round 3

April 29/30 - May 01 2011 MotoGP bwin Grande Premio de Portugal 第3戦 ポルトガルGP

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  • 決勝

ポルトガルGPプレビュー

東日本大震災の影響で日本GPが秋に延期となったため、4月29日から5月1日までの3日間、エストリル・サーキットで第3戦ポルトガルGPが開催される。エストリル・サーキットは1972年に完成。パドックが全面改修された2000年に初めてグランプリが開催された。今年で12回目となる。過去2年は秋の開催だったが、今年は3年ぶりに春の開催となった。

ポルトガルGPプレビュー

エストリル・サーキットは一周4.182km。約1kmのロングストレートとバラエティに富んだ低中高速のコーナーがある独特のコースレイアウトだ。ストレートでは最高速度が300km/hを超え、最もスピードが落ちるヘアピンでは時速50km台と、シーズンを通じて最も速度差のあるコースとして知られる。また、右回りのコーナーが多く、左コーナーでタイヤの温度が上がりにくいこともライダーたちを悩ませる。昨年はフリー、予選と豪雨が続き大荒れの天候となった。エストリルは海が近いため、天候が変わりやすく強風が吹き荒れることでも知られる。この天候をどう攻略して味方につけるかが、勝負に大きく影響する。

昨年の大会は、このサーキットを最も得意とするアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が3位表彰台に立った。ドヴィツィオーゾは今年、開幕戦カタールGPで4位とまずまずのスタートを切るも、第2戦スペインGPではウエットのセッティングが決まらず、タイヤの消耗に苦しんだ。ピットインしてタイヤ交換し、再スタートするも12位と低迷。今大会はその雪辱と、今季初表彰台に闘志を燃やす。250cc時代は05年2位、06年優勝、07年2位と3年連続表彰台に立っている得意のコース。MotoGPクラスでも2年連続表彰台の期待が膨らむ。今年はチームメートのダニ・ペドロサとケーシー・ストーナーにフリー、予選、決勝とやや後れを取っているが、得意とするエストリルでチームメートとの差を一気に縮める意気込みだ。

昨年の日本GPで痛めた左肩の影響で、開幕戦カタールGPで4位だったペドロサは、雨になった前戦スペインGPでは2位表彰台に立った。スペインGP前の検査で、昨年の日本GPで骨折した鎖骨に入れたプレートが血管を圧迫していることが判明。今大会はプレートを取り除く手術を受けての参戦となる。昨シーズンは日本GPの負傷で2戦に欠場。ポルトガルGPが復帰戦となった。しかし悪天候の影響でフリー、予選とほとんど走れず、ドライコンディションでぶっつけ本番となった決勝は8位だった。エストリルでは07、08年に2位。09年に3位と3回の表彰台に立っているが、これまで優勝はない。左肩がどの程度回復しているかが今大会の課題となるが、回復は順調で、ポルトガルGP初制覇の期待が寄せられる。2戦を終えて総合2位。首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と9点差。今大会は総合首位を狙う。

ストーナーは開幕から2戦連続でポールポジション(PP)を獲得。開幕戦カタールGP決勝で優勝し、第2戦スペインGPも優勝候補の筆頭にあげられたが、他車の転倒に巻き込まれてリタイアするという不運のレースとなった。今大会はその雪辱に闘志満々。今季2勝目に気合を入れている。前戦スペインGPのヘレス・サーキットは、ストーナーが最も相性の悪いサーキットとして知られていた。そのサーキットで、ドライでもウエットでもライバルを圧倒する速さを見せ、今年の仕上がりのよさを強烈にアピールした。ポルトガルGPではこれまで2度表彰台に立っているが、優勝経験なし。今大会は開幕から3戦連続PPと、ポルトガルGP初制覇の期待が膨らんでいる。第2戦スペインGPをノーポイントに終わったが、首位のロレンソとの差は20点。ここから着実にその差を縮めていく意気込みだ。

開幕戦から好調な走りを見せるマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)は、今大会で今季初表彰台を狙っている。開幕戦では予選4位からドヴィツィオーゾとし烈な4位争いを繰り広げて5位。第2戦スペインでは、予選6番手から一時トップに浮上する快走を見せて、大きな注目を集めた。最終的に転倒リタイアに終わったが、すばらしいパフォーマンスだった。エストリルは250cc時代に優勝するなど、最も得意とするサーキットの1つ。今大会はMotoGP初表彰台、初優勝に期待が膨らむ。

シモンチェリのチームメートの青山博一も、今大会は初表彰台を狙っている。雨のスペインGPでは、予選10番手から粘り強い走りと後半の追い上げでMotoGPベストリザルトとなる4位でフィニッシュ。最終ラップ、3位のニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)の背後に迫った走りは、大きな拍手を集めた。表彰台にあと一歩という悔しいレースの雪辱に闘志を燃やす青山。今大会はシモンチェリとともに大きな注目を集めることになりそうだ。

開幕戦から苦しい戦いを続けているトニ・エリアス(LCR Honda MotoGP)も、エストリルは06年に優勝するなど、最も得意とするサーキットだ。開幕戦カタールGPでは転倒。雨になったスペインGPでは大荒れの戦いの中で9位フィニッシュも、本調子にはほど遠い状態。得意とするエストリルで上昇気流に乗る意気込みだ。

Hondaエンジンを使用するMoto2クラスは、開幕戦から厳しい戦いが続いている。2戦を終えて総合首位にはアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)。2位、優勝と常に優勝争いに絡む走りを見せている。総合2位には、開幕戦で優勝、第2戦で5位のステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)。第3位には、開幕戦から3位、2位と確実に表彰台に立っているトーマス・ルティ(Interwetten Paddock Moto2)がブラドルと同ポイントで並ぶ。上位3選手が9点差内とミスの許されない厳しい戦いを繰り広げている。

以下、シモーネ・コルシ(Ioda Racing Project)、アレックス・デ・アンジェリス(JIR Moto2)、ブラッドリー・スミス(Tech 3 Racing)、フリアン・シモン(Mapfre Aspar Team Moto2)、ミケーレ・ピロ(Gresini Racing Moto2)、高橋裕紀(Gresini Racing Moto2)、ジュール・クルーゼル(Forward Racing)と続き、ここまでがトップ10。エンジン、タイヤともに同じ条件のMoto2クラス。予選、決勝ともに大接戦が続くだけに、今大会も厳しい戦いが予想される。

今大会の直前、高橋裕紀の弟の高橋江紀さんが交通事故のために亡くなった。高橋裕紀は開幕戦カタールGPで5位。第2戦スペインGPで転倒リタイアに終わっている。今大会は今季初表彰台、初優勝を亡き弟に捧げる意気込みだ。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「この3週間の休みの間に、やるべきことはやった。そしてマシンに再び乗るのを楽しみにしている。ヘレスの後、手術を行い、リハビリもできた。先週、抜糸したばかりだが、いい状態を作ることができたと思う。エストリルではどんな感じなのか分からないが、すべてうまくいっていることを願っているし、そして、マシンに乗って問題がないことを楽しみにしている。今年は左肩に問題は抱えているが、その状態の中では、この2戦はまずまずの結果だった。今回はベストな状態で戦えたらと思う。レースへ向けてマシンをいい状態に仕上げたい。今年はレースが4月なので、もし天気がよければすばらしいコンディションで戦えると思う。でも海が近いので決して油断はできない。エストリルはハードブレーキングが多く、その区間でいかにいいトラクションを見つけるかにかかっている」

ケーシー・ストーナー(MotoGP ランキング3位) 「スイスでいい休暇がとれた。今、気分がとてもいい。ヘレスがあんな結果に終わったので、ポルトガル戦を楽しみにしていた。ヘレスは、フリー走行と予選でいい走りができていたので、いい結果を残したかった。エストリルはあまり得意なサーキットではないけれど、これまで2位、3位と2回表彰台に立ったことがある。このサーキットでこの3年優勝している総合首位のロレンソとのポイント差を縮めたい。このサーキットでは、自分たちのマシンはいい走りをすると思う。いくつかタイトなコーナーがあって、長いストレートに続く。いいトラクションを見つけて初日からがんばりたい」

青山博一(MotoGP ランキング6位) 「ヘレスのレースを終えて、一段と自信が高まった。コンディションはとても難しかったけれど、一周一周なんとかコントロールすることができた。唯一後悔していることは、オーバーテイクするときに慎重になり過ぎて、表彰台に少しの差で届かなかったこと。4位という結果はうれしいが、今回はもう少し序盤から積極的にいきたい。ヘレスはドライコンディションの予選の転倒を除くと、マシンの感触はとてもよかった。だからエストリルではさらに前進できると思う。休みの間、ヨーロッパに残って次のレースに向けてトレーニングを行った。エストリルは予想不可能な天候のため、簡単なサーキットではない。強風にはいつも苦しむし、雨にも翻弄される。今週末はいい天気であることを期待している」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング7位) 「エストリルのレースが楽しみだ。ここは、自分のキャリアの中でも、とてもいい結果を残してきたところ。モチベーションは高い。今回はいいレースをして、いい仕事をしてくれているチームのためにも結果を残したい。エストリルでは優勝争いに加われるはずだ。サーキットは低速で、MotoGPマシンには向いていないと思う。今回、最も難しい作業の1つは、RC212Vのパワーを低速区間でどう操るかだと思っている。初日からいいスタートを切って、セットアップを完全にしたい。長い休みだったので、こうしてサーキットに戻れてうれしい。この休みは家で家族と過ごしてリラックスして楽しんだ。トレーニングとレースの準備にも時間を費やした。早くマシンに乗りたい」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング11位) 「ヘレスの苦い思い出がまだ残っている。すばらしいレースを展開していた。転倒するなんて思わなかったし、本当に残念だった。でも、まだ埋め合わせをするチャンスはいくらでもある。なぜなら今年は速く走れているし、マシンの感触もいい。自分もチームもどんどんよくなっているし、毎戦、前進している。すべてがうまくいっているので、近々みんなでいい結果を祝うことができるはずだ。今回の休みは長かった。エストリルへ向けてトレーニングをする前に、友達と遊んで、スキーを楽しんだりした。昨年の最高順位はポルトガルだった。もう少しで表彰台だったから、今回は表彰台に上がりたい。このサーキットはとても好き。09年に250ccで優勝した。その前の年も表彰台に上がった。いい週末にする自信がある」

トニ・エリアス(MotoGP ランキング14位) 「今回の休暇はちょっと長かったので、こうして、サーキットに戻れることがうれしい。エストリルでは06年の勝利が忘れられない。すばらしいレースだった。この3週間、これまでのデータをチェックする時間がたっぷりあった。それを参考に、ポルトガルではいいセットアップを見つけたい。厳しいスタートとなったので、大好きなエストリルから盛り返したい。心配なのは天気。ドライコンディションが望ましいけれど、ここは海が近いし、いつもギャンブルだ」

アンドレア・イアンノーネ(Moto2 ランキング1位) 「2戦を終えて総合首位。自分たちにとてもいいシーズンのスタートとなったのでうれしい。チームはすばらしい仕事をしてくれている。そして最初の2つのレースで表彰台に上がった。これをキープするのがとても重要なのは分かっているし、まだすべてが完ぺきではない。ドライコンディションでいくつかマシンに問題がある。だからレースがなかったこの数週間、これまで以上にいいものにするようにSUTERとミーティングをしてきた。今回も表彰台に立てるようベストを尽くす」

ステファン・ブラドル(Moto2 ランキング2位) 「ヘレスはとても残念だった。ウエットコンディションでKALEXを走らせるのは初めてだったし、理想的なセットアップもなかった。それで5位なのだから、最悪の結果ではなかったと思う。今回は優勝したい。今のところ、イアンノーネが一番強いライバル。彼は昨年3回優勝している。ドライでもウエットでも彼は速いが、ドライではそれほど差はないと思う。ここまで2戦連続PP。ヘレスでは2位との差に驚いた。自分のライディングが向上して、チームワークがよくなって、KALEXから100%サポートされていることを感じている」

トーマス・ルティ(Moto2 ランキング3位) 「今年はいいペースで走れていることを証明してきた。開幕から2戦連続で表彰台に立って来たし、今回も表彰台を目標にしたい。フリー、予選では毎回トップ4か5に入っている。今回も常にトップ5に入れるようにしたい。今シーズンはフロントグループで戦える状態を作り上げることができた。これを継続するのは簡単なことではない。大変な仕事と厳しいレースが待っているけれど、毎戦、全力を尽くしたい」

高橋裕紀(Moto2 ランキング9位) 「今年はまだ表彰台に立てていないので、エストリルでは今年最初の表彰台に立ちたい。エストリルのウインターテストは、3日間ともに雨になり、まったくテストができなかった。昨年も金曜日、土曜日と雨になった。今年はいい天候の中でレースがしたい。今大会前に弟の江紀が事故のために亡くなった。出場するかどうか悩んだが、家族と話し合いをして、欠場することは江紀が最も望んでいないと思うし、出場することにした。今週はいい結果を残したい」