
第8戦は舞台をカナダのトロントへと移動し、ダウンタウン近郊の仮設コースで開催された。予選では地元カナダのファンの期待に応え、ポール・トレイシーが2番手フロントローを確保。好天に恵まれた日曜日、事故後初めて訪れたアレックス・ザナルディがグリーンフラッグを振ってレースがスタートした。ポール・トレイシーは序盤から2位を走行し、3周目にトニー・カナーンをパスした中野信治が8位につける。好調に2位を走行していたポール・トレイシーだったが、ブレーキトラブルに見舞われて61周目のターン1で痛恨のスピン。ここでHonda勢のトップに浮上した中野信治は、73周目に4位に躍進し、そのままポジションをキープしてゴール。過去最高となる4位でチェッカーを受けた。 |
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第8戦の舞台はカナダ最大の都市トロント。エギジビジョン・プレイス周辺に設けられた一周1.755マイルの仮設ロードコースで開催される。コースはアスファルトとコンクリートが混ざった上にバンピーであり、マシンのセッティングが非常に難しいコース。今年で開催17回目を迎える。
予選7月6日(土)
金曜日と土曜日の両日で行われた予選では、カナダ出身のポール・トレイシーが予選終了3分前に58.172秒をマーク。最終的にポール・ポジションは逃したものの、地元ファンが見守る中で2番手を確保。今季3度目のフロントロー・スタートとなる。加えてチームメイトのダリオ・フランキッティが58.488秒で3列目6番グリッド。その隣には中野信治がロード&ストリートにおける自己ベストの7番グリッドからスタートする。10番手には58.706秒のトニー・カナーンが入り、HondaターボV8エンジン勢は合計4台がトップ10内での予選通過となった。以下セッティングに苦しむエイドリアン・フェルナンデスが、最終的にチーム・メイトの中野信治のセッティングを取り入れたマシンで13番グリッド。昨年の覇者マイケル・アンドレッティは土曜日の最終予選中に止まってしまったプライマリーカーから、Tカーへ乗り換え再度タイム・アタック。しかしタイムアップならず、不本意ながら18番グリッドからのスタートとなる。
決勝7月7日(日)
晴天に恵まれた決勝レース当日、昨年9月の事故後初めてCARTのレースに訪れたアレックス・ザナルディがグリーンフラッグを振り、午後1時45分にスタート。ポール・トレイシーが後続のライバルを抑え、序盤を2位で走行する。予選7番手からスタートした中野信治はスタート直後いったん9位に下がったものの、2周目にトニー・カナーンをパスし、17周目には7位まで順位を戻す。
序盤から積極的な走りで前に出る中野信治は、34周目に最初の予定のピットストップを行い、さらに6位までポジションアップ。その後日本戦ウイナーのB.ジュンケイラと激しい攻防を展開し、45周目には5位に浮上した。
61周目にトニー・カナーンがメカニカル・トラブルでコース上にストール。この時のフルコースコーション後の再スタートで、2位のポール・トレイシーにまさかのブレーキトラブルが発生し、ターン1で痛恨のスピンを喫してしまう。何とかコースに戻ることができたポール・トレイシーだったが、依然ブレーキに問題を抱え、87周目に再度ターン1のタイヤバリアへ突っ込んで無念のリタイア。これで中野信治は4位にポジションアップした。
前半ピットストップで後退していたダリオ・フランキッティは、78周目に最後のピットストップを終え、93周目には7位まで復帰。しかし96周目にA.タグリアーニに追突されてスピンしたためにリアウイングが脱落、リタイアを余儀なくされる。
Honda勢が不運のトラブルで後退する中、トップグループで孤軍奮闘する中野信治は最後までスピードが衰えることなくレースを戦い、最終ラップには3位に1秒近くまで詰め寄る。結果的に表彰台には届かなかったものの、今週のHonda勢最上位で、自身過去最高位となる4位でチェッカードフラッグ。先週の5位からひとつポジションを上げてフィニッシュした。
以下Honda勢は、エイドリアン・フェルナンデスが終始ハンドリングに問題を抱えながらも9位で完走し、チャンピオンシップポイント4点を獲得。予選18位からのスタートとなったマイケル・アンドレッティも最後までレースを諦めず、最終的に11位でチェッカーを受けて2点を獲得した。
中野 信治(4位)
我々にとって非常に良いレースでした。チームのみんなに心からお礼を言いたいです。ピットストップでもミスは無く、完璧でした。Hondaエンジンのパワーも申し分なく、今日のマシンは今までで最高の仕上がりでしたね。この調子で次のクリーブランドこそ表彰台を狙いたいです。
A.フェルナンデス(9位)
基本的な問題がクリアできない週末だった。レース序盤はオーバーステアがひどく、まったくアタックできない状態で我慢の一日だったよ。それでも信治(中野)が2週連続で好結果を出すことが出来てとても嬉しい。今後、マシンのセットアップが悪い原因を探っていく必要がある。
M.アンドレッティ(11位)
タフなレースだった。出来れば今日のレースで悪運を全部清算できたらいいね。レース序盤ではハンドリングが悪くて序盤からタイヤをロックさせてしまい、周回遅れになってしまった。あとはご覧の通り、悪いことが重なってしまった。今週末のことはさっさと忘れてしまいたいよ。
D.フランキッティ(13位)
タグ(タグリアーニ)に思いきり追突されてしまったよ。CARTは僕がディクソンをパスしたときにコーナーをショート・カットしたと言ってペナルティを科したけれど、あれはショート・カットではない。ここはパッシングの難しいコースだが、あれは絶対クリーン・パスだ。
P.トレイシー(16位)
イエロー・コーションの直後、フロント・ブレーキにトラブルが出た。ブレーキ・バランスにも問題があったようだ。それでもできるだけ長くレースを続けたかったが、事態は悪化する一方で、これ以上は危険と思いリタイアした。地元のファンの前で好結果が出せなくてとても残念。
T.カナーン(17位)
何が起こったか見当がつかなかった。2度目のストップのあと、走行中にいきなりエンジンがパワーを失ってしまった。次に進むしかない。アレックス(ザナルディ)がサーキットに顔を出したことはとても嬉しかった。彼に、今日僕が使用したヘルメットをプレゼントするつもりだ。
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