
2002年FedExチャンピオンシップシリーズ第4戦は、ウィスコンシン州ミルウォーキー郊外の“ザ・ミルウォーキー・マイル”で、6月2日(日)、決勝レースが開催された。
予選から好調をアピールしたHondaターボV8勢はフロントローを独占。250周で争われた決勝レースにおいても、他を寄せ付けない走りを見せ、昨年のラグナ・セカ戦以来となる1-2フィニッシュを達成した。
ポールポジションを獲得したのは、エイドリアン・フェルナンデス選手(フェルナンデス・レーシング)だった。しかし、フロントロー2番手ポジションからスタートしたポール・トレイシー選手(チーム・クール・グリーン)が、オープニングラップでトップに浮上。前半の113周をリード。その後もライバル達の追撃を最後まで完璧に抑え、2000年のバンクーバー戦以来となる2年ぶりの優勝を飾った。また2位にはエイドリアン・フェルナンデス選手が入り、HondaターボV8勢が見事1-2フィニッシュを決め、同時にHondaはマニュファクチャラーズランキングでトップに浮上した。 |
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今回の第4戦は今シーズン初のショート・オーバルコースとなる“ザ・ミルウォーキー・マイル”で開催。1903年に初めて自動車レースが開催された由緒あるオーバル・コースだ。CART開催地の中で最も古い歴史を持つこの1マイル・オーバルは、バンク角が非常に浅く、難易度が高いコースとして知られている。
予選6月1日(土)
初日のプラクティスからトップタイムをマークし、絶好調のエイドリアン・フェルナンデスが、22.176秒のタイムで今シーズンの開幕戦以来2度目、自己通算3回目となるポール・ポジションを獲得。2位には22.205秒のタイムを記録したポール・トレイシーが入り、HondaターボV8勢はフロント・ローを独占する。さらに中野信治(フェルナンデス・レーシング)が22.383秒を記録し、2001年のテキサス・スピードウェイ戦の予選5位に次ぐ3列目6位グリッドを確保する健闘を見せた。以下HondaターボV8勢は今回のレースからシャシーをローラへとスイッチしたトニー・カナーン(モー・ナン・レーシング)が22.398秒で8位、そしてこちらもローラ・シャシーへと乗り換えたダリオ・フランキッティ(チーム・クール・グリーン)が22.448秒で9位グリッドを確保する。マイケル・アンドレッティ(チーム・モトローラ)は22.559秒で13位グリッドからのスタートとなり、HondaターボV8勢は予選上位トップ10位以内に合計5台のマシンが入る活躍を見せた。
決勝6月2日(日)
曇り空となったミルウォーキーで午前11時47分、グリーンフラッグが振り下ろされ250周のレースがスタート。ポールポジションからスタートしたエイドリアン・フェルナンデスだったが、オープニングラップで5番手まで後退。同じくフロントローからスタートしたポール・トレイシーがトップに立ち、中野信治も一気に3番手までポジションを上げる。トニー・カナーン4番手、マイケル・アンドレッティ6番手と、上位6台中5台をHondaターボV8勢が占めた。
レース序盤の43周目、表彰台圏内となる3位走行中の中野信治にサスペンション・トラブルが発生。即座にピットインした中野信治だったが、リタイアを余儀なくされる。さらに92周目、今度はトニー・カナーンのマシンにもトランスミッション・トラブルが発生し、こちらも戦線離脱となってしまった。
HondaターボV8勢を相次ぐトラブルが襲ったものの、ポール・トレイシーは変わらずトップを快走。また、13番手からスタートしたマイケル・アンドレッティがいっきに2番手まで浮上。エイドリアン・フェルナンデスも3番手につけるなど、HondaターボV8勢はトップから3位までを独占。
前半113周もリードを保ったポール・トレイシーは、ピットインのタイミングで、一時、2番手に順位を落とすが180周目に再びトップへと返り咲き、2番手に上がったエイドリアン・フェルナンデスとともにHondaターボV8勢のワン・ツー体制を構築する。
一方、その後方5番手を走行していたダリオ・フランキッティは、タイヤかすに乗ってしまい、壁に接触、リタイアを喫する。マイケル・アンドレッティは100周目のピットアウト直後、まだタイヤが十分に温まっていなかったためスピンを喫してしまい、順位を下げてしまっていたが、7番手までポジション・アップしてきた。
終盤はポール・トレイシーとエイドリアン・フェルナンデスの、HondaターボV8勢同士がトップ争いを展開するも、最後まで逃げ切ったポール・トレイシーがトップでチェッカーを受け優勝。2000年のバンクーバー戦以来、実に29戦ぶりの勝利で自己通算19勝目を挙げた。
また2位にはエイドリアン・フェルナンデスが入り、Hondaは昨年のラグナ・セカ以来の1-2フィニッシュを達成。またマニュファクチャラーズ・ポイントで最多の22ポイント(ポールポジション、最多リードラップ、優勝)を獲得し、堂々のランキングトップに躍進した。
P.トレイシー(優勝)
過去1ヵ月半に渡ってチームが積み重ねてきた努力を、とても誇りに思う。通常のCARTシリーズに加え、インディ500参戦やローラ・シャシーへの移行など、多くのことを一度にこなしてきたからね。今日の優勝は感無量だよ。
A.フェルナンデス(2位)
スタートですべてが決まってしまった。グリーンフラッグを振るスターターのミスで、自分は4つもポジションを落としてしまったんだ。レース中はマーブル(タイヤかす)が多く出たために路面コンディションは悪く、パスは困難な状態だった。
M.アンドレッティ(7位)
タフな一日だった。今日は2回にわたって順位を大きく下げる出来事があった。今回のレースではパッシングがほとんど不可能な状態となっていったから、ポジションをキープすることがとても大事だった。ミスも犯したが、結果的にポイントを獲得することが出来たのでよかったよ。
D.フランキッティ(12位)
フルコース・コーション直後の再スタートでクリスチャン(フィッティパルディ)の外側からパスを試みたら、マーブル(タイヤかす)に乗ってスピンしてしまった。自分のミスに腹が立ったよ。決勝ではマシンの状態がとても良かったので、なおさら残念な気持ちでいっぱいだ。
T.カナーン(16位)
スタートは上手くいき、まずまずのポジションを得ることができた。あのまま行けば表彰台も狙えただろう。ローラにスイッチしてから170マイル程度しか走りこんでいなかったから、マシンは完璧とはいえなかった。それにしても結果的に4連続リタイアは辛いね。
中野 信治(18位)
決勝ではマシンの調子がとても良く、表彰台を狙うことも可能な勢いでした。朝のウォームアップではオーバーステア気味だったハンドリングも決勝までには調整を済ませることができました。今回の結果は非常に残念です。次回はもっと運に恵まれたレースであってほしいですね。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
日本でのレースもそうでしたが、ここのところポール(トレイシー)はツキに恵まれていなかったので、勝ってくれて良かったです。また、今回から全員ローラだったのですが、スタート後の上位独占状態を見てのとおり、みな短時間でマスターしてくれました。これからが楽しみですね。
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