
2002年FedExチャンピオンシップシリーズ第2戦は、カリフォルニア州、ロングビーチの市街地仮設ロードコースで、4月14日(日)、決勝レースが開催された。
今シーズン最初のストリートコースのレースとなった第2戦は、予選、決勝とも曇り空の中での開催となった。グリーンフラッグでスタートした決勝レースでは、予選8番手スタートのポール・トレイシー選手(チーム・クール・グリーン/Honda)が序盤から4位へ躍進。
しかしレース前半、2度目のフルコースコーションで各マシンがピットストップを行うなか、マイケル・アンドレッティ選手(チーム・モトローラ/Honda)がコース上に残る作戦で、一気にトップに躍進。その後、一時的にJ.バッサー選手(チーム・レイホール/フォード)にトップの座を譲るが、ライバル達が相次いでピットストップを行った62周目に再びトップへ返り咲く。
レース終盤、マイケル・アンドレッティ選手は背後に迫るJ.バッサー選手の追撃のプレッシャーにもミスを犯すことなく0.466秒の差をつけ見事優勝を決めた。これでHondaはロングビーチで7連勝を達成。またマイケル・アンドレッティ選手自身も通算優勝回数を現役最多となる42へと伸ばした。 |
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メキシコでの開幕戦から約1ヵ月、第2戦の舞台はカリフォルニア州ロングビーチの市街地仮設コースで開催。一周1.968マイル、ロングビーチ・ダウンタウンのビルの間を縫うようなレイアウトのコースは、長いストレートとタイトコーナーで構成される。
予選 4月13日(土)
土曜日の最終予選で、トニー・カナーンが初日のタイムを1秒以上短縮する68.411秒で3列目、6番手のグリッドを確保。Honda勢トップとなった。その後ろの4列目グリッドには開幕戦のメキシコ・モンテレイでポール・ポジションを獲得したエイドリアン・フェルナンデス。1993年と2000年のロングビーチ戦の覇者、ポール・トレイシーがその横に並ぶ。中野信治は最終予選で2秒近くタイムアップして14番グリッドを確保。1986年にここロングビーチで初優勝を飾って以来、現在通算41勝と現役最多勝利を誇るマイケル・アンドレッティは、予選残り1分のところでスピンしてコース上にストップ。それが赤旗中断の原因となったことで最速タイムが無効とされてしまい、15番グリッドからのスタートを余儀なくされる。シリーズ7勝のうちストリートコースで6勝を挙げているダリオ・フランキッティだっが、今回は16番グリッドからのスタートとなった。ポールポジションは、J.バッサーが、1分07秒742で獲得した。
決勝 4月14日(日)
晴天にこそ恵まれなかったものの、予選同様ドライコンディションとなった決勝レースは、午後12時40分過ぎにグリーンフラッグ。スタート直後はアクシデントも無く、ハイスピードのレースが展開。Honda勢はポール・トレイシーが4番手にジャンプアップ、トニー・カナーンが5番手につけている。
33周目、フルコースコーション下で各マシンがピットストップを行う中、エイドリアン・フェルナンデスが、トップで入ったC.ダ・マッタとピットロードで接触、両者は大きく遅れてしまう。この間、あえてピットインをせずコース上に残ったマイケル・アンドレッティはここでトップに浮上。再スタート後は同様の作戦にでたM.パピスが背後につき、両者の白熱したバトルが展開する。
47周目に規定のピットを行うべくピットインしたマイケル・アンドレッティは、いったんトップの座をJ.バッサーに明け渡すが、ライバル達がグリーンフラッグ下でピットストップした62周目にトップを奪回。その後63周目、この日5回目のフルコースコーションが出されると、すかさず最後の燃料補給を行うべくピットへ。フルコースコーションで低速走行しなければならないトップグループを尻目に、チーム・モトローラのクルー達は迅速なピットワークで作業を済ませ、マイケル・アンドレッティをトップでコースへと復帰させる。
見事作戦が功を奏したマイケル・アンドレッティは、65周目のグリーンフラッグで絶妙な再スタートを決め、2位のM.パピスとともに後続を引き離しにかかった。81周目には、この日6度目のフルコースコーションが出され、残り周回数8周でレースが再開となるとマイケル・アンドレッティは背後に迫るJ.バッサーの追撃を最後まで振り切る完璧な走行を披露。そのままトップでチェッカーフラッグを受け、現役ドライバーとして最多のシリーズ通算42勝目を飾った。
マイケル・アンドレッティは1989年から毎年最低一回は優勝を挙げており、今回の勝利でその記録をさらに伸ばしたことになる。またHonda・ターボV8エンジンは61勝目、ロングビーチ戦では1996年からの7連勝を達成した。出走6台中5台がポイントを獲得する結果となり、マニュファクチャラーズランキングのトップで次の日本戦に臨む。
一方、今回予選14番手からのスタートとなった中野信治は、最初のピットストップの直後にブレーキトラブルが発生。再度ピットインを強いられ大きく後退する。その後も燃圧が下がるトラブルに見舞われ、73周を走行したところでピットイン。なんとかレース復帰を試みるがかなわず、無念のリタイアとなる。しかしライバル達の脱落にも助けられて12位でレースを終了、チャンピオンシップ・ポイント1点を獲得した。
M.アンドレッティ(優勝)
この勝利はとても大きな意味を持つ。86年に初優勝を経験したこのロングビーチは、自分にとって特別な存在。Hondaのためにも、どうしてもここでの連勝記録を伸ばしたかったんだ。予選結果が悪くて失うものは何も無かったので、思いきった作戦に出たよ。それが今回は吉と出たようだね。
P.トレイシー(7位)
最初のピットストップのあたりからアンダーステアになった。2回目のストップでクラッチが壊れてしまい、押しがけでスタートしたせいでかなり順位を落としてしまったよ。しかし結果的に6ポイント獲得できて良かった。次回の"もてぎ"では、ぜひHondaに初勝利をプレゼントしたい。
D.フランキッティ(9位)
マシンはレース・セッティングではまずまずの状態で、スピードでは他に引けを取らなかったと思う。ただ今回は作戦が裏目に出たようだ。マイケル(アンドレッティ)とは反対の戦術で挑んだが、結果は見てのとおり。こればかりはレースが終わってみないと分からないね。
A.フェルナンデス(10位)
スタートではマシンの調子は良かった。しかし今日は全体的に運が悪いレースだったね。ピットレーンでのアクシデントや、トレイシーに接触されてのスピンなどで後退を余儀なくされたよ。最終的にトレイシーとフランキッティはパスできたが、ほんとうはもっと上位でフィニッシュ出来たはずだ。
中野 信治(12位)
途中ブレーキが抜けてしまい、コースアウトしてしまいました。その後しばらくは問題なかったのですが、フューエル・プレッシャーが下がるトラブルが出てしまい、パワーダウン。そのような状態で走行を続けることは危険なので、残念ですがレースを諦めるしかありませんでした。
T.カナーン(20位)
まったくツイてないよ。どうすることも出来なかった。ヘアピンを抜けてフロントストレートに入り、加速したところまでは良かった。しかしその直後、直線の中ほどでパワーダウンを感じた。その時点でなす術はなにもなかったんだ。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
マイケル(アンドレッティ)には心からありがとうと言いたいです。昨日までは劣勢だったのが、チームのピット作戦が見事にあたり、マイケルも終盤になるにつれてベテランらしい走りを披露してくれました。"もてぎ"に向けての準備も着々と進んでおり、この勝利の勢いを日本に持ち込みたいですね。
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