round 16

October 18/19/20 2013 MotoGP Australian Grand Prix オーストラリアGP

SCHEDULE

オーストラリアGPプレビュー

マレーシアGPから2週連続開催となる第16戦オーストラリアGPが、10月18日(金)から20日(日)までの3日間、メルボルン近郊のフィリップアイランド・サーキットで開催されます。今年で25回目を迎えるオーストラリアGPは、1989年に第1回大会がフィリップアイランドで行われました。その後、シドニー郊外のイースタンクリークへと舞台を移しますが、97年から再びフィリップアイランドで行われるようになり、今年で17年連続(通算19回目)となります。

オーストラリアGPプレビュー

フィリップアイランドは、メルボルン市内から約150km、車で約2時間の距離にあります。東西約15km、南北約5kmの小さな島で、オーストラリア大陸とは橋でつながっています。島内にはコアラやペンギンの保護区があり、メルボルン近郊の観光スポットとしても知られ、連日、大勢の観光客が訪れます。

フィリップアイランドは、海に囲まれていることから天候が変わりやすく、気象の変化が選手たちを悩ませることになります。しかし、自然に恵まれ、海に囲まれたロケーションは、フィリップアイランドの最大の特徴で、その雄大な風景は、世界中のレースファンを魅了してきました。

一周4.448kmのサーキットは、ハイスピードコースが連続するレイアウトで、エンジンの性能差が生まれやすい加速区間がほとんどありません。アクセルの全開率が高く、スリップストリームを使い合うことから、エンジンの性能差が出にくく、毎年し烈なバトルが繰り広げられます。

過去6年は、地元オーストラリア出身で昨年を最後に引退したケーシー・ストーナーが6年連続で優勝しました。Repsol Honda Teamに移籍した2011年の大会では、シーズン11度目のポールポジション(PP)を獲得し、26歳の誕生日を迎えた10月16日にシーズン9勝目を達成してタイトル獲得も決め、多くの人の印象に残るレースとなりました。昨年も、ライバルを圧倒するすばらしい走りで優勝し、フィリップアイランドでは敵なしの速さを世界中のファンにアピールしました。

Repsol Honda Teamは、ストーナーの2連勝を引き継ぐ形で今年の大会を迎え、総合首位のマルク・マルケスと総合3位につけるダニ・ペドロサが優勝候補の筆頭として注目されています。

前戦マレーシアGPで2位になったマルケスは、総合2位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に43点差、チームメートで総合3位のペドロサに54点差をつけて今大会を迎えます。今年は上位3選手の厳しい戦いが続いていますが、3戦を残してマルケスがタイトルに王手となりました。昨年、Moto2クラスに出場していたマルケスは、タイトルに王手で迎えたオーストラリアGPで、見事にタイトル獲得を決めました。マルケスにとっては思い出深いサーキットだけに、今年もタイトル獲得を目指し、全力で挑むことになります。

前戦マレーシアGPで今季3勝目を達成したペドロサも、今大会はタイトル争いに生き残るために全力で挑みます。昨年は、ロレンソとのし烈なチャンピオン争いを繰り広げながらオーストラリアGPを迎えました。しかし、決勝では痛恨の転倒を喫し、タイトル獲得は果たせませんでした。ペドロサにとって、フィリップアイランドは最高峰クラスでは優勝経験のないサーキットですが、今年はオーストラリアGP初制覇と、昨年の雪辱に闘志を燃やしています。

125cc時代の2006年にフィリップアイランドでタイトル獲得を決めているアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)も、思い出のサーキットで今季初表彰台獲得に燃えています。昨年の大会はし烈な4位争いを繰り広げての5位でした。シーズン後半戦に入って、表彰台にあと一歩の戦いが続いているバウティスタは、得意のサーキットで今季ベストを狙います。チームメートでCRTマシンで出場のブライアン・スターリングも、ホームGPを迎えるだけに気合満点。走り慣れた得意のコースで、今季ベストリザルトと2度目のポイント獲得を目指します。

前戦マレーシアGPのフリー走行で右足のくるぶしを骨折したステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、マレーシア・クアラルンプール市内の病院で手術を受けてフィリップアイランドに入りました。木曜日にメディカルチェックを受けて、今大会に出場するかどうかを決めることになります。

接戦が続くMoto2クラスも、タイトル争いが厳しくなってきました。総合首位のスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が224点、2位のポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)が215点と、9点差に縮まってきました。さらに、前戦マレーシアGPで今季3勝目を挙げたエステべ・ラバト(Tuenti HP 40)が196点と猛烈に追い上げてきたことで、トップ3の点差は28点となりました。残り3戦となり、タイトル争いをする3選手にとってはミスの許されない戦いとなります。

総合首位のレディングは、過去3戦で表彰台に立てず苦しい戦いを強いられていますが、今大会では今季4勝目を狙います。対照的に過去3戦連続で表彰台に立ち続けてきたエスパルガロは、昨年優勝しているフィリップアイランドに向けて闘志満々。トップの2人を猛追するラバトも気合満点。今大会は3人のチャンピオン争いが大きな注目を集めることになりそうです。

中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、前戦マレーシアGPではセッティングを詰めきれず8位と苦戦しましたが、オーストラリアGPのあとにはホームレースとなる日本GPが待ち受けているだけに気合が入ります。また、グランプリ3戦目となったマレーシアGPで22位となったアズラン・シャー・カマルザマン(IDEMITSU Honda Team Asia)も、さらに上位を目指します。

Moto3クラスは、総合7位のジャック・ミラー(Caretta Technology - RTG)が、ホームレースで今季ベストリザルトと初表彰台を狙います。前戦マレーシアGPではトップグループに加わって、すばらしいパフォーマンスをみせました。今大会は走り慣れた得意のサーキットだけに、念願の初表彰台に挑みます。マレーシアGPではミラーとともにトップ集団に加わって、7位に入った総合8位のアレクシ・マスボー(Ongetta-Rivacold)も得意のコースに気合を入れています。

シーズン後半戦に入って調子を上げているロマノ・フェナティ(San Carlo Team Italia)も今季ベストに挑みます。渡辺陽向(TASCA RACING)も、今季初ポイント獲得に気合を入れています。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP ランキング1位)「マレーシアGPはいい週末になりました。そして重要なチャンピオンシップポイントを獲得することができました。休む間もなく、次のレースのためにこれからオーストラリアへ向かいます。これからの3戦は、これまでと変わらないレースへの取り組みと、メンタリティーを維持する必要があります。すべてのポイントがタイトル争いに影響してきます。そして、フィリップアイランドは、チャンピオンシップにおいて重要なレースとなります。いつものレースウイークのように初日から全力で挑み、集中力をキープしていきます」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)「マレーシアでのパフォーマンスにはとても満足しています。チームがすばらしい仕事をしてくれました。レースのあと、2日間の休みがありました。そして次のフィリップアイランドへ向かうことになります。残りの3レースは、なるべく力強いレースをしたいと思っています。フィリップアイランドは、独特なレイアウトでレースも白熱しますし、とてもおもしろいサーキットです。また、新しいアスファルトがどんな状態なのか、とても楽しみです。これまで、フィリップアイランドではいろいろなことがありましたが、今年はフィリップアイランドを楽しみたいと思います」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング6位)「(前戦の)セパンでは、この数戦の好調をキープすることができました。しかし、ブレーキのちょっとした問題がなければもっといい結果が出せたのではないかと思うと、とにかく悔しいレースでした。ShowaとNissinとの仕事は最高の形で前進しています。それが結果に表れていますし、フィリップアイランドが楽しみです。このサーキットは125ccで世界チャンピオンを獲得したところです。昨シーズンもいいレースができましたし、大好きなサーキットです。前方の集団でおもしろいレースをして、このポジションを確実にしたいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング7位)「土曜日の夜にクアラルンプールで行った手術はうまくいました。それ以降、すばらしい仕事をしてくれた理学療法士に感謝したいです。でも、フィリップアイランドで走れるかどうかは、もう少し待って様子をみなければなりません。木曜日にMotoGPのメディカルチームと会います。そのときに判断してくれるはずです。もちろん走りたいです。フィリップアイランドはすばらしいサーキットの一つで、最高に速いコーナーがたくさんあり、とても楽しいところです」

ブライアン・スターリング(MotoGP ランキング25位)「ようやくフィリップアイランドへ向かうことができます。ここではたくさん優勝してきましたので、僕にとって特別な思い出のある場所です。ホームレースで本当にいい結果を出したいです。そして、思うように走れなかったセパンの週末を忘れたいです。マレーシアではとにかくマシンが快適ではありませんでした。でもフィリップアイランドで力強いパフォーマンスをできれば、今シーズンの残りのレースへ向けていい流れを作ることができると思います」

スコット・レディング(Moto2 ランキング1位)「セパンではベストを尽くしました。ただ、2つのストレートがあり、どんなにブレーキングやコーナリングでがんばっても、遅れた分を取り戻すことはできませんでした。オーストラリアでは勝たなければなりません。チャンピオンシップは残り3戦です。ここまでの3レースでポイントを失ってきました。失ったポイントを取り返すためにも、ここでは勝たなくてはいけません」

ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位)「スコットとの差が、わずか9ポイントになりました。そして大好きなフィリップアイランドのサーキットへ向かうことができます。6月のカタルニアGP前に47ポイントも差があったことを思えば、リカバーするのは不可能ではないと思います。『自分たちにはできる』と自分自身に言い聞かせています。それほどポイントは離れていないですし、これまで通り一生懸命がんばります。セパンで試した新しいセッティングのおかげで、グリップはとてもよくなりました。オーストラリアでも役に立つことを願っています」

エステベ・ラバト(Moto2 ランキング3位)「この数戦、すばらしい結果を残すことができた方向性で引き続き取り組む予定です。これまで同様、プラクティスのすべての周で、集中してプッシュしていきます。失うものはありません。すべてのラップでプッシュすることが僕のプランです」

中上貴晶(Moto2 ランキング5位)「マレーシアGPは、本当に厳しいレースになりました。後半戦に入って、こんなに苦戦したレースは初めてでした。なにをどうやってもグリップが出せず、決勝ではフラストレーションがたまりました。しかし、そういうレースでしっかり8位でフィニッシュできたことはよかったと思います。フィリップアイランドは、昨年、不安定な天候に悩まされ、マレーシアGPの転倒で痛めた左足のケガもあって万全ではありませんでした。そういう状態でも決勝ではまずまずの走りができましたので、今年は再び優勝争いに加わりたいと思います」

ジャック・ミラー(Moto3 ランキング7位)「今大会も、難しく厳しいレースになると思います。高速コーナーがたくさんあります。しかし、すばらしいマシンがあるので大丈夫でしょう。フィリップアイランドは大好きです。そしてホームレースなのでがんばらなければなりません。ファンの声援に応えられるようなレースができればと思います」

アレクシ・マスボー(Moto3 ランキング8位)「フィリップアイランドは得意の高速コーナーがあって、とてもいいサーキットです。それでも楽な戦いにはなりませんし、実際に走ってみなければ、どうなるかは全く分かりません。ブルノとセパンではうまくいきました。オーストラリアもいいレースになることを願っています。いいセッティングを見つけることができればうまくいくかもしれません」

ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング14位)「ここ数戦はいい走りができたと思います。チャンピオンシップは僅差の大接戦になっています。少しでもランキングを上げるためにがんばらなければなりません。昨年、初めてのフィリップアイランドは6位でした。この数戦、ベースのセッティングを進めるためにいい仕事をしてきましたので、モチベーションは高まっています」

渡辺陽向(Moto3 ノーポイント)「マレーシアGPは大集団の戦いになり、ポイント圏内のグループの中で戦うことができました。あとは、その中でいかにポジションを上げていくかにかかっています。フィリップアイランドも初めてのサーキットになりますが、すごく楽しみにしています。オーストラリアGPからの連戦になる日本GPのためにも、しっかりといい走りをしたいと思います」