2012年4月7日(土)・予選 会場:ロサイル・インターナショナル・サーキット
天候:晴れ、時々曇り 気温:29℃ コースコンディション:ドライ
開幕戦カタールGPの予選は、フリー走行で好タイムをマークしたケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)と、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、カル・クラッチロー(ヤマハ)の3人のポールポジション争いとなり、ロレンソがPPを獲得。ストーナーはPPを逃すも、フロントロー獲得の2番手から、2年連続5度目のカタールGP制覇に挑むことになりました。
2日間、3セッションで行われたフリー走行では、決勝に向けてハードタイヤでセットアップを続けてきました。そして初日、2日目とセッティングは確実によい方向に進んでいましたが、予選では再びチャタリングの問題を抱え、セットアップに多くの時間を割くことになりました。そのため、ソフトタイヤを使ったアタックでも十分にパフォーマンスを発揮できず、PP獲得は果たせませんでした。しかしカタールGPは、ストーナーがもっとも得意とするサーキットの1つ。決勝前のウオームアップで最後の調整に挑み、2年連続開幕Vを狙うことになります。
フリー走行で転倒するなど不完全燃焼のセッションが続いていたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)も、ソフトタイヤでアタックするも、タイヤのパフォーマンスを十分に発揮できず7番手。ストーナー同様、ウオームアップでセットアップを見直し、3列目から追い上げのレースに挑みます。この日は、エンジンの始動に手こずるシーンもあり、セットアップの異なる2号車でアタックしたことも影響しました。その雪辱に闘志を燃やすペドロサ。決勝では得意のロケットスタートを決めて、優勝争いに加わる意気込みです。
フリー走行で10番手につけていたルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)が、予選では1つポジションを上げて9番手。3回のフリー走行と予選で確実にタイムを短縮して、これからの成長に大きな期待が集まりました。アルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、フロントの接地感が改善せず11番手になるも、タイムが接近しているだけに追い上げのレースに期待されます。CBR1000RRのエンジンを搭載するCRTマシンのミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は17番手でした。
Moto2クラスは、今大会好調なトーマス・ルティ(Interwetten-Paddock)がPPを獲得。2番手にマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)が僅差で続き、15番手までが1秒差以内という接戦となりました。中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、トップから0.711秒差の9番手。目標とする2列目までには並べませんでしたが、アベレージもよく、優勝争いが期待されます。高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)は電気系のトラブルが続いて、25番手と悔しい結果に終わりました。
Moto3クラスは、サンドロ・コルテセ(KTM)がPPを獲得。フリー走行トップのマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)がわずか0.016秒差の2番手。ルイス・ロッシ(Racing Team Germany)が3番手。以下、13番手まで1秒差以内という接戦となりました。藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は、28番手から決勝に挑みます。
ケーシー・ストーナー(MotoGP 2番手)「予選セッティングは、思ったように進展せず、あまり満足できる内容ではありませんでした。今日は、これまで使っていなかったソフトタイヤを装着しましたが、もっといいタイムが出るはずでした。昨日は、セットアップもよくなって満足していました。今日はセッティングをしていったら、悪い方向にいってしまったんです。結局、最後は木曜日の状態に戻ってしまい、再びチャタリングに悩まされることになりました。どうしてこうなったのか、何が問題なのかを理解するために、明日はやらなければいけないことがたくさんあると思います。ウオームアップで大きく前進できれば、表彰台も狙えると思っています。もしかしたら優勝争いができるかもしれません。しかし、今の状態のままであれば、長く厳しいレースになるでしょう」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 7番手)「昨日抱えていた電子制御の問題が、少し解決されました。でも今日は、ほかの問題が起きて、うまくいきませんでした。ガレージに戻ってマシンを代えたら、始動しませんでした。そこでタイムをロスしてしまって、仕方なく、スペアのマシンでアタックしなければならなかったんです。チームも僕もこれ以上は、どうしようもなかったですし、残念でした。これで集中力を少し失ってしまって、アタックもうまくいきませんでした。7番グリッドは、決勝に向けてあまりいい位置ではありませんが、明日は何事も問題がなくて、いいレースをしたいです」
ステファン・ブラドル(MotoGP 9番手)「目標は3列目に並ぶことだったので、いい予選になったと思っています。タイムも6番手に近く、レースに向けて自信になりました。今日は、ほかのライダーよりもソフトタイヤで周回しました。しかし、タイヤのパフォーマンスを使いきるのは難しかったです。最初はもっともっとプッシュできると感じていましたが、アクセレーションに集中しなければなりませんでした。全体的なパッケージもよくなりました。トップライダーたちとのレースが楽しみです。僕の目標は、彼らについていって、できる限り学ぶことです」
アルバロ・バウティスタ(MotoGP 11番手)「いろいろ変えてみましたが、マシンは改善しませんでした。依然として、フロントに自信がありません。そのため、グリッドはだいぶん後ろになってしまいました。いいことではありませんが、まだウオームアップがあるので、そこで解決策を見つけたいです。明日は、できる限りいい形でフィニッシュしたいと思います。プレシーズンテストではよかったのに、ここではいい感触がなく、残念でした。引き続きセットアップに全力を挙げたいです」
中本修平|HRCチーム代表「今日は残念な結果でした。昨年のグランプリと比較して、ダニは1.6秒、ケーシーは0.7秒も遅くなりました。昨日からケーシーは、チャタリングを許容できるレベルにすると旋回性が落ちる、という問題を抱え、その妥協点を探っていました。今日も引き続き、いい状態を探っていたのですが、ソフトタイヤを入れるとチャタリングがひどくなって、タイムを上げられませんでした。ダニは、ソフトタイヤを入れてアタックしたようですが、これもグリップレベルが思ったほど上がらず、タイムを上げられなかったようです。セットアップの違う2号車でアタックしなければならなかったこともあります。今日は2人とも、厳しい一日になりましたが、決勝はいい状態を見つけて挑みたいと考えます」
トーマス・ルティ(Moto2 ポールポジション)「ここまでのところ、すばらしい走りができています。この間のスペイン・ヘレスのテストもよかったのですが、今回も引き続き、一歩前進することができました。レースが楽しみです。今年も相変わらずの接戦で、これまでと同じMoto2のレースになるでしょう。しかしベースはよかったし、自信はあります。明日はできる限りプッシュしたいです」
マルク・マルケス(Moto2 2番手)「思っていたより、うまくいきました。今回は最良のセッティングを見つけて、なるべく長く距離を走ろうと思っていました。その通りにいきましたし、前進することができました。初日から、レースのことを念頭に置いて仕事をしてきました。まだウオームアップでは、いくつか試したいことがあるのですが、全体的にすばらしい仕上がりになっています。フロントローは期待していませんでしたので、明日はレースを楽しみたいです。ほかのライダーのようなペースはありませんが、100%の力を出して、できる限り多くのポイントを獲得したいです」
アンドレア・イアンノーネ(Moto2 3番手)「ポジティブな一日でした。Speed Upでのデビューでフロントローになれてうれしいです。総合的にいい仕事をしました。速いですし、ポジティブな結果です。もっと前進できるチャンスがあることを願っています。あとコンマ数秒速くなれたら、より戦闘的になれると思っています。ルティに、マルケスもいます。厳しいレースになると思います。落ち着いてベストを尽くしたいです。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝しています」
中上貴晶(Moto2 9番手)「今日はフロントのフィーリングがいつもと違う感じがして、思いきり攻められませんでした。9番手タイムは、いっぱいいっぱいでしたし、精一杯の走りとポジションでした。その後、ウオームアップでセッティングを見直したら、すごくよくなって、ユーズドタイヤで予選とほとんど同じタイムが出せました。そのペースで周回もできました。今まではセッティングがおかしくなると、元の状態に自分を戻すのが難しかったのですが、今は迷わずに、元の状態に戻せるようになりました。明日の決勝はスタートを決めて、トップグループについていきたいです」
高橋裕紀(Moto2 25番手)「昨日の走行が終わったあと、予選に向けてセッティングを変更したのですが、これが逆方向に作用していて、うまく走れませんでした。セッティングを直そうと思ったら、電気系がおかしくなり、シフターがちゃんと動作せず、エンジンの周りもおかしくなってしまいました。ウオームアップではセッティングを変更して、いいフィーリングにはなったのですが、電気系のトラブルが出て、ピットに戻りました。今日はとことん、ついていませんでした」
マーベリック・ビニャーレス(Moto3 2番手)「予選は本当によかったです。ウオームアップでは、KTMと戦えるように、エンジンにいくつか違うことを試してみたいです。レースに向けて、だんだんまとまってきました。いいペースがありますし、消耗したタイヤでもいい走りができています。フロントローに並べましたし、これで1コーナーの渋滞を避けることができるのがうれしいですね。明日は速いペースを見つけたいです。そのペースで周回を重ねられたら、優勝も夢ではありません。全力で挑みます」
藤井謙汰(Moto3 28番手)「昨日より全体的によくなりました。ブレーキで突っ込みすぎず、アクセルをきちんと開ける方向で走れるようになりました。昨日、うまく走れなかった右コーナーも、今日はだいぶん攻略できました。明日の決勝は、初めて走るグランプリなので、どういうレースになるのか、どういうレースができるのか、全く分かりません。とにかく、1つでも上の順位を狙って走りたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:54.634 |
2 | 1 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.221 |
3 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +0.388 |
4 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.878 |
5 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.003 |
6 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | +1.224 |
7 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.271 |
8 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.349 |
9 | 6 | ステファン・ブラドル | Honda | +1.429 |
10 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1.564 |
11 | 19 | アルバロ・バウティスタ | Honda | +1.887 |
12 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +2.179 |
13 | 5 | C.エドワーズ | SUTER | +3.010 |
14 | 14 | R.デ・ピュニエ | ART | +3.632 |
15 | 41 | A.エスパルガロ | ART | +3.886 |
16 | 68 | Y.ヘルナンデス | BQR-FTR | +4.161 |
17 | 51 | M.ピロ | FTR | +4.451 |
18 | 54 | M.パシーニ | ART | +4.561 |
19 | 9 | D.ペトルッチ | IODA | +5.030 |
20 | 22 | I.シルバ | BQR-FTR | +5.859 |
21 | 77 | J.エリソン | ART | +6.123 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | 2:00.187 |
2 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.072 |
3 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SPEED UP | +0.109 |
4 | 40 | ポル・エスパルガロ | KALEX | +0.410 |
5 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | SPEED UP | +0.438 |
6 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | KALEX | +0.471 |
7 | 80 | エステベ・ラバト | KALEX | +0.606 |
8 | 71 | クラウディオ・コルティ | KALEX | +0.687 |
9 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.711 |
10 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +0.799 |
11 | 60 | フリアン・シモン | FTR | +0.805 |
12 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +0.828 |
13 | 45 | スコット・レディング | KALEX | +0.844 |
14 | 36 | ミカ・カリオ | KALEX | +0.924 |
15 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | SUTER | +0.994 |
16 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +1.187 |
17 | 24 | トニ・エリアス | SUTER | +1.431 |
18 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.531 |
19 | 5 | ヨハン・ザルコ | MOTOBI | +1.723 |
20 | 44 | ロベルト・ロルフォ | SUTER | +1.831 |
21 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.910 |
22 | 47 | アンヘル・ロドリゲス | FTR | +1.955 |
23 | 88 | リカルド・カルダス | AJR | +2.313 |
24 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +2.348 |
25 | 72 | 高橋裕紀 | SUTER | +2.450 |
26 | 18 | ニコラス・テロール | SUTER | +2.624 |
27 | 8 | ジノ・レイ | MORIWAKI | +2.747 |
28 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | MORIWAKI | +2.844 |
29 | 95 | アンソニー・ウエスト | MORIWAKI | +3.434 |
30 | 7 | アレクサンダー・ルンド | MZ FTR | +3.943 |
31 | 10 | マルコ・コランドレア | FTR | +4.237 |
32 | 82 | エレナ・ロセール | MORIWAKI | +4.996 |
33 | 96 | ナーセル・ハッサン・アル・マルキ | MORIWAKI | +5.404 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | S.コルテセ | KTM | 2:08.188 |
2 | 25 | マーベリック・ビニャーレス | FTR Honda | +0.016 |
3 | 96 | ルイス・ロッシ | FTR Honda | +0.115 |
4 | 39 | L.サロン | KALEX KTM | +0.378 |
5 | 31 | N.アジョ | KTM | +0.546 |
6 | 5 | ロマノ・フェナティ | FTR Honda | +0.611 |
7 | 63 | Z.カイルディン | KTM | +0.659 |
8 | 44 | ミゲル・オリベイラ | Honda | +0.738 |
9 | 61 | A.シシス | KTM | +0.813 |
10 | 10 | アレクシ・マスボー | Honda | +0.919 |
11 | 19 | アレッサンドロ・トヌッチ | FTR Honda | +0.931 |
12 | 52 | D.ケント | KTM | +0.938 |
13 | 42 | アレックス・リンス | Honda | +0.951 |
14 | 23 | A.モンカヨ | KALEX KTM | +1.182 |
15 | 41 | B.バインダー | KALEX KTM | +1.372 |
16 | 55 | H.ファウベル | KALEX KTM | +1.681 |
17 | 53 | ジャスパー・イウェマ | FGR Honda | +1.688 |
18 | 89 | アラン・ティーチャー | TSR Honda | +1.803 |
19 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | FTR Honda | +1.954 |
20 | 27 | ニッコロ・アントネッリ | Honda | +1.962 |
21 | 7 | エフレン・バスケス | Honda | +2.389 |
22 | 21 | イバン・モレノ | FTR Honda | +2.572 |
23 | 77 | M.シュローター | MAHINDRA | +2.867 |
24 | 26 | エイドリアン・マーティン | Honda | +3.076 |
25 | 99 | D.ウェッブ | MAHINDRA | +3.129 |
26 | 8 | ジャック・ミラー | Honda | +3.273 |
27 | 32 | アイザック・ビニャーレス | FTR Honda | +3.463 |
28 | 51 | 藤井謙汰 | TSR Honda | +4.657 |
29 | 15 | S.グロツキー | ORAL | +4.772 |
30 | 3 | L.モルチャーノ | IODA | +4.836 |
31 | 9 | トニ・フィンスターブッシュ | MZ-RE Honda | +5.066 |
32 | 94 | J.フォルガー | IODA | +5.507 |