IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

ラタパーク・ウィライロー

中上貴晶 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ

苦難のシーズンの最後を充実したレースウイークで終える

IDEMITSU Honda Team Asiaで2016年シーズンのMoto2クラスを戦うラタパーク・ウィライローは、今シーズン最高のリザルトを収める決意で、最終戦バレンシアGPのレースウイークに臨みました。そんなウィライローにとって朗報となったのは、金曜日午後の走行から、長い間希望し続けてきた新しいフロントフォークを入手したという事実です。FP2からこの仕様で走ったウィライローは、走行後、今シーズンの課題だったブレーキングが大幅にスムーズになった、と話しました。この日のベストタイムは、トップタイムから1.126秒差。全選手のラップタイムが接近しているため、順位としては23番手になりました。

最終戦バレンシアGP  会場:バレンシア・サーキット
予選:25番手  決勝:20位

「今年はブレーキングでずっと苦戦していたのですが、その問題を大幅に改善できました。明日はもっとよくしていけると思います。新しいフロントフォークで走行した今日のFP2は、総じていいフィーリングでした。明日はレースペースを上げていきたいと思います。ロングラップで安定して1分36秒台を刻めるようになれば、決勝でいい走りができると思います。このコースは皆のタイムが接近しているので、明日の予選でできる限りいいグリッドを獲得したいです」

土曜日の走行でも、ウィライローとチームは午前から午後にかけて着実にセットアップを積み上げ、セッションごとにラップタイムを短縮していきました。予選タイムは、ポールポジションから1.166秒差の1分36秒045。25番グリッドからのスタートになりました。

ラタパーク・ウィライロー

「予選ではセットアップがさらに進み、マシンがよく走ってくれました。ベストラップになるはずの周回でシフトミスをしてしまい、35秒台を出せなかったのが残念です。明日の決勝は27周の長丁場なので、うまくレースを組み立てて、安定したリズムとペースで最後まで走りきりたいです。一年間の締めくくりとなるレースなので、いつもがんばってくれているチームの努力に報いるためにも、全力で走ってトップ15でゴールし、ポイントを獲得したいです」

決勝日のバレンシア・サーキットは、晩秋のさわやかな青空に包まれ、日が昇るにつれて暖かさを増すレース日和になりました。ウィライローは午前のウォームアップ走行で20番手とまずまずの仕上がりで、決勝レースでも序盤から少しずつポジションを上げていきました。レース中盤近くになっても、周回ごとに自己ベストタイムを更新しながら、前の選手たちを追いかけ続けるウィライロー。終盤は後ろの集団を引き離す一方で、前方グループとの距離もある単独走行になりましたが、あきらめずに最後まで高い集中力を維持し続けると、20位でチェッカーフラッグを受けました。

ラタパーク・ウィライロー

「いいレースになりました。新しいフロントフォークのおかげで自信を持って走れたのですが、序盤の10周にペースを上げきることができなかったので、それが中盤以降に響いてしまいました」

そう語るウィライローの表情は晴れやかで、充実感に満ちていました。

「フロントはよかったのですが、リアがコーナーの進入でスライドしていたので、ラインをトレースするためにはブレーキを早めにリリースする必要がありました。とはいえ、マシンの仕上がりは総じて満足のいく内容でした。今シーズンを振り返ると、自分をこのチームに入れてくれた岡田監督と、いつも全力で仕事をしてくれたチームの皆には、本当に感謝をしています。おそらくチームは、僕に対してもっと高い水準を期待してくれていたと思うのですが、その期待に応えることができずに申し訳ないことをしたと思っています。自分ではもっと速く走れる自信があるのですが、いろいろな理由から、今年は思うような走りをあまりできなかったが残念です。それでもこのチームで過ごした一年間はとても楽しく、いろんなことを勉強できました。マシン作りやセッションの進め方、速く走るためのコツ、プロフェッショナルライダーとしての心構えなど、多くのことを学べた一年でした。今年の貴重な経験を今後の自分のレース活動に生かして、これからも向上を目指してがんばり続けます」