
第9戦は舞台をオハイオ州クリーブランドへと移し、五大湖のひとつであるエリー湖畔に面したバーク・レイクフロント・エアポート特設コースで開催された。午後1時44分にグリーンとなったレースで、予選3位からスタートした昨年の覇者ダリオ・フランキッティが2位を快走。19周目にトップのC.ダ・マッタがメカニカルトラブルでリタイアしたためにトップに立つ。2連覇が期待されたダリオ・フランキッティだったが、その後69周目にメカニカルトラブルで無念のリタイア。ここで2位に上がったマイケル・アンドレッティがそのままのポジションでゴールし、クリーブランドにおける7度目の表彰台を獲得。3位にはポール・トレイシーが入り、Honda勢が表彰台の2位、3位を占める。 |
|
第9戦クリーブランドのコースは、アメリカ五大湖のひとつ、エリー湖畔に面する民間飛行場の滑走路と誘導路を使用した特設コース。1周約2.1マイルでフラットなレイアウトは、ブレーキングポイントもつかみにくく、コーナーの途中でコンクリートからアスファルトに変わるなど、難コースのひとつとして知られている。
予選7月13日(土)
金曜日の第1予選ではポール・トレイシーがHonda勢でただひとり58秒台を記録し、暫定3番手を確保。翌土曜日の最終予選では、タイム・アタックした全ドライバーがタイムを更新する中、チームメイトのダリオ・フランキッティが5周目のアタックで57.482秒をマークし、その時点で総合トップに踊り出る。しかしその後タイムの更新ならず予選3番手、セカンドロー確保となった。そのすぐ後ろ、3列目グリッド5番手には57.645秒のマイケル・アンドレッティが入り、隣の6番手には57.713秒でトニー・カナーン。Honda勢は予選トップ10に3台のマシンを並べた。予選初日で3番手だったポール・トレイシーは、57.827秒と初日よりタイムアップしたものの11番手。シャシー・バランスに苦しむエイドリアン・フェルナンデスは17番グリッド。前回のトロントで4位入賞を果たした中野信治も、思うようにメカニカル・グリップを得るセッティングが出ず、予選18番グリッドからのスタートとなる。
決勝7月14日(日)
日曜日の決勝は、レースウィーク中で最も気温が上昇。約5万人もの観客が訪れ、3日間で約10万人以上の観客を記録した。午後1時44分、グリーン・フラッグを合図に115周のレースがスタート。しかし直後のターン1でアクシデントが発生、レースはオープニングラップからフルコース・コーションとなる。このスタートで2位に上がったのが昨年の覇者ダリオ・フランキッティで、1991年の勝者マイケル・アンドレッティも5位から4位へと上がる。
レースは4周目に再スタートし、朝のウォームアップでトップだったポール・トレイシーが、8周目のターン1でC.フィッティパルディをパスして6位にアップ。好調に2位を走行していたダリオ・フランキッティは、20周目にトップのC.ダ・マッタがメカニカルトラブルでピットインした隙にトップに浮上。この時点でHonda勢は1位以下、3位から5位までを占める。今回の規定周回数である27周目にグリーンフラッグ下でダリオ・フランキッティもピットインし、クルーの迅速なピット作業で1位のままコースへ復帰した。
49周目、早めに2度目のピットインを行ったダリオ・フランキッティはいったんトップの座をP.カーパンティエに明け渡し、ここでマイケル・アンドレッティが2位に上がる。ところが69周目、ダリオ・フランキッティのマシンは突然メカニカルトラブルでピットへ。昨年のクリーブランド・ウイナーは無念のリタイアを余儀なくされてしまった。
これで2位へと上がったマイケル・アンドレッティは、72周目にファステストラップを叩き出してトップとの差を詰めると、その直後にチームメイトのポール・トレイシーがすぐさまそれを凌ぐ58.473秒をマーク。
97周目に最後のピットストップを済ませたマイケル・アンドレッティが、前を行くP.カーパンティエを捉えるべくラストスパート。チェッカーまで10周の時点で、その差を約11秒まで詰めたが追撃はそこまで。2位でチェッカーを受けたマイケル・アンドレッティは、第2戦のロングビーチ優勝以来の表彰台を獲得。ここクリーブランドでは1999年の3位以来、合計で7回目の表彰台となった。3位にはポール・トレイシーが入り、こちらもミルウォーキー優勝以来となる今季2度目の表彰台に上った。
今回、予選18番手スタートとなった中野信治は、終始バランスの悪いハンドリングに苦戦。チームメイトのエイドリアン・フェルナンデス同様苦しいレースとなった。前戦と打って変り、思いどおりにならない状況でなかなかスピードを上げられない中野信治だったが、最後まで我慢のレースを走りぬいて10位でフィニッシュ。今季6度目のポイント獲得となった。
M.アンドレッティ(2位)
今日のレースはコンペティティブに戦うことが出来た。ピットストップでもチームクルーは万全の仕事をしたよ。終盤に左サイドのウイングを固定するパーツが緩んでしまったが、ラップタイムに大きな影響は無かったようだ。とてもタフなレースだったけど、幸運にも助けられた一日だったと思う。
P.トレイシー(3位)
中盤以降、徐々にマイケル(アンドレッティ)との差を詰めることが出来たが、3度目のピットストップで交換したタイヤのバランスが今ひとつだったようで、追い上げが鈍った。それでも最後のセットはバランス良かったので、後方のブラックとの差を保つことは比較的楽だったよ。
T.カナーン(8位)
今日のレースはとても難しく、困難なレースだった。気温も湿度も高く、肉体的にも厳しかったね。マシンの状態はベストとはいえず、予選アタックの時のように常に緊張と集中力を最大に保つ必要があった。気を抜くとすぐに誰かにパスされ、情けなかったね。とにかく長いレースだったよ。
中野 信治(10位)
厳しい週末になりました。今回はトロントのようなセットアップを得ることが出来ず、特にフルタンク状態でのバランスが最悪でした。マシンはアンダーとオーバーステアの両方が出てしまったのですが、今後、ロードコースのセットアップを改善していくことが最大の課題ですね。
A.フェルナンデス(11位)
自分のレースキャリアの中で最悪のレースだった。なんと言って良いか分からない。マシンの状態も全然納得のいかないもので、一体何が悪かったのかはっきり分からないんだ。なんとしても徹底的に原因を究明していかなくてはならない。
D.フランキッティ(14位)
とても残念なのは言うまでもないよ。クリスチアーノ(ダ・マッタ)がリタイアしたことで、ポイント差を詰める絶好のチャンスだっただけに、運が無かったとしか言いようがない。何が起こったかよく分からないが、次のバンクーバーに照準を当ててベストを尽くすことを考えるしかない。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
好調だったダリオがレースを落としたのは残念ですが、マイケルとポールがそれを上回る走りをしてくれ、2位と3位を獲ってくれたのは大変うれしいことです。それと、今週はやっとチーム・グリーンのローラのセッティングが見えてきた感があり、とても頼もしくなってきました。これから後半に入り、力強いレースをみなさんに見てもらえるようになると思います。
|