開催日:2011年4月30日(土)・予選 会場:エストリル・サーキット
天候:曇り 気温:18℃ コースコンディション:ウエット/ドライ
ポルトガルGPの予選は、初日トップのマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)が好調で、セッション開始早々から快調にラップを刻んだ。そして、激しいトップタイム争いの中で何度も首位に浮上、初PPに期待が膨らんだが、セッション終盤に痛恨の転倒を喫し、転倒前のベストタイムで2番手につけた。昨年の最終戦バレンシアGP以来、2度目のフロントロー獲得。PPを逃すもベストグリッドを獲得したシモンチェリは、「明日のレースは自信がある」と、MotoGP初表彰台と初優勝に闘志を燃やしていた。
3番手にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がつけた。スペインGP後に左鎖骨のプレートを取り除く手術を行った。スペインGPから今大会までの3週間のインターバルで左肩は順調に回復したが、初日の走行で痛みやけいれんを感じ、完ぺきな状態ではないことが確認された。そのため、この2日間は最長7周の連続ラップに抑えた。決勝レースは28ラップの長丁場。「肩の状態は走ってみないと分からない」と語るが、PP獲得のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、2番手のシモンチェリとは僅差の3番手。連続ラップでもハイアベレージを刻んでいるだけに今季初優勝の期待も膨らんでいる。
開幕から2戦連続PPを獲得、今大会もPPが期待されたケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)は今大会、マシンのセッティングが完全には決まらず、4番手だった。しかしセッション終盤に、アベレージを上げることに成功、ギリギリでセットアップを決めているだけに、追い上げのレースが期待される。朝のウオームアップでさらにセッティングを改善できれば、シモンチェリ、ペドロサとともに優勝争いに加わることは必至の状況だ。
初日12番手と大きく出遅れたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が、予選で6番手に浮上した。午前中のフリー走行は、朝方まで降っていた雨の影響でハーフウエットと難しいコンディションだったが、このセッションでドヴィツィオーゾは大幅に順位を上げた。その走りを見事予選につなげ、2列目を確保した。決勝はシモンチェリ、ペドロサ、ストーナーを追い上げるレース。ポルトガルGPでの2年連続表彰台に闘志を燃やしている。
フリー走行で11番手だった青山博一(Team San Carlo Honda Gresini)は、予選も11番手だった。この日は午前中のフリー走行がハーフウエットだったために、セッティングを進めることができず、午後の予選でも、ブレーキングの安定性とリアのトラクション不足を解消できないまま一日を終えた。06年の大会で優勝しているトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)は、セットアップが決まらず17番手だったが、ともに追い上げのレースに期待される。
Moto2クラスは、ステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)が3戦連続PPを獲得。2番手にトーマス・ルティ(Interwetten Paddock Moto2)、3番手にフリアン・シモン(Mapfre Aspar Team Moto2)と続き、初日トップの高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)は、タイムアタックのタイミングを逃し、7番手にポジションを落とした。しかし、アベレージタイムでは十分に優勝を狙える仕上がりだけに、追い上げのレースに期待される。大会前には弟の高橋江紀選手が交通事故で亡くなった。今大会は弟・江紀選手に優勝を捧げる意気込みだ。
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 2番手) 「ポールポジション(PP)を取れなくてちょっと残念だったけれど、それほど落ち込んではいない。昨日、2セッションでトップタイムをマークすることができたし、予選でもほとんどPPを手に入れた状態だったからね。アタックしている周は、ブレーキングでミスをしてしまった。昨日、今日とフロントのセッティングは完全じゃないけれど、マシンの状態はいいし、いいレースをする自信はある。今日はリアのグリップを改善することができた。それに比べてフロントタイヤはちょっと動きすぎるくらいで、もう少し硬いタイヤがオプションであってもよかったのかもしれない。明日はいいレースをしたい。優勝争いに加われると思う」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手) 「今日の予選はとても接戦だった。いつだってそうだけれど、こういうときは特に、フロントローに並ぶことがとても重要になる。だから、今日はフロントローに並べてとてもよかった。明日の朝のウオームアップでさらにセッティングを進めて、よい状態で決勝に挑みたい。左肩はまだ完全ではない。痛みもあるし、動きも硬いので、そういう点では、明日の決勝は厳しい戦いになると思う。今回はロレンソがとても速く安定しているので、明日のレースは、ロレンソについていけるかどうかがカギを握る。とにかく彼についていきたい。明日の天気はどうなるか分からないが、どんな天候でもベストを尽くしたい」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 4番手) 「思ったような一日にならなかった。午前中はウエットコンディションとなったので、前回のヘレスのウエットセッティングで走り始めた。あまりよくなかったが、最終的にかなりいい状態を見つけた。しかし、ドライのセットアップができていないのでドライコンディションで走りたかった。ドライになった午後の予選は、昨日に引き続き、ブレーキングとコーナーのバランスを見つけることに重点を置いた。なかなか思った通りのラインを走れなかったのだが、最終的にいい状態を見つけることができた。しかし、時間が足りなくてソフトタイヤでアタックすることができなかった。フロントローに並べなかったが、フレッシュタイヤでアタックできなかったことを思えば、決して悪くない状態だ。明日のレースを楽しみにしている」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 6番手) 「昨日のことを思えば、こうして2列目から決勝に挑めるのでとてもうれしい。今日はセットアップに集中した。昨日に比べてフロントの安定性がとてもよくなった。1分38秒台で走れるようになったが、できれば37秒台に入れたかった。明日のウオームアップで改善しなくてはいけない部分があるので、できることならドライコンディションになることを願っている。とにかく、昨日から今日にかけて大きく前進することができてうれしい。明日のレースに向けて大きな自信になった」
青山博一(MotoGP 11番手) 「午前中のフリー走行は難しいコンディションだったので、セットアップを進めることができなかった。昨日はリアのグリップが足りないという課題を抱えていたが、今日はコンディションが変わり、フロントの安定性もリアのグリップも不足しているという状態だった。昨日から引き続き、タイヤのテストをしているが、ソフトもハードも、タイヤのいいところを引き出せていない。明日がどんな天候になるのか分からないが、コンディションにタイヤをうまく合わせていきたい」
トニ・エリアス(MotoGP 17番手) 「今日は何も前進することができなかった。昨日に比べて気温も路面温度も低く、リアタイヤの温度を上げるのに苦労した。それだけじゃなく、フロントのグリップにも苦しんだ。昨日のセッションは、これまでに比べてかなりいいフィーリングだったので、今日の結果は本当に残念だった。もっと速く走れると思っているし、今日の問題を解決しなくてはいけない」
中本修平 | HRCチーム代表 「PPを取れなくて残念。昨日に比べたら格段によくなった。セクター1と2は速いのだが、セクター3と4でロレンソが速かった。ファクトリーサポートの4台の中では、マルコが一番仕上がっている。彼は身体が大きいので、ブレーキングのスタビリティの部分で、ほかの3人よりアドバンテージがあった。ダニとケーシー、そしてアンドレアは、昨日からこのブレーキング・スタビリティに課題を抱えている。前半の高速セクションでは改善されたのだが、後半のスローセクションと最終コーナーでタイムをロスしていた。明日は優勝を目標に全力を尽くす。マルコ、ダニ、ケーシーの3人の中からウイナーが生まれるはずだ」
ステファン・ブラドル(Moto2 ポールポジション) 「PPを獲得できて、本当に驚いた。今回は車体にいくつか新しいパーツを入れているのだが、天候が不安定でセットアップが進まなかった。そのため、予選ではこれまでの状態に戻すことにした。多少、セッティングは必要だったが、最終的にいい感じで走ることができた。昨年はここでMoto2初優勝を達成した。明日もいいレースをしたい。中途半端なコンディションにだけはなってほしくない」
トーマス・ルティ(Moto2 2番手) 「昨日、今日と、天候が不安定だった。路面コンディションもころころ変わり、本当に難しい2日間だった。今日は何としてもPPが欲しかったが、最後にステファンに逆転されてしまった。しかし、いいペースで走れているし、明日は優勝争いに加われると思う。できることなら、ドライでレースがしたい」
フリアン・シモン(Moto2 3番手) 「やっと今年のスタートラインに立ったような気分だ。カタールは全然だめだったし、ヘレスは多少よくなったかなという状態。そして今回は、さらによいセッティングを見つけることができた。明日の目標はトップ5に入ること。もし表彰台に立てたら、最高の気分だ」
高橋裕紀(Moto2 7番手) 「今日も難しいコンディションで転倒車も多かったが、一度も転ばずに一日を終えることができた。予選は、最後にフレッシュタイヤを入れるタイミングを逃し、最後まで中古のタイヤで走ってしまった。チームとのコミュニケーションミスだが、中古タイヤで7番手につけられたわけで、状態は悪くない。3列目からのスタートになったけれど、着実に追い上げていきたい。ドライでもウエットでも、いいレースができると思う」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
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1 | 1 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:37.161 |
2 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +0.133 |
3 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.163 |
4 | 27 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.223 |
5 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.705 |
6 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.912 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.919 |
8 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +1.028 |
9 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.110 |
10 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.202 |
11 | 7 | 青山博一 | Honda | +1.336 |
12 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1.625 |
13 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.761 |
14 | 65 | L.カピロッシ | ドゥカティ | +1.773 |
15 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +2.011 |
16 | 14 | R.デ・ピュニエ | ドゥカティ | +2.217 |
17 | 24 | トニ・エリアス | Honda | +2.733 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | ステファン・ブラドル | KALEX | 1:41.591 |
2 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.163 |
3 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.314 |
4 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.482 |
5 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.552 |
6 | 51 | ミケーレ・ピロ | MORIWAKI | +0.628 |
7 | 72 | 高橋裕紀 | MORIWAKI | +0.668 |
8 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +0.716 |
9 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +0.809 |
10 | 44 | ポル・エスパルガロ | FTR | +0.865 |
11 | 40 | アレックス・エスパルガロ | PONS KALEX | +0.902 |
12 | 25 | アレックス・バルドリーニ | SUTER | +0.955 |
13 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.972 |
14 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SUTER | +1.000 |
15 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +1.152 |
16 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +1.155 |
17 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.253 |
18 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | MORIWAKI | +1.362 |
19 | 75 | マティア・パシーニ | FTR | +1.405 |
20 | 88 | リカルド・カルダス | MORIWAKI | +1.489 |
21 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.529 |
22 | 36 | ミカ・カリオ | SUTER | +1.549 |
23 | 34 | エステベ・ラバト | FTR | +1.598 |
24 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | FTR | +1.695 |
25 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.755 |
26 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | TECH 3 | +1.775 |
27 | 9 | ケニー・ノイズ | FTR | +1.808 |
28 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +1.881 |
29 | 13 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +2.069 |
30 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +2.083 |
31 | 21 | ハビエル・フォレス | SUTER | +2.119 |
32 | 53 | バレンタン・ドゥビーズ | FTR | +2.419 |
33 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | FTR | +2.499 |
34 | 64 | サンティアゴ・ヘルナンデス | FTR | +2.764 |
35 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +3.244 |
36 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | MORIWAKI | +3.509 |
37 | 49 | ケブ・コフラン | FTR | +3.789 |
38 | 97 | スティーブン・オーデンダール | SUTER | +4.964 |
* | 76 | マックス・ノイキルヒナー | MZ-RE HONDA | |
99 | ウカシュ・ワールガ | MORIWAKI |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | N.テロール | アプリリア | 1:46.556 |
2 | 11 | S.コルテセ | アプリリア | +0.714 |
3 | 44 | M.オリベイラ | アプリリア | +0.849 |
4 | 55 | H.ファウベル | アプリリア | +1.044 |
5 | 23 | A.モンカヨ | アプリリア | +1.194 |
6 | 5 | J.ザルコ | デルビ | +1.797 |
7 | 39 | L.サロン | アプリリア | +1.942 |
8 | 94 | J.フォルガー | アプリリア | +2.001 |
9 | 7 | E.バスケス | デルビ | +2.038 |
10 | 26 | A.マーティン | アプリリア | +2.083 |