
第10戦はカナダの西岸、バンクーバーの市街地特設コースで開催。午後1時40分にスタートしたレースはオープニングラップからアクシデントが発生し、序盤から荒れた展開となる。予選2位からスタートしたポール・トレイシーは、35周目のフルコース・コーションであえてピットストップを行わず、トップに躍進。64周目のピットインでC.ダ・マッタにトップの座を譲ったが、そのダ・マッタがリタイアすると今度はダリオ・フランキッティがトップに浮上する。92周目、3台のマシンを撒きこむアクシデントが発生してレースは一時赤旗中断。残り6周で再開となったレースで、トップの座を守りきったダリオ・フランキッティが今季初優勝を獲得。ポール・トレイシー2位、トニー・カナーンが3位に入り、Hondaは2000年以来となる表彰台独占を成し遂げた。 |
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第10戦は今年2戦目のカナダへと移し、西側のバンクーバーで開催。コースはダウンタウンに隣接した1986年万国博覧会跡地、コンコルド・パシフィック・プレイスに特設され、右回りで12のコーナーを有する。他のストリート・コース同様コース幅が狭くバンピーで、パッシングポイントも少ない。
予選7月27日(土)
金曜日の第一予選ではカナダ出身のポール・トレイシーが地元ファンの期待に応え、61.888秒で暫定ポールポジションを獲得。翌土曜日の午後1時45分からスタートした第2予選では、前日よりも良好なコースコンディションとなり、アタック直後からトニー・カナーンがタイムを更新。その後C.ダ・マッタにトップ・タイムを更新されたものの、ダリオ・フランキッティが60.559秒で2番手に上がる。前日トップのポール・トレイシーはピットでじっとアタックのタイミングを見計らい、予選終了まで5分と迫った時点で最後のアタック開始。ポール・トレイシーは自らのタイムを更新する60.502秒を出したが総合2番手、前回のカナダ戦のトロントに続き今季3回目のフロントロー・スタートとなった。この最終予選でHonda勢はダリオ・フランキッティが3番手、マイケル・アンドレッティが5番手、そしてトニー・カナーンが6番手と4人がトップ6。以下、エイドリアン・フェルナンデスは11番手、中野信治は13番手からのスタートとなった。
決勝7月28日(日)
13年目にして200万人もの入場者数を記録したバンクーバーは、今週末も3日間で16万人を記録。大観衆が詰め掛けたコンコルド・パシフィック・プレイスの特設スタンドは、ほとんどが観客で埋め尽くされている。
午後1時40分、グリーンフラッグでレースがスタートしたが、1周目のターン1でアクシデントが発生。予選5番手からスタートのマイケル・アンドレッティが接触されてそのままピットインを余儀なくされ、直ちに戦列に復帰するも大きく後退してしまう。一方、フロントローからスタートのポール・トレイシーは順調に2位を走行。32周目に予定どおりのピット・ストップを行ったあと、36周目に出されたフルコースコーション下で上位陣が再びピットインする中、コースに残ってトップに浮上した。
64周目、ポール・トレイシーは2度目のピット・ストップを行い、いったんトップの座をC.ダ・マッタへと明け渡すが、その次の周回にダ・マッタがメカニカルトラブルで戦列を離脱。代ってダリオ・フランキッティがトップに立った。2位にはポール・トレイシー、3位にはトニー・カナーンが躍進している。
上位のドライバー達が68周目にピットインしたところで、ポール・トレイシーは再びトップに。さらに中野信治も4番手に上がり、上位4台をHonda勢が独占する。後半に入ってライバル達が次々と戦線離脱していくなか、Honda勢は87周目までに全5台がトップ10内を走行。92周目にエイドリアン・フェルナンデスを含む3台のマシンが絡むアクシデントが発生し、幸いドライバーに大きなケガは無かったものの、レースは残り8周のところでレッドフラッグとなる。
16分以上の赤旗中断を経て3時43分、ペースカーの先導で生き残った7台のマシンがコースインしてレース再開。ここで好スタートを決めたダリオ・フランキッティが残り6周をラストスパートし、最後までチームメイトのポール・トレイシーを抑え見事優勝。今季初勝利となる自己8勝目を挙げた。この勝利はチーム・クール・グリーンにとって2000年のバンクーバー以来となるワン・ツー・フィニッシュ。さらに3位にはトニー・カナーンが入り、Hondaは同年の第16戦ラグナ・セカ以来の表彰台独占を成し遂げた。
今回予選13番手からスタートとなった中野信治は、レース後半4位を走行。トロント戦の4位を凌ぐ表彰台も期待されたが、88周目のターン6でブレーキトラブルのためにスピンを喫してしまい、後ろ向きにタイヤバリアに接触。中野信治は自力でピットへと戻るが、マシン後部に致命的なダメージを受けたためレース続行を断念し、11位リタイアとなった。
D.フランキッティ(優勝)
前にもワン・ツー・フィニッシュをしたことがあるけど、今回の方がいいね。チームはピットストップで完璧な作業を行った。最後にポール(トレイシー)がもう一度ストップをしなくてはならないことが分かっていたから、再スタート後にトップを守れれば勝てると思った。嬉しいよ。
P.トレイシー(2位)
僕達だけがダ・マッタと同じペースを保つことが出来たんじゃないかな。僕はフルコースコーションでピットインしなかったのが、裏目に出てしまったようだ。ダリオ(フランキッティ)には先行を許してしまったけど、最多リードラップを含む18ポイントを獲得できて良かったと思っているよ。
T.カナーン(3位)
グレッグ・ムーアの故郷で、彼と最も親しかった3人とともに表彰台に上がれて感無量だ。絶好のスタートをきることができたし、レースではトップグループと変わらないペースを保つことが出来た。最後の再スタートではタイヤに問題があって、ジョルダインを抑えるのが大変だったよ。
M.アンドレッティ(6位)
長い一日だったな。レース中は何回も当てられて、まるでピンボールみたいだったと思う。なんとかピット戦略を切り替えて望みをつないだよ。合計10回もピットインしたけど、チーム・モトローラのおかげで6位フィニッシュを得ることが出来、ポイントも獲得できて良かった。
中野 信治(11位)
エイドリアンが無事で良かったです。次回のミド-オハイオまでには、完全に調子を取り戻して欲しいですね。最後のスピンはとても残念でした。あれは自分のミスです。今回はチームのおかげで金曜日から飛躍的にマシンの状態がよくなりました。この状況だと、必ず近いうちにもっと好成績を収めることが出来ると思います。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
今日の久々の表彰台独占には、スカッとした気分で大変満足しています。前半戦は大変苦しい戦いが続きましたが、ここに来てやっと勝利の女神が微笑んでくれたという感じです。これも全チームが必死になって頑張り、ローラ・シャシーをうまくセッティングできるようになってきたためでしょう。エンジンも順調に新しいパワーのタマが適用され始めていますし、後半戦に向けて大変力強いレースをみなさんに楽しんでもらえると思っています。
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