条件下で安定したパフォーマンスを見せてくれたよ。
T.カナーン(6位)
チームのスタッフに対して、今日のレースで完走できるマシンを与えてくれたことを感謝している。コンディションは過酷で、特にブレーキとエンジンのオーバー・ヒートが心配だったけれど、最後まで問題なく走りきることができた。ピットストップも素早くて完璧だったよ。
P.トレイシー(8位)
決勝用のマシンはこの3日間でベストな状態で、ダリオ(フランキッティ)をパスしようとした時、誤ってブレーキをロックしてしまったんだ。残念なことにその時点で目の前にいたダリオを避けることが出来なかった。自分のミスだ。ほんとうに彼には悪いことをしてしまった。
M.アンドレッティ(13位)
今日のレースに関しては、ほとんど良いことはなかったかな。1日中ハードなレースを戦っても、13位でチャンピオンシップ・ポイントすら獲得できなかった。今言えることは、とにかく終わったレースのことは忘れて、次のイギリス戦に向けて前向きな準備をしておくことだろう。
中野 信治(16位)
マシンの状態はとても良く今日は自分もかなり乗れていたので、確実に表彰台を狙えると思っていました。それだけにギアボックス・トラブルはとても残念です。順調にピットストップを終え、いざコースへ復帰しようとしたらもうギアが入らない状態でした。とにかく残念です。
D.フランキッティ(18位)
100ラップの長丁場だったから、スタート前にポール(トレイシー)と話し合った。それでもこんなことになるとはね。言葉に詰まるよ。レース前はわずかに希望をもてたタイトル争いも、今日の結果で諦めざるを得ないだろう。今は次回に向けて準備を整えておくとしか言えない。
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