
4月27日(土)、2002年FedExチャンピオンシップシリーズ第3戦の決勝レースが、ツインリンクもてぎスーパースピードウェイ(栃木県芳賀郡茂木町)にて開催された。
今シーズン最初のオーバル・コースでのレースとなった決勝は、序盤から着実なレース運びをみせたダリオ・フランキッティ選手(チーム・クール・グリーン/Honda)が3位表彰台を獲得した。
1998、99年と2年連続でもてぎ戦を制しているエイドリアン・フェルナンデス選手(フェルナンデスレーシング/Honda)は7位。チームメイトの中野信治選手(フェルナンデスレーシング/Honda)は、左リアタイヤが外れるトラブルに見舞われたがレースに復帰、10位でレースを終えた。
予選2番手スタートのトニー・カナーン選手(モー・ナン・レーシング/Honda)は、トップ走行中の121周目に排気系トラブルのためリタイア。予選3番手のポール・トレイシー選手(チーム・クール・グリーン/Honda)は、2番手を走行中の84周目に右フロントホイールのベアリング・トラブルでリタイア。前戦ロングビーチで優勝したマイケル・アンドレッティ選手(チーム・モトローラ/Honda)は、115周目にリア・ウイングの故障でピットインリタイアとなった。
この結果、フランキッティ選手はドライバーズポイントを合計34ポイントとし、総合ランキングトップに浮上した。 |
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開幕戦のロード・コース、第2戦のストリート・コースに続き、第3戦は今シーズン最初のオーバル戦。今年で5回目の開催となったツインリンクもてぎは、全開で走れる大きなRのターン1と2、そしてシフト・ダウンを要求されるほど小さく回りこむターン3と4が特徴のオーバル・コースだ。
決勝4月27日(土)
初日、2日目の曇り空から一転、見事な快晴となったツインリンクもてぎ。午後12時35分、7万2千人の大観衆が見守る中201周のレースがスタートした。朝のウォームアップ走行でトップ・タイムをマークしたトニー・カナーンがオープニング・ラップからリードを奪い、それをポール・トレイシーが追う。序盤からHonda勢がレースをハイペースで引っ張っていく。
31周目にレース中のファステスト・ラップをマークしたトニー・カナーンは、規定の38周のピットインでいったんポール・トレイシーにトップの座を明け渡す。好調にトップを走行していたポール・トレイシーだったが、突如、右フロント・ホイールのベアリング・トラブルに見舞われ、84周目に戦列を離れる。ここでトニー・カナーンが再びトップへ立った。
合計3回リーダーとなり、72周の最多リード・ラップを記録したトニー・カナーン。ところが121周目を走行中、突然エキゾーストのボルトが折れるトラブルに見舞われ、緊急ピットイン。クルー達はなす術もなく無念のリタイアとなった。また81周目にトップに立ったマイケル・アンドレッティもリア・ウイングのマウントに亀裂が生じて115周目に戦線離脱を余儀なくされる。
次々と不運のトラブルがHonda勢を襲う中、135周目にダリオ・フランキッティが3位に浮上。しかし、序盤にピットインのタイミングがうまくいかなかったため、すでに1周の遅れをとっている状態だった。フルコース・コーションとピットインのタイミングを上手く利用してトップと同一周回に返り咲くべく、後半に望みを賭けチャンスを伺っていたダリオ・フランキッティ。
ラスト10周のところでピットインのタイミングによりダリオ・フランキッティはトップに立つが、待ち望んだフルコース・コーションがなかなか出ない。結局、自分自身も残り4周となった197周目、グリーンフラッグ中に規定周回数の38周目で最後のピットイン。クルー達の素早い作業でコースへの復帰を果たすものの、ゴールはもう目前まで迫っていた。
万策尽きたダリオ・フランキッティは3位でチェッカーフラッグを受け、開幕戦メキシコの2位に加え、今シーズン2度目の表彰台を獲得。ドライバーズポイントは合計34ポイントとなり、この時点でランキングトップに躍進した。
一方、3度目の地元日本でのレースを予選18番手からスタートした中野信治は、多くのファンが見守る中、着実にポジションを上げ、140周目に出されたフルコース・コーション下で5位まで順位を上げる。だが再スタート直後に突然、後輪が脱落するトラブルに見舞われ後退。しかし最後まで諦めることなく10位に入賞。第2戦に続きチャンピオンシップ・ポイント3点を獲得した。
4人目のもてぎウイナーとなったのは、ポール・ポジションスタートのブルーノ・ジュンケイラ。決勝でも勢いは衰えることなく、今シーズン初優勝を飾った。
D.フランキッティ(3位)
優勝することが出来なくてとても残念だよ。自分にとっても、またHondaのためにもこのレースにだけは絶対に勝ちたかった。フルコース・コーション中、再スタート予告の合図が無かったために悪いタイミングでピットインし、おかげで周回遅れになってしまった。本来ならこんな結果になるはずではなかったのに。
A.フェルナンデス(7位)
あまりにも多くのトラブルに見舞われすぎた。プレナム・チャンバーのトラブルで最後尾まで落ちた後、ウエイト・バランスにも問題が起こった。もてぎとは相性が良いはずなんだが、今回はダメだった。Hondaのために是が非でも勝ちたかったが、それが叶わずとても残念だ。
中野 信治(10位)
困難が続いたレースウィークでしたが、チームの皆は最善を尽くしてくれました。この努力はこれから必ず報われると信じています。レース中はウエイト・バランスの問題やアンダーステアに悩まされました。リア・ホイールが外れた時は怖かったですが、それでも最終的に10位に入賞できて良かったです。
T.カナーン(15位)
こうなると、なんと言って良いのか分からないよ。3戦連続でリタイアは辛いね。自分もチームも最善を尽くした。なんとかこの状況から抜け出したい。とにかくまだまだ長いシーズンが残っていると考えていくしかない。今回はマシンの調子が絶好調だったから、よけいに無念だよ。
M.アンドレッティ(16位)
マシンの調子はすこぶる良かっただけに無念さが残る。まともにいけばトップ5は確実だった。3度目のピットストップでクラッチ・トラブルに見舞われたが、そのあと周回遅れから挽回できたのでスピードには自信があった。Honda・エンジンが絶好調だっただけに、とても残念な結果だ。
P.トレイシー(19位)
もともとホイール・ベアリングに問題があったのは解っていた。ほとんどのローラ・ユーザーが同じような問題を抱えていたと思う。この部分の供給が足りていたら、問題は起きなかっただろう。エンジンも含めそれ以外はまったく問題なかっただけに、とにかく悔しい。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
日本のファンの皆様に多大な声援を送って頂いたにも関わらず、勝てなくて残念です。ローラ・シャシーを使い始めて間もないチームの熟成不足が結果に出てしまいましたね。次戦から全チームがローラ・シャシーを使用するので、今回の経験を役立てていきます。もてぎ戦という一つの大きな山場が終わり心機一転、残りのシーズンを戦い抜いて必ずチャンピオンシップ連覇を達成したいと思います。
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