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MotoGP

round 14

SCHEDULE

September 26/27/28 2014 MotoGP Gran Premio de Aragón

アラゴンアラゴンGP

アラゴンGPプレビュー

第14戦アラゴンGPが、9月26日(金)から28日(日)までの3日間、モーターランド・アラゴンで開催されます。モーターランド・アラゴンは、バルセロナとバレンシアからそれぞれ約200km、アラゴン州の州都サラゴサから約100km離れたアルカニスの郊外にあります。アラゴンGPは、ヘレスで開催されるスペインGP、カタルニアGP、バレンシアGPに続く、スペイン4番目のグランプリとして2010年にスタートし、今年で5度目の開催となります。

アラゴンGPプレビュー

モーターランド・アラゴンは、一周5.078km。マレーシアのセパン・サーキット、トルコのイスタンブール・パーク・サーキットなどを手がけたドイツ人デザイナーのヘルマン・ティルケ氏が設計しました。アップダウンの豊かな自然の地形を利用した左回りのコースは、バリエーションに富んだ17のコーナーが続き、選手たちにはとても好評です。初開催となった2010年には、国際ロードレーシングチーム協会(IRTA)の選出するベストサーキットに輝きました。

初開催となった10年はケーシー・ストーナー(当時ドゥカティ)が優勝。11年はRepsol Honda Teamに移籍したストーナーが2連覇を達成し、この優勝はRepsol Honda Teamとして100勝目という記念すべき勝利となりました。12年にはダニ・ペドロサ、13年にはマルク・マルケスとRepsol Honda Teamのライダーが過去3年連続で優勝。今年は4年連続優勝への期待が膨らんでいます。

13戦中11勝を挙げて総合首位のマルケスは、前戦サンマリノGPで優勝争いに加わりながら痛恨の転倒を喫しました。しかし、再スタートを切って15位でフィニッシュし、1ポイントを獲得しました。チャンピオンらしい粘り強い走りで、最後まで全力を出しきって完走したマルケスには、大きな拍手が送られました。今大会は、シーズン最多優勝記録タイの12勝目を狙う大会。サンマリノGPの雪辱に挑みます。

マルケスは、バルセロナから約100km離れたリェイダ近郊のサルベラで生まれ育ち、カタルニアGPがホームグランプリとなります。そして、モーターランド・アラゴンも自宅から約170kmの距離にあり、カタルニアGP同様、地元応援団が大勢駆けつけます。Moto2クラス時代は、11年に優勝、12年に2位。MotoGPクラス初参戦となった昨年は優勝しています。今年は2年連続のアラゴンGP制覇への期待がかかります。

総合2位のペドロサは、一昨年の大会で優勝しました。昨年はチームメートのマルケスと軽く接触し、電気系の配線が切れるという不運のアクシデントでリタイアに終わりましたが、転倒がなければマルケスと優勝争いをしていたことは間違いなく、今年はRepsol Honda Teamの両選手による優勝争いが期待されます。ペドロサにとっては、第11戦チェコGP以来、3戦ぶりとなる今季2勝目を狙う戦いとなります。そして、Repsol Honda Teamにとっては、今季4度目の1-2フィニッシュが期待されます。

モーターランド・アラゴンを得意とするステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、今季3度目のフロントロー獲得と、今季初表彰台獲得に挑みます。昨年の大会は、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、アルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)の両選手とのし烈な3位争いに加わって5位。今年はここまで、フリー走行、予選の走りをなかなか結果につなげられず、歯がゆい戦いが続いています。そして、後半戦は週末の3日間を通じてパフォーマンスを発揮できない苦しいレースが続いているだけに、得意のコースでの巻き返しに気合を入れています。

ホームグランプリとなるバウティスタも、昨年の大会ではし烈な3位争いの中で4位でフィニッシュ。表彰台にあと一歩届かなかっただけに、今年はその雪辱を果たす意気込みです。今年は第5戦フランスGPで3位表彰台に立っていますが、それ以降はリアタイヤのトラクション不足に苦しんでいます。予選、決勝とフラストレーションのたまる戦いが続いているだけに、今大会は地元ファンの声援に応える意気込みです。

Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」勢は、総合12位につけるスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)が今季4度目のトップ10フィニッシュを狙います。総合14位の青山博一(Drive M7 Aspar)、総合16位で前戦サンマリノGPで今季初めてオープンカテゴリーでのトップフィニッシュを果たしたカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、ともに今季2度目のオープンカテゴリーのトップを狙うことになります。また、右手首の手術のために第10戦インディアナポリスGPから前戦サンマリノGPまでの4戦を欠場していたニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)が今大会から復帰。「RCV1000R」勢4選手の走りに注目されます。

Moto2クラスは、総合首位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)と総合2位のミカ・カリオによるチームメート同士のタイトル争いが厳しくなってきました。後半戦最初の大会となった第10戦インディアナポリスGPでは、カリオが今季3勝目を挙げて、4位に終わったラバトとのポイント差を7としました。しかし、第11戦チェコGP、第12戦イギリスGP、第13戦サンマリノGPとラバトが3連勝。今季6勝とし、3戦連続2位のカリオとの差を22ポイントまで広げました。

両選手ともにミスのできない戦いが続いています。今大会も緊張感あふれる接近戦が予想されます。総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarillas HP 40)も、タイトル獲得の可能性を残しているだけに、ホームグランプリでラバトとカリオに先着する意気込み。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)も、第15戦日本GPに向けて、今季ベストリザルトを狙います。

Moto3クラスは、今季2勝を挙げて総合2位のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)、イギリスGP、サンマリノGPと2連勝を挙げて総合3位に浮上のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)がホーム大会でともに3勝目を目指します。総合首位のジャック・ミラー(KTM)とアレックス・マルケスの差は9点、ミラーとリンスの差は20点。ホームグランプリを迎える両選手が、地元ファンの声援の中で、一気にその差を縮める意気込みです。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「イタリアでは残念な週末になりましたが、今週末のアラゴンでは地元ファンの前でレースをするので、うれしいです。僕のファンクラブも来てくれます。このサーキットは大好きなサーキットで、過去3年間ここでいい結果を残してきたので、今年も同じようにがんばりたいです。最初と最後のセクションはテクニカルで、コーナリングがとても重要になります。金曜日から一生懸命がんばって、日曜日には再びトップに戻りたいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合2位)
「昨年はあまりよくありませんでしたが、それ以外アラゴンではいつもいい成績を残してきました。ホームのファンの前でレースをするのが楽しみです。彼らのサポートはすばらしく、モチベーションが上がります。マルクはチャンピオンシップにおいて大きくリードしていますが、2位争いをしている僕とバレンティーノとの差は、わずか1ポイントしかありません。レースで優勝し、チャンピオンシップ2位に向けてその差を広げることを目標に戦います」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合9位)
「今週末が楽しみです。アラゴンはHondaと相性がいいです。ミサノでは転倒リタイアに終わっているので、今週はその分を取り戻さなければなりません。アラゴンはとても好きなサーキットで、昨年はバウティスタやロッシと激しい5位争いを楽しみました。今週末もそれを繰り返せたらうれしいです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「アラゴンは非常に特別なサーキットです。高速コーナーにいくつかのタイトなコーナー、そしてとても長いストレートがあり、いろいろな特徴が組み合わされています。このサーキットでも昨年はいいレースができました。しかし、今は問題がたくさんあって苦戦しています。ホームレースの雰囲気が解決策を見つける手助けになることを願っています。今は、最大限プッシュしてもいいラップタイムを出せません。快適にマシンに乗るため、チームと一緒にまた仕事に取り組みたいです。応援に来てくれる家族やたくさんの友人のサポートと期待に応えたいです」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「MotoGPマシンでアラゴンを走るのは初めてですが、とてもいいサーキットです。僕たちのマシンにはいいサーキットだと思います。ミサノでは難しい週末となり、苦戦しました。今大会は、以前のような強い走りができるようになりたいです。ほかのHondaのオープンカテゴリーの前を走れるように一生懸命がんばります。もし可能であれば、ファクトリーマシンとも戦いたいです」

青山博一(MotoGP 総合14位)
「今シーズンも残り5レースとなりました。残り5戦、すべてのレースで結果を残したいです。今回は特にいい結果を出したいです。日本でのホームグランプリの直前なので、そこへいい形で向かいたいからです。また、アラゴンはチームにとってホームレースの一つなので、大事なレースになります。モーターランド・アラゴンはすばらしいサーキットです。ロングストレートがライバルに比べてやや不利になると思いますが、サーキットのそのほかの部分に関してはマシンに合うと思います。ミサノでは思ったようにいきませんでしたが、上り調子なので、それを結果につなげたいです」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合16位)
「ミサノでは、オープンクラスで優勝することができて、チームのみんなのモチベーションが上がりました。チームは一生懸命がんばっています。一歩一歩、確実に前進しています。アラゴンでは自信をもって、引き続きほかのオープンカテゴリー勢と戦うことを楽しみにしています

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合17位)
「今週末、ようやくレースに戻ることができます。ここまで5戦、多くのレースを欠場しなければならなかったのはつらかったです。なるべく早く戻ってこられるよう集中してきました。復帰に向けて、ダートトラックをかなり走ってきましたが、どれだけ回復しているのかは分かりません。だから、早くマシンに乗って手術の経過を見てみたいです。現状で目標は立てられませんが、とにかく戻って、どう感じるか見てみたいです。チームにまた会うのも楽しみです。金曜日、仕事に戻るのが楽しみです。腕と手首はかなり強くなったと感じますし、動きもよくなりました。回復するためにやることをすべてやってきました。アラゴンで初めてレースをしたときは表彰台に立てました。このサーキットはおもしろいコーナーがいくつかあって、かなり好きです」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「スペインでのレースは、地元ファンのサポートを感じることができるので、いつもと少し違います。でも、今週末のアラゴンへの取り組み方は、いつもと変わりません。チャンピオンシップにおいて、ミカと僕との差はまだとても小さいので、いつもと同じ目標を持って挑みます。チームと一生懸命仕事に集中し、日曜日には優勝へ向けてがんばって戦いたいです」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「シーズンも終盤戦になり、チャンピオンシップのことを考えるときがきました。残りわずか5戦ですべてが決まります。チャンピオンシップはまだ接戦です。でも、過去3戦は思ったようにいきませんでした。レースペースはよかったのですが、ティト(ラバト)の方がレース終盤でリアグリップがあったようです。残りのレースで戦略を変更しなければならないかもしれません。そして、終盤のためにタイヤを温存する方法を考えなければいけません。これからは、ティトを抑え続けなければなりません。彼が一番の目標になるし、僕と彼の戦いになっています。今週末のアラゴンでは再び彼より前にいけることを願っています」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「ホームレースはいつもすばらしい気分で迎えられます。今年もホームで4回レースがあって、とてもラッキーです。地元ファンの応援が毎回サポートになり、モチベーションが上がります。5月にアラゴンでテストを行いましたが、あれからずいぶん時間が経ったので、新しいサーキットで大会を迎えるような気分です。前回スペインでGPが行われたカタルニアでも表彰台に立つことができました。そのパフォーマンスを繰り返せるように、僕もチームも一生懸命がんばります」

中上貴晶(Moto2 総合24位)
「前戦サンマリノGPは予選8番手、決勝10位でした。もっと上でゴールしたかったのですが、現状ではベストを尽くせたと思います。マシンの状態はかなりよくなってきましたが、まだまだ攻めの走りができません。しかし、サンマリノGPでセットアップの方向性のヒントを得られたことがよかったです。日本GPにつながるレースにしたいです」

アレックス・マルケス(Moto3 総合2位)
「今回のホームレースでいい結果を残すために、大勢のファンに来てもらい、これまで以上に応援してもらわなければなりません。今週末はとてもいい週末になると思います。今年はアラゴンで3回プライベートテストを行っています。それが必ず役に立つと思います。ほかのレースと同じようにがんばって、テストのときと同様に安定して走りたいです。ミサノではすばらしいレースができました。今週はもっと強くなれることを願っています」

アレックス・リンス(Moto3 総合3位)
「ホームグランプリは、いつもポジティブでモチベーションが上がります。ここ2レース連続で優勝したので、すべてのファンがまた優勝のために応援してくれると思います。プレッシャーはあります。でも、優勝することは簡単なことではありません。3週間前にもアラゴンでテストを行い、いいセットアップも見つかりました。あとはどうなるかやってみるだけです」

エフレン・バスケス(Moto3 総合4位)
「今回のホームレースは、とても楽しみです。ヨーロッパを離れる遠征シリーズの前に、一生懸命プッシュしたいです。今はチャンピオンシップにおいていいポジションにいますが、毎回レースで接戦となっています。残り5レース、一生懸命戦わなければなりません」