
第6戦は今季3回目となるロードコースのポートランド・インターナショナル・レースウェイで開催。毎年雨に見まわれるこのイベントも、今年は3日間をとおして完全なドライコンディションに恵まれた。午後12時30分にコースインした18台のマシンは、隊列が整った3周目にグリーン・フラッグでスタート。ところが一周目のターン1でアクシデントが発生し、この混乱で予選7位からスタートしたダリオ・フランキッティがいっきに4番手までジャンプアップする。60周目に3番手まで上がったダリオ・フランキッティだったが、その4周後にT.ベルが先行。しかし最後のピットでダリオ・フランキッティは再び3位に浮上し、そのままチェッカーを受けて今季3度目の表彰台を獲得した。 |
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第6戦の舞台となるのは、今年3度目のロードコースとなるポートランド。コースはほぼフラットで、メイン・ストレートエンドには“フェスティバル・コーナー”と呼ばれるシケインがあり、ここが数少ないパッシング・ポイントとなる。森と緑に囲まれた美しいコースだ。
予選6月15日(土)
先週のラグナセカと同様にオーバーテイク・ポイントが少ないこのコースでは、予選グリッドのポジションが勝利への重要なキーとなる。Honda勢トップは今回がローラ・シャシーによる2度目のロードコースとなり、やっとその特性を掴み始めたダリオ・フランキッティ。金曜日の予選初日のタイムを凌ぐ59.365秒を最終予選でマークしたものの、グリッド位置は4列目7番手となった。同じくトップ10に入ったのはチームメイトのポール・トレイシーで、59.454秒のタイムを記録して9番グリッドを確保。12番手には59.484秒のマイケル・アンドレッティが入り、チーム・グリーンの3台がHonda勢の上位に着けた。以下トニー・カナーンが59.626秒で14位、8列目にフェルナンデス・レーシングのエイドリアン・フェルナンデスと中野信治が15番、及び16番グリッドからのスタートとなる。
決勝6月16日(日)
今にも雨が降り出しそうな曇り空となった午後12時30分、18台のマシンがコースイン。ペースカーの先導が終わってグリーン・フラッグを待つが、フロントロー2台の隊列がなかなか揃わず、4周目のトライでようやくグリーン。しかしオープニング・ラップのターン1で多重クラッシュが発生。レースは一周目からフルコース・コーションとなる。
先週のラグナセカ同様、このアクシデントでエイドリアン・フェルナンデスとマイケル・アンドレッティが巻き込まれて後退。Honda勢をまたも不運が襲う。幸いマシンにダメージは無く、2台はすかさずピット・イン。パッシングの困難なこのコースでピット・ストップのタイミングをずらす作戦に切りかえる。一方、このスタートで順位を上げたのがダリオ・フランキッティで、7番手から4番手までポジション・アップ。また14番手からスタートしたトニー・カナーンも11番手へと順位を上げた。
トップ・グループが予定のピットストップを行った30周目を過ぎ、序盤でタイミングをずらしていたエイドリアン・フェルナンデスとマイケル・アンドレッティも狙いどおりポイント圏内へ躍進する。2台はこのあとターン1のシケインでサイド・バイ・サイドのバトルを展開。マイケル・アンドレッティはエイドリアン・フェルナンデスとM.ドミンゲスを一気にパスし、同時にJ.バッサーがメカニカル・トラブルでリタイアしたことで9位まで順位を上げる。
序盤、ポジションアップに成功したダリオ・フランキッティは着実に4位をキープ。61周目に出された2度目のフルコース・コーションでピット・インし、クルー達の迅速なピット・ワークで3位にポジション・アップする。再スタートのあといったんT.ベルに先行を許してしまうが、88周目にT.ベルが最後のピットストップを行った後、ストップのタイミングを2周遅らせて再び3位に返り咲いた。
表彰圏内にポジションアップしたダリオ・フランキッティは、ラスト22周を逃げ切り3位でチェッカー。今シーズン3度目の表彰台を獲得した。また、シーズン序盤から不運なトラブルで完走もままならなかったトニー・カナーンは8位入賞、マイケル・アンドレッティも9位に入賞して前回の第5戦に続き二人ともポイントを獲得する。
予選16番手からスタートした中野信治は、金曜日のプラクティスと予選からオーバーステアに悩まされ続け、決勝レースでもピットストップ毎に調整を行うが問題は一向に解決しない状態が続く。それでもレース中盤の51周目には12位までポジションアップ。ほぼスケジュールどおりのピットストップもミスを犯すことなく迅速にこなし、81周目には11位まで上がる。結局、中野信治はそのままのポジションを守りきって今季3度目の入賞を果たした。
D.フランキッティ(3位)
表彰台に上れたことは嬉しい。スタートが上手くいったおかげでだいぶ助かったよ。前半は好調だったマシンの調子も中盤以降になると問題が出てきた。トップの連中に着いて行くために、こういった問題を解決するのは次回までの課題だ。でも先週の結果と比べれば雲泥の差だよ。
T.カナーン(8位)
強いオーバーステアが出てしまったため、今日は一日中マシンとの格闘だったよ。結果的に一周早くピットインしなければ6位以内でフィニッシュできたと思う。それでも8位でのフィニッシュは今シーズンでベスト。次回のシカゴは昨年ポールを獲っているし、ぜひとも頑張るよ。
M.アンドレッティ(9位)
スタートがとても上手くいったまでは良かったんだが、その直後にコースアウトさせられてしまい、大きく出遅れてしまった。あれが無ければ大きく違った結果が得られただろうね。ピット・ストップ毎にハンドリングは良くなっていった。今後も引き続き努力を絶やさないようにするよ。
中野 信治(11位)
チームとしては厳しい週末でした。金曜日から強いオーバーステアが出て、レースでもピットインの度に調整を繰り返しましたが、コース上でマシンをコントロールするのが精一杯でした。なんとかトロントとクリーブランドまでにはライバルと同等のセッティングを見つけたいです。
A.フェルナンデス(14位)
先週はトラブルの元を作ってしまったけど、今回は被害者となってしまったよ。右フロントのサスペンションを傷めたようだが、幸い大きな影響はなかった。ただ最後のピット・ストップで新品タイヤを装着したら、思ったより滑ってスピンしてしまった。今回は自分のミスだ。
P.トレイシー(17位)
クリスチャン(フィッテイパルディ)をパスしようとしたが、多分彼は前にいるタグ(A.タグリアーニ)に手一杯で、こっちが見えていなかったんだろうな。マシンの調子は上がっていただけに、とても残念な結果だよ。こうなったらこの分をシカゴで頑張るしかないね。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
先週のラグナセカに続き、ここポートランドもローラのセッティングには大変苦労を強いられ、予選もなかなか期待どおりにはいきませんでした。しかしながらレースではダリオがうまいスタートとその粘りで、何とか3位を確保できたことは喜ばしいことです。チームがローラのロードコースでのセッティングを一日も早くマスターして、本来の強さが発揮できるよう願っています。
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