
2002年CART FedExチャンピオンシップ・シリーズ第1戦が、メキシコ、モンテレーの製鉄所跡地ファンディドラ・パーク内の、パーマネント・ロードコースで、3月10日(日)、決勝レースが開催された。今シーズン4チーム6名の体制でチャレンジするHonda・ターボV8勢は、8日(金)〜9日(土)に行われた公式予選において、地元メキシコ出身のエイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング)が、両セッションを制覇。改訂されたレギュレーションにより、ドライバーズポイント2点を獲得した。
翌10日(日)の決勝レースでは、予選2位からスタートしたダリオ・フランキッティ選手(チーム・クール・グリーン)が終始トップグループをキープし、終盤2番手からトップを追いつめるが惜しくも届かず第2位、表彰台の一角を獲得した。他のHonda・ターボV8勢では、予選19位から追い上げたポール・トレイシー選手(チーム・クール・グリーン)が第8位、マイケル・アンドレッティ選手(チーム・モトローラ)が12位へ入賞した。予選でマシンをレースカーからバックアップカーへチェンジしたため、最後尾スタートとなった中野信治選手(フェルナンデス・レーシング)は、5回のピットインを強いられながらも15位でレースを終えた。 |
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2002年CART FedExチャンピオンシップ・シリーズの開幕戦は、今年もメキシコのモンテレーが舞台となった。1900年にラテン・アメリカで初めて作られた製鉄所の跡地、ファンディドラ・パーク内のロードコースで開催。パーマネント(常設)コースながら年に一回しかレースが開催されないため、路面はグリップが非常に低いコース。
予選 3月8日(金)〜9日(土)
今シーズンからロードコースにおける金曜日の予選が再開。金曜と土曜日の2日間に亘って予選が行われ、各セッションでのトップはフロントローからのスタートと、1ポイントずつが与えられることになった。迎えた初日、金曜日の予選はエイドリアン・フェルナンデスが地元の期待に応えてトップタイムを記録し、今季初のチャンピオンシップ・ポイントとなる1点を獲得。ポール・ポジションを決定する土曜日の予選は、セッション開始直前になって雨が降り出してきた。ウエット・コンディションのなかコースインしたエイドリアン・フェルナンデスが、この日最速タイムとなる106.320秒をマークした直後から、徐々に雨が強くなる。合計9台がアタックするもののコンディションは悪くなる一方で、全車がタイムアタックを断念。結果的にエイドリアン・フェルナンデスが金曜日と土曜日の両方の予選を制し、ポール・ポジションと2点を獲得。ダリオ・フランキッティも2番手に入り、Honda勢のフロントロー独占となった。トニー・カナーンが13番手、マイケル・アンドレッティが16番手、ポール・トレイシーと中野信治は19番手と20番手から開幕戦に挑む。
決勝 3月10日(日)
晴天に恵まれた日曜日の決勝。ファンディドラ・パークに集まった約9万5千人のレースファンが見守る中、メキシコ国歌斉唱に続いて各マシンが一斉にコースイン。午後3時6分にグリーン・フラッグが振り下ろされ、2002年の開幕となる85周のレースがスタートした。
緊迫したオープニングラップ、ターン5で5台が絡むアクシデントが発生し、レースはいきなりフルコース・コーションとなる。4周目にグリーン・フラッグとなったあと、ポールのエイドリアン・フェルナンデスがレースをリードするが、ブレーキの不調からA.タグリアーニに先行を許してしまう。
予選2位からスタートしたダリオ・フランキッティは一時3位にポジションを落としていたが、21周目に2位に浮上。予選ではトラブル続きで振るわなかった19番手スタートのチームメイト、ポール・トレイシーもトップグループがピットストップを行った28周目以降に2位まで上昇。その後ルーチンのピットインで順位を下げたが、再度2番手に浮上した中盤、燃料モニターのトラブルで56周目に予定外のピットイン。タイムロスを強いられてしまう。
序盤のフルコースコーション以降、アクシデントも無くレースは後半戦に突入。終始安定した走りで2位を走行するダリオ・フランキッティが、トップとの差を徐々に詰めていく。一時18秒以上あった差を、残り15周目には約7秒以下へと縮めてきた。
その後も果敢にトップを追うダリオ・フランキッティだったが、残り8周のレースも大詰めとなった77周目、周回遅れのトニー・カナーンが他車と接触して、この日2度目のフルコースコーションが出される。そして残り周回数が3周となった時点でグリーンフラッグ。
最後のチャンスに賭け、トップを追うダリオ・フランキッティだったが二人の間に周回遅れがからむ。かわそうと必死のダリオ・フランキッティは、しかしながら後続も抑えなければいけない。結局残り3周をトップに逃げ切られてフィニッシュ。今季初レースを2位表彰台で終えた。
なお、今回予選20位からのスタートとなった中野信治は、走行時間が少なかったことで思うようにマシンをセットアップすることができず、10周目にスピンするなどして苦戦。37周目に他車と接触し、さらにオーバーステアが強くなってしまう。合計5回のピットストップを強いられた中野信治だったが、最終的に15位でフィニッシュした。
D.フランキッティ(2位)
最後の数周を除いては楽しめるレースだった。最初から最後までパワー全開で行けたからね。序盤エアジャッキ・トラブルでタイムロスしてしまったけど、それ以外のストップは完璧だった。ただ最後のグリーンフラッグのあと、周回遅れに塞がれたのはどうしようもなかった。
P.トレイシー(8位)
新しいルールの27周以内での燃料給油で、せっかくの2位表彰台を逃してしまった。シーズンオフのトレーニングが功を奏したようで、マシンも自分もコンディションは上々だった。もう少し良い結果がほしかったけど、少なくともポイントを獲得できてよかったね。
M.アンドレッティ(12位)
残念ながら肝心のところでスピンしてタイムをロスし、そこから周回遅れとなってしまった。いったん遅れてしまうと、なかなか取り戻すことが難しいコースだ。マシンの状態はレース全般で安定していただけに、もっと好成績を残したかった。
A.フェルナンデス(13位)
レースのセットアップでミスを犯したようで、少し車高が低すぎた。ブレーキング時にアンダーカウルが路面に当たってしまったよ。スタートしてしばらくするとセッティングが間違っていたことがわかり、優勝は苦しいと思った。次回のレースではぜひ雪辱を果たしたいね。
中野 信治(15位)
スタート時のマシンの状態はまあまあといったところでした。しかしダ・マッタと接触した時点からオーバーステアが強くなってしまいました。コースはラインを外すととても滑りやすい状態でしたね。車高調整が低すぎてしまい、苦戦しました。全体的に苦しいレースウィークでしたね。
T.カナーン(16位)
シーズン開幕戦でのノーポイントはなんともいやな気分だ。スタート時から電気系のトラブルに悩まされていたけれど、なんとしてもポイントを獲りたかったから最後まで諦めたくなかった。トラ(高木)をパスするチャンスだと思ったら、お互いにヒットしてしまった。残念だよ。
Honda・パフォーマンス・デベロップメント副社長 朝香 充弘
トラクションコントロールが直前になって許可され、我々は準備が間に合わなかったのでこのレースは難しいだろうと思ってました。しかし予選ではエイドリアンが地元でポールを取り、決勝ではフランキッティが頑張って2位に入ったので、影響を最小限に留める事ができましたね。
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