2011年11月5日(土)・予選 会場:バレンシア・サーキット 天候:曇り、ときどき雨 気温:17℃
コースコンディション:ドライ/ウエット
最終戦バレンシアGPの予選は、終日、雲の多い一日となりました。午後の予選は、3クラスともに小雨が降り続くあいにくのコンディションの中で行われ、ケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)が今季12度目のポールポジションを獲得しました。この記録は、最高峰クラスを5回制したミック・ドゥーハンが、1997年にマークしたシーズン最多PP記録に並ぶもので、2011年のチャンピオン獲得に華を添えるものとなりました。
この日のストーナーは、午前中のフリー走行ではただ一人、1分32秒台をマークしてライバルを圧倒しました。そして、小雨が降り続ける午後の予選でも、1分31秒台の快速タイムをマーク、2番手以下に1秒以上のリードを築いて、見事、PPを獲得しました。
前戦マレーシアGPでは、首位を快走中のマルコ・シモンチェリ選手(Team San Carlo Honda Gresini)に悲しい事故が発生しました。今大会は、シモンチェリ選手の追悼レースとなりますが、志半ばにして逝ったシモンチェリ選手の思いを乗せて優勝を目指します。
2番手には、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が続きました。午前中のフリー走行、午後の予選とすばらしいタイムをマークしますが、この日はフロントのフィーリングが完全ではなく、ストーナーに後れを取りました。しかし、決勝に向けてマシンのセットアップが進むことは間違いなく、ストーナーとの優勝争いが期待されます。今年は、ヘレス、カタルニア(欠場)、アラゴンとスペインでの大会で優勝がありません。それだけにペドロサは、シーズン最後のレースで、地元ファンの期待に応える意気込みです。
この2人とトップタイム争いに加わることが期待されたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、フリー走行では4番手と、順調にセットアップを進めます。しかし予選では、痛恨の転倒を喫して8番手に終わりました。以下、トニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)が13番手。青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は14番手と思うようにタイムを伸ばせず、後方から追い上げのレースに挑むことになりました。
今シーズン、個人、コンストラクターズ、チームにおいて3冠を制しているRepsol Honda Teamは、最終戦でシーズン13勝目を目指します。
Moto2クラスは、セッション前半に一時的に雨が強くなり、セッション序盤のベストタイムでグリッドが決まりました。PPを獲得したのは、Gresini Racing Moto2のミケーレ・ピロ、2番手には同じチームの高橋裕紀が入り、シモンチェリ選手の追悼レースに闘志を燃やす両選手がフロントローに並びました。3番手にはミカ・カリオ(Marc VDS Racing Team)が続きました。マルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)の欠場でタイトルが決まったステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)が4番手。アレックス・デ・アンジェリス(JIR Moto2)、トーマス・ルティ(Interwetten Paddock Moto2)と続き、2列目までが1秒差以内という接戦となりました。
125ccクラスは、ダニー・ウェッブ(Mahindra Racing)がPPを獲得。チャンピオン争いをするヨハン・ザルコ(Avant-AirAsia-Ajo)は3番手、20点差でタイトル王手のニコラ・テロール(Bankia Aspar Team 125cc)は9番手でした。
ケーシー・ストーナー(MotoGP ポールポジション)「今日のポールポジションはとてもうれしいけれども、この勢いを決勝につなげたいです。僕がレースをするのは、PPを獲得して優勝することが目標ですからね。チャンピオンを獲得したのは、ボーナスをもらったようなものです。すべてのセッション、レースでベストを尽くしたいです。ウエットだった昨日は、あまりリスクを負いたくありませんでした。それに、あの微妙なコンディションでは、セットアップもあまり進展がありませんでしたからね。今日も小雨が降り続いていましたし、難しい一日でした。朝はコース上にいくつか水たまりもありました。だから、どこでプッシュすればいいのかを判断するのが難しかったんです。午後も同じ状態でしたが、雨の量が少し多かったようです。どこまでプッシュしていいのか、100%の確信はありませんでした。でも、マシンの感触は結構よくて、快適に走れました。最終的に、昨年のテストと同じようなセットアップにしました。それで、いいラップタイムを刻むことができたんです。明日、天候を見て、最終的なセットアップを決めたいと考えています」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)「セッション中盤に少し雨が強くなり、とても難しかったです。しかし、最後までドライだったし、スリックタイヤで走ることができたのはラッキーでした。そして、2番グリッドを獲得できたこともよかったです。マシンのセットアップには、完全に満足しているわけではありませんが、悪くないグリッドだと思っています。今夜、メカニックたちと一緒に、今日の課題だったフロントのフィーリングをよくするためのセッティングを考えたいです。明日は、いいレースをしたいですね。シーズン最後のレースですし、地元のファンも大勢います。とにかく、ベストを尽くしたいです」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)「今日は、風が強くて、路面コンディションも微妙でした。セッション終盤にかけて、コンディションがよくなり、4番手までポジションを上げることができました。そのあと、あまりリスクを負いたくなかったので、プッシュはしなかったのですが、ほかのライダーたちがタイムを上げてきたので、プッシュしなければならず、結果的に4コーナーでフロントから転倒してしまいました。僕のミスでした。幸い、どこも骨折はありませんでしたが、親指を脱きゅうして、ひどいアザができています。かなり痛いけれど、明日に向けての治療を受けました。今日は完ぺきな予選ではなく、3列目からのスタートになってしまいました。今夜は休んで、明日に向けて気持ちを切り替えたいです。天気がどうなるか分かりませんが、どんなコンディションでもいいレースをしたいと思っています」
トニ・エリアス(MotoGP 13番手)「午前中のフリー走行は、グリップを見つけられず苦戦しました。しかし、午後の予選に向けて、セットアップはかなり進みました。それにしても、今日のような変わりやすい天気は、あまり好きではありません。今朝はウエイトバランスの調整を行い、フィーリングがよくなり、自信を持って走れるようになりました。午後も引き続きセットアップに取り組みました。トップグループは速すぎるけれど、明日はいいスタートを切って、トップ10に入りたいです。このマシンとチームでの最後のレースになります。だから日曜日にはベストを尽くしたいです」
青山博一(MotoGP 14番手)「今日はフリー走行も予選も問題を抱えていて、いい走りができませんでした。午前から午後にかけて違うセットアップにもトライしましたが、解決しませんでした。チャターとホッピングが改善されず、思うようにプッシュできませんでした。明日は解決策が見つかることを願っています。そして状況をよくして、ポジションを上げたいです」
中本修平|HRCチーム代表「昨日、今日と難しいコンディションでした。ケーシーは、PPは取れましたけれど、ウエットコンディションには不安があります。ダニはウエット、ドライともに、フロントのフィーリングに問題を抱えています。PPと2番手、リザルトは悪くありませんが、決して万全ではありません。明日の天候を見て、さらにいい状態を作りたいです。アンドレアは予選で転んでしまい、グリッドを落としてしまいました。今回は、天候に合わせて、いかにセットアップをするかにかかっています。ベストを尽くしたいと考えます」
ミケーレ・ピロ(Moto2 ポールポジション)「Moto2で初めてのポールポジションなのでうれしい。コンディションは難しく、とても変わりやすかったです。雨があちらこちらで降ってました。もしかしたら、マルコが僕とマシンを押してくれたのかもしれません。このポールポジションをマルコと彼の家族に捧げたいです。チームにはとても感謝しています。チームにとって今は大変な時期です。明日はチームの為に一生懸命ベストを尽くしたいです」
高橋裕紀(Moto2 2番手)「コンディションはとても難しかったです。雨になるかもしれないとわかっていたので、なるべく早い段階にタイムを出そうと思っていました。それがよかったです。僕とミケーレが1番手と2番手になって、とても驚いているし、うれしいです。もしかしたらマルコが今日はパワーを送ってくれたのかもしれません。チームはとてもがんばっているし、感謝したいです」
ミカ・カリオ(Moto2 3番手)「久しぶりのフロントローなので、とてもうれしいです。マシンはドライでもウエットでもよかったです。だからレースに向けて自信はあります。今日のフロントローは本当にうれしいです。明日はベストを尽くして、いいスタートを切ってがんばります」
ステファン・ブラドル(Moto2 4番手)「厳しいシーズンでした。シーズン序盤はいいレースができたが、中盤以降は、マルクが速くて厳しいレースが続きました。シーズン終盤戦になって調子を取り戻し自信も戻ってきたし、前回のマレーシアではいいレースができました。マルクはケガをして2戦欠場することになりました。優勝回数では彼の方が多いし、残念なシーズンでした。しかし、総合ポイントでは僕がリードしてチャンピオンになることができました。苦しい時期もありましたが最後まであきらめずにがんばってきたのがよかったです。明日の決勝は優勝を目標に全力を尽くしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | 1:31.861 |
2 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.014 |
3 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +1.196 |
4 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +1.257 |
5 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.582 |
6 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.617 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.795 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.963 |
9 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +2.325 |
10 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +2.404 |
11 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +2.468 |
12 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +2.810 |
13 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.819 |
14 | 7 | 青山博一 | Honda | +2.977 |
15 | 89 | 中須賀克行 | ヤマハ | +4.138 |
16 | 41 | J.ヘイズ | ヤマハ | +4.181 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | 1:37.067 |
2 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +0.009 |
3 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +0.410 |
4 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | +0.803 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +0.821 |
6 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.896 |
7 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +1.028 |
8 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.115 |
9 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +1.429 |
10 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.498 |
11 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +1.566 |
12 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +1.585 |
13 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +1.588 |
14 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +1.636 |
15 | 18 | ジョルディ・トレース | SUTER | +1.857 |
16 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +1.869 |
17 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +2.029 |
18 | 25 | アレックス・バルドリーニ | MORIWAKI | +2.226 |
19 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +2.242 |
20 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +2.249 |
21 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +2.336 |
22 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +2.375 |
23 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +2.482 |
24 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | +2.604 |
25 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +2.649 |
26 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +2.676 |
27 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +2.751 |
28 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | SUTER | +2.782 |
29 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +3.210 |
30 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +3.301 |
31 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +3.374 |
32 | 6 | ホアン・オリベ | FTR | +3.445 |
33 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +3.623 |
34 | 61 | オスカー・クリメント | MIR RACING | +3.886 |
35 | 82 | エレナ・ロセール | SUTER | +4.939 |
36 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +5.250 |
37 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +5.560 |
38 | 96 | ナーセル・ハッサン・アル・マルキ | MORIWAKI | +6.642 |
RT | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | - |
RT | 93 | マルク・マルケス | SUTER | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | D.ウェッブ | マヒンドラ | 1:45.898 |
2 | 96 | L.ロッシ | アプリリア | +0.427 |
3 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +2.130 |
4 | 39 | L.サロン | アプリリア | +2.366 |
5 | 10 | A.マスボー | KTM | +2.385 |
6 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +2.390 |
7 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +2.833 |
8 | 25 | M.ビニャーレス | アプリリア | +2.858 |
9 | 18 | N.テロール | アプリリア | +3.022 |
10 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +3.540 |