
第13戦はF1開催で知られるカナダ・モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットが舞台。CART初開催となった決勝は好天に恵まれ、午後2時7分にグリーン・フラッグとなった。12周目のイエロー・コーションでトップのC.ダ・マッタがピットインし、コースに残った予選2番手のダリオ・フランキッティがトップに浮上。その後予定どおり21周ごとにピットストップを行ったダリオ・フランキッティは、一時的にトップの座を明け渡すものの自らのペースを乱すことなく、39周目にはファステスト・ラップをマーク。ラスト10周の再スタートも上手く決めて今季2勝目を挙げた。ランキングも2番手に浮上し、加えて予選13位スタートのトニー・カナーンも3位でフィニッシュ。 |
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第13戦の舞台は、F1選手権の開催地として知られているカナダ・ケベック州モントリオールのサーキット・ジル・ビルヌーブ。F1と同じ場所での同年開催は史上初めてのことであり、3日間で17万人もの観客が訪れた。
予選8月24日(土)
今回より新ルールが導入され、1時間の予選スタートから15分間に渡ってショート・プラクティスが組込まれた。このセッションでトップタイムをマークしたのは、地元カナダのポール・トレイシー。しかしその後の35分間の最終予選でHonda勢のトップを記録したのは、チーム・メイトのダリオ・フランキッティだった。残り時間3分のところで79.375秒をたたき出してトップに立ったダリオ・フランキッティは、その直後にB.ジュンケイラにトップタイムを奪われたものの、即座に79.334秒を出してこれを逆転。だが最後にC.ダ・マッタにポール・ポジションの座を明け渡してしまい、2番手のポジションを得て今季3度目のフロントロー確保となった。序盤のプラクティスで6番手のタイムを記録した中野信治は9位。以下ポール・トレイシー10位、トニー・カナーン13位、エイドリアン・フェルナンデス16位、そしてレッド・フラッグでベストラップを剥奪となったマイケル・アンドレッティは18番グリッドからのスタート。
決勝8月25日(日)
ほぼ満席となったグランドスタンドから大声援が沸き起こる中、午後2時7分にグリーン・フラッグで80周の決勝レースがスタート。だがオープニング・ラップのターン2で複数のマシンが絡むアクシデントが発生し、ここでマイケル・アンドレッティがリア・タイヤにダメージを受けてピット・インを余儀なくされる。
レースは序盤、ダリオ・フランキッティが2位をキープ。ポール・トレイシー、中野信治、トニー・カナーンらも着実にポジションを上げてきた。12周目、今日2度目のフルコース・コーションの際、4ストップ作戦に切り替えたトップのC.ダ・マッタがピットへ。それを横目にダリオ・フランキッティはコースに残ってレースをリード。最初の作戦どおり3ストップのダリオ・フランキッティは、今回の規定周回である21周目にピットインした。
一方、C.ダ・マッタのあとを追い、Honda勢で4ストップ作戦の賭けに出たトニー・カナーンは23周目に3位に躍進。33周目のピット・ストップで9位まで下がるものの、着実に上位とのタイム差を縮めている。39周目にファステスト・ラップをマークしたダリオ・フランキッティは、42周目のストップで一時的にトップの座を明け渡したが、後半に入っても速いペースを維持して51周目に再びトップに浮上。最後のストップで一時的に2番手に下がるが、68周目にまたもトップへと返り咲いた。
ラスト10周、フルコース・コーションで各車の差がいっきに縮まる。トップを維持するダリオ・フランキッティは再スタート直後、2位との間に周回遅れの中野信治がいたことも幸いし、残り6周でラスト・スパート。ファイナル・ラップで後続との差を2.5秒以上に広げ、嬉しい今季2勝目を挙げた。さらにHonda勢はトニー・カナーンが3位表彰台を獲得。また4位入賞のポール・トレイシー以下、Honda勢はトップ10中5台を占めて全車がポイント獲得となった。
バンクーバー戦に続くカナダ・ラウンドを制したダリオ・フランキッティは、レース中の最多リードラップでボーナス・ポイント1点を加え、ランキングでも2位に躍進した。
予選9番手からスタートした中野信治は、一周目にポール・トレイシーに先行を許すものの、12周目には7位、34周目には6位まで上昇。しかし序盤にギアボックスのトラブルが発生し、その影響で2回目のピットストップの際に痛恨のエンジン・ストールを喫してしまう。その後も思いどおりにシフトチェンジできない状況だったが、最終的に9位でフィニッシュ。これで中野信治は第6戦以降8戦連続でポイントを獲得し、ランキングでも14位に上がった。
D.フランキッティ(優勝)
今回クリスチアーノ(ダ・マッタ)と全く逆のピット作戦だったから、どちらが正しい選択をしたかは結果を見るまで分からない状況だった。こういうレースは面白いね。ウィニングランの時、グランドスタンド前でマシンを止めたらファンの大歓声が聞こえ、とても嬉しい気分だったよ。
T.カナーン(3位)
これまでの2戦では予選でとても苦しんだ。今週は大きな問題のない週末だったが、セットアップはなかなか上手くいかなかったよ。朝のウォームアップで調整を行った結果、レースでは打って変わって絶好調だった。加えてカナダのファンの熱い声援も、レース結果に多いに影響したよ。
P.トレイシー(4位)
山あり谷ありのレースだったね。自分達にとっては燃費で苦しい面があったけれど、レース自体は納得のいくものだった。ハンドリングに関しても問題無し。ジミー(バッサー)とのバトルが楽しかったよ。実はこのあと彼と一緒に帰らなくてはならないから、クラッシュは絶対避けたかったんだ。
M.アンドレッティ(8位)
自分にとってあまり良いレースとは言えない結果だったが、チームメイトのダリオ(フランキッティ)とポール(トレイシー)にとっては良い週末だったね。今回はなにをやっても上手くいかない状態だったが、ファンの声援は素晴らしかった。次回デンバーでは雪辱を晴らしたい。
中野 信治(9位)
2度目のストップで、エンジンをストールしたのが痛かったです。ギアボックスのトラブルを抱えていたため、シフトアップしてもギアが飛んでしまい、苦労しました。予選から決勝にかけてマシンの状態が良くなっただけに残念です。今後の課題は予選のセットアップですね。
A.フェルナンデス(12位)
フラストレーションの溜まるレースウィークだった。金曜日から多くの問題を抱えていて、決勝ではブースト圧のトラブルが発生した。そのためか直線ではスピードが乗らなかったんだ。後半なんとかライバル達について行こうとプッシュしたら、ラインを外してクラッシュしてしまったよ。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
CARTでは初めてのコースだったので、少し仕上がりに時間がかかりましたが、予選ではかなりよくなりました。今日は力強いパワーをフルに発揮したダリオ、トニー、ポールが昨日に優る走りを見せ、チームのピットイン作戦も大成功してこんなにすばらしい結果が得られたことは大変うれしく思います。
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