round 15

October 11/12/13 2013 MotoGP Malaysian Motorcycle Grand Prix マレーシアGP

SCHEDULE

マレーシアGPプレビュー

MotoGP第15戦マレーシアGPが、10月11日(金)から13日(日)までの3日間、クアラルンプール郊外のセパン・サーキットで開催されます。マレーシアGPは、1991年にシャーアラムでスタートしました。その後、ジョホールへと舞台を移し、99年からは、クアラルンプールの新空港とともに建設が始まったセパン・サーキットがマレーシアGPの舞台となりました。

マレーシアGPプレビュー

マレーシアは熱帯地方に位置し、気候が安定しているため、一年中走行することができます。さらに、バラエティーに富んだコーナーと長い2本のストレートを組み合わせたコースレイアウトは、MotoGPマシンのテストに適していることから、ウインターテストの舞台として定着しました。シーズンを通して、最もデータが豊富なサーキットであり、マレーシアGPは初日からレベルの高い走りが繰り広げられます。

マレーシアGPは今年で23回目、セパンでは15回目の開催となります。セパンは一周5.548kmのロングコースで、スローセクション、高速セクションが織り交ぜられたリズム感あふれるレイアウト。選手たちの評判も高く、毎年熱戦となっています。昨年は、豪雨の中でレースが行われ、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝。Repsol Honda Teamは、マレーシアGP2連覇を目指します。

前戦アラゴンGPでは、今季7度目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、チームメートのペドロサとホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)とのし烈なバトルを制し、今季6勝目を挙げました。この優勝で、アラゴンGPでは2位のロレンソに39点、転倒リタイアに終わったペドロサに59点のリードを築きました。今大会を含めて、シーズンは残り4戦。マレーシアGPからの連戦となる第16戦オーストラリアGP、そして第17戦日本GPと、マルケスにとっては得意のサーキットが続くだけに、デビューシーズンでのタイトル獲得の期待が膨らんでいます。

前戦アラゴンGPでは、ペドロサと軽い接触があり、そのためペドロサのマシンのスピードセンサーの配線が切れるという不可抗力のトラブルに見舞われ、ペドロサが転倒するハプニングが発生しました。この事故について審査委員会の調査が残っていますが、マルケスはレースに集中し、今季7勝目を目指すことになります。

セパンは、マルケスがMotoGPマシンに本格的に乗った初めてのサーキットです。ここまで14戦を終えて6勝を含む13度の表彰台を獲得。史上最年少記録をはじめ、数々の記録を樹立してきましたが、現在もレースをこなすたびにRC213Vのポテンシャルを引き出し、ライダースキルを向上させています。マルケスにとっては、自分の成長ぶりを実感することになるのが今回のレース。そして、レース界にとっては、マルケスの成長を知ることになる大会だけに、大きな注目が集まっています。

前戦アラゴンGPで転倒リタイアに終わったペドロサは、残り4戦で全勝する意気込みです。チャンピオンシップではマルケスから59点差と厳しい状況になっています。しかし、ここからの4戦は得意のサーキットが続くだけに、最後まで全力を尽くす意気込みです。

昨年の大会では、赤旗中断になった激しい雨のレースを制しました。MotoGPクラスでは、これが初めてのウエットコンディションでの優勝となり、ウエットコンディションの苦手意識を克服しました。今年はマレーシアGP2連覇を狙うことになりますが、ドライでもウエットでも優勝候補の筆頭になりそうです。

第9戦アメリカGPで初PP獲得、初表彰台となる2位になって以来、表彰台に立てないレースが続いているステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、今季2度目の表彰台獲得に闘志を燃やしています。後半戦に入って、タイヤのパフォーマンスを引き出すセットアップに苦労してきました。その問題は解消しましたが、この数戦はタイヤライフをいかにキープするかという課題と戦っています。しかし、前戦アラゴンGPで好バトルを繰り広げて自信を深めました。ここからの3連戦、マレーシアGP、オーストラリアGP、日本GPで一気に流れを変える意気込みです。

アルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)も、今季初表彰台に闘志を燃やしています。後半戦に入ってからは、セカンドグループでの戦いが続いています。その中でも、後半戦に入ってからはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)とのバトルが続き、なかなかロッシに先行することができませんが、その壁を乗り越えて、残り4戦でブレイクする意気込みです。チームメートでCRTマシンで出場のブライアン・スターリングも、セパンはウインターテストで走り込んでいるサーキットだけに、今季2度目のポイント獲得を目指します。

Moto2クラスも厳しい戦いが待ち受けています。第14戦アラゴンGPを終えて(Moto2クラスは13戦目)、スコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が215点で総合首位。総合2位のポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)が、サンマリノGP、アラゴンGPとレディングを猛追して195点とし、20点差へと迫りました。そして、総合3位のエステべ・ラバト(Tuenti HP 40)が171点と、チャンピオン争いは上位3人に絞られています。レディングとエスパルガロは、来季のMotoGPクラス参戦が決まっています。タイトルを獲得してMotoGPにチャレンジしたい2人の熱い戦いに注目が集まっています。

また、総合5位までランキングを上げてきた中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、今大会で念願の初優勝に挑みます。後半戦に入って4戦連続で表彰台に立ちましたが、前戦アラゴンGPでは痛恨のコースアウトを喫し、猛烈な追い上げを見せるも11位と悔しいレースに終わりました。今大会は、2戦ぶりの表彰台と初優勝を目標に、アラゴンGPの雪辱を果たす意気込みです。グランプリ3戦目を迎えるIDEMITSU Honda Team Asiaのアズラン・シャー・カマルザマンはホームグランプリとなります。前戦アラゴンGPは転倒リタイアとなりましたが、今大会はポイント獲得を目標に挑みます。

Moto3クラスは、総合7位のジャック・ミラー(Caretta Technology - RTG)、総合8位のアレクシ・マスボー(Ongetta-Rivacold)が、予選、決勝ともに今季ベストを狙います。ミラーは、今季何度もフロントロー獲得に迫っていますので、今大会こそ初フロントローを狙います。マスボーはチェコGP以来、4戦ぶり今季2度目のフロントローに闘志満々です。後半戦に入って上り調子のロマノ・フェナティ(San Carlo Team Italia)も、今季ベストを狙います。渡辺陽向(TASCA RACING)は、マレーシア、オーストラリア、日本と続く3連戦でベストリザルトの更新と、ポイント獲得を狙っています。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP ランキング1位)「これからマレーシアに向かいます。3連戦最初のレースとなりますが、準備はできています。セパンは好きなサーキットです。Hondaのマシンを本格的にテストした最初のサーキットですので、そこへ戻ることで、そのときの気持ちを思い出すことができると思いますし、とても楽しみにしています。今年は、あのころから本当にたくさんのことを学びました。今大会は、アラゴンでのダニとのアクシデントについて、レースディレクションのヒアリングが木曜日にあります。僕にできることはなにもないし、結果を待つしかありません」

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング3位)「この前のレースは、トップグループを走ることができましたし、感触はよかったです。同じような感触をセパンでも見つけられたらと思います。このサーキットはいろいろな要素が取り入れられています。高速コーナーや低速コーナー、ハードブレーキング、ロングストレートなどがあります。天候にも左右されます。アラゴンGPのあとは、体力的に厳しい日々でした。腰の痛みのために3日間歩くことができませんでした。しかし、毎日よくなってきています。今週末は完ぺきな状態になっていることを願っています」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング6位)「アラゴンでは、だんだん自分のパフォーマンスを引き出せるようになっていることを証明することができました。また、レースでは自信も得られました。おかげでセパンに向けてモチベーションは高まっています。ここからの4戦は、レース後半に消耗したタイヤをうまく使えるようにならなければなりません。早くトップに立てることを願っています。セパンは本当のチャレンジになります。準備は万端です」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング7位)「シーズン後半になって、だんだんいい形になってきていることをアラゴンで証明することができました。決勝ではずっと表彰台を目指して戦っていました。最終ラップにブラドルとバトルになり、バレンティーノに離されてしまったことは本当に悔しかったです。しかし、非常に満足しています。セパンでもトップとのギャップを縮め、上り調子を確認したいと思います。セパンの暑さと湿度に備えて、一生懸命トレーニングしてきました。エネルギーをどこでセーブするかが重要になってきます。このサーキットは最高で、大好きなサーキットです。さまざまな種類のコーナー、ハードブレーキングゾーン、速い切り返し、そして目を見張るようなスライドをするところもあります。コース幅が広く、ライン取りに幅があり、その先のブレーキングでパスするチャンスがたくさん生まれます。天候が変わりやすいので難しいレースになりますが、楽しいレースにしたいと思っています」

ブライアン・スターリング(MotoGP ランキング25位)「ホームグランプリとなるオーストラリアGPが近づいていますし、今週末のマレーシアGPがとても楽しみです。アラゴンの結果にはあまり満足していませんが、今週末のマレーシアで埋め合わせができればと思っていますし、ホームグランプリへ向けていいベースを作りたいです。セパンは好きですし、マシンの感触もよくなっています。これで、日曜日にいいレースができない理由はありません。もちろん暑さが大きなカギを握ると思いますが、準備は万端です」

スコット・レディング(Moto2 ランキング1位)「3週間で3レースは厳しい戦いとなりますが、とても楽しみです。2週間前のアラゴンGPでは、メインストレートで遅れてしまいましたが、セパンに向けて新しいエンジンにしました。これでスピードが伸びることを願っています。また、ミサノのあとに実施した腕上がりの手術のおかげで、右腕はよくなってきました。最後の4レースはポルやラバトとの大きなタイトル争いになります。プランはシンプル。最後まで戦い続けることです」

ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位)「マレーシアが楽しみです。このサーキットは相性がいいサーキットですからね。決勝に向けていいポジションにいるかどうかをしっかり見極めなければなりません。戦略はシンプルです。とにかく優勝するためにがんばることです。3位や4位では、それほどポイントを取り戻すことができませんので、100%プッシュしなければなりません。しかし、リラックスして落ち着くことも大事になります」

エステベ・ラバト(Moto2 ランキング3位)「ここまでを振り返れば、とてもうまくいっています。そして、大好きなセパンを迎えます。今は、タイヤがスライドしているときが一番快適な走りができていますので、セパンの暑さの中ではとても重要な要素になります。チームとともに、引き続きがんばってベストを尽くしたいです」

中上貴晶(Moto2 ランキング5位)「昨年のマレーシアGPは、シーズン後半戦に向けて調子を取り戻すことになったレースでした。予選は4番手。雨になった決勝は、好スタートからホールショットを奪うことができましたが、転倒してしまいました。再スタートを切りましたが、また転倒するという悔しいレースでした。今年は、フロントローを狙うことはもちろん、表彰台、優勝を狙っていきます。前戦アラゴンGPで来年の体制も決まり、これからはレースに集中することができます。3連戦最後の日本GPに向けて、後半戦のいい流れをキープし、さらにいいレースができるようにしたいと思っています」

ジャック・ミラー(Moto3 ランキング7位)「このサーキットは大好きですので、セパンが楽しみです。ロングストレートが2本あって、アベレージがとても速いサーキットです。ストレートでは今苦戦していますが、集団の中にいれば、スリップストリームが使えますので、それほど問題ではありません」

アレクシ・マスボー(Moto3 ランキング8位)「セパンはチャンピオンシップの中で好きなサーキットの一つです。ただ、ストレートが2本あるので厳しい戦いになると思います。集団の中に入ることができて、スリップストリームを使えたら、それほど悪くはないと思いますので全力で挑みます」

ロマノ・フェナティ(Moto3 ランキング14位)「セパンはロングストレートが2本ありますので、難しい週末になると思います。昨年はあまりいいレースができませんでした。今年はいいレースができることを願っています。チームは一生懸命がんばっています。ミサノとアラゴンで大きく前進できましたので、今回も同じように前進できることを願っています」

渡辺陽向(Moto3 ノーポイント)「マレーシアからの3連戦は、僕にとっては、とても重要な戦いになります。前戦アラゴンGPまで徐々に調子が上がってきましたし、マレーシアからスタートする3連戦最後の日本GPに向けて、このいい状態をリザルトにつなげていきたいと思います。前戦アラゴンGPは、ポイントを獲得できませんでしたが、今年になってベストレースでした。マレーシア、オーストラリア、日本と、どのレースでも、今年のベストレースだったと言えるようにしたいと思います」