IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

中上貴晶

ラタパーク・ウィライロー 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ
racereport

温度に苦しめられた最終戦。満足はできずとも実力は示す

2016年シーズンの最終戦バレンシアGPを終え、IDEMITSU Honda Team Asiaの中上貴晶は6位でチェッカーフラッグを受けました。27周の長いレースを終えてピットボックスへ戻ってきた中上の第一声は「一言で言えば、とても厳しいレースでした」というものでした。

最終戦バレンシアGP  会場:バレンシア・サーキット
予選:9番手  決勝:6位

金曜日初日のフリープラクティスは3番手スタートと順調な走り出しでしたが、土曜日の予選では二次旋回でフロントに課題を抱えてしまいました。狙い通りのコーナリングスピードをかせぐことができず、トップと0.486秒という僅差のラップタイムでしたが、3列目9番グリッドからのスタートになってしまいました。

旋回性を改善する最後のチャンスになった決勝日午前のウォームアップでは、20分間の走行で快調なライディングをみせ、トップから0.002秒差の2番手で終えました。ピットボックスに戻ってチーフメカニックに印象を伝える仕草でも、前日の課題は解決できた様子でした。

決勝レースの開始時刻は午後12時20分。午前のウォームアップは早朝の冷え込みを残すコンディションでしたが、すでに明るい日差しが降り注ぐサーキットは暖かさを増し、路面温度も公式計測で午前から14℃上昇していました。ただ、このコンディションの変化が中上にとってはいい方向へ作用しなかったのか、レースは苦しい展開になってしまいました。序盤の周回では13番手までポジションを大きく下げてしまい、そこから地道な追い上げでポジションを回復していったものの、6番手まで追い上げたところでチェッカーフラッグとなりました。

中上貴晶

「ウォームアップでは週末を通して最もいいパフォーマンスで、フィーリングも良好でした。予選まで抱えていたフロントの問題が解決して、ナチュラルに曲がれるようになり『これなら勝負できる、追い上げられる』という手応えでした。アベレージタイムに不安要素はなかったので、もしかしたらトップ争いができるかな、とも思ったのですが、レースでは暖かくなった分、マシンのフィーリングが大きく変わってしまい、十分に攻められませんでした。中盤までは我慢の走りでポジションが後ろの方になり、そこから6番手まで追い上げるのが精一杯のレースになってしまいました。火曜日からヘレスサーキットで、来季に向けたテストを開始するので、そこで今回のフィーリングが変わってしまった原因をしっかりと究明したいと思います」

中上貴晶

6位という順位は中上にとって決して喜べる結果ではありませんが、そのリザルトはともかく、落ち着いた走りで追い上げていったレース内容は、彼本来の高い戦闘力の一端を十分に示していたと言えるでしょう。また、前戦の終了時点でランキングが同じだった選手よりも上位でフィニッシュして、シーズンの総合順位を6位で終えられたことも、今回のレースのポジティブな要素です。

「今日は、ランキングで同点だった(ジョナス)フォルガー選手(Dynavolt Intact GP)の前で絶対にゴールしなければならないと思っていたので、最終的に彼の前で終わってランキングを単独6位で終えられたのはよかったと思います。でも、やはりレース内容としては喜べないし、表彰台争いやトップ争いをできなかったことは反省したいと思います」

中上貴晶

2016年シーズンを振り返って、中上は反省点を総括しながら、来年に向けた抱負を述べました。

「今シーズンはノーポイントのレースが2回ありました。チャンピオン争いをするためには、ノーポイントはあってはならないし、実際に今年はチャンピオン争いができませんでした。アッセンで初めて優勝できたのはいい思い出で、シーズン中盤戦は自分でも乗れている実感がありました。ただし、今回のレースでもそうなのですが、チャンピオン争いをするためには、例え苦しいレースでも、表彰台争いは最低でもできなければいけないと思います。今年はシーズンを終えて169ポイントでしたが、チャンピオン争いをするためにはさらに100ポイント以上を持っていなければなりません。反省することも多い反面、来年に向けた原動力になる、総じていいシーズンだったと思います。まだまだ改善の余地はたくさんあるので、火曜日のヘレステストから、しっかり来年に向けた準備を進めたいです」

中上貴晶

中上貴晶とIDEMITSU Honda Team Asiaは、2017年に向けてすでに走り始めました。目指すゴールはただ一つ、チャンピオンタイトルの獲得です。