round 14

October 3 2010
MotoGP GRAND PRIX OF JAPAN
第14戦 日本GP(ツインリンクもてぎ)

日本GPプレビュー

ロードレース世界選手権第14戦日本GPが、10月1日から3日まで、栃木県のツインリンクもてぎで開催される。今年は4月に第2戦として開催される予定だったが、アイスランドの火山噴火の影響で第14戦に延期された。そのため、第15戦マレーシアGP、第16戦オーストラリアGPと3週連続で大陸を移動するハードスケジュールとなり、同時に、チャンピオン争いでも、シーズン最大の山場を迎えることになった。

ツインリンクもてぎのグランプリは、1999年に日本GPとしてスタート。2000年から03年までは、鈴鹿サーキットで日本GP、ツインリンクもてぎでパシフィックGPが開催されるシーズン2回開催となった。04年以降は、ツインリンクもてぎが日本GPの舞台として定着している。

過去、ツインリンクもてぎのHondaの戦績は、2001年から04年まで4連勝達成も、それ以降は、5年連続で優勝から遠ざかっている。それだけに今年は、必勝態勢で日本GPに挑むことになる。

前戦アラゴンGPでは、シーズン中盤戦に入って安定した速さを見せるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が2位。フリー走行、予選の好調な走りを結果に結びつけられず、自身初の3連勝、シーズン5勝目を逃した。それだけにHondaのホームGPとなる今大会は、前戦の雪辱に闘志を燃やしている。

ペドロサは、125cc、250cc時代にこのサーキットで優勝している。最高峰クラスに上がってからも、08年、09年と2年連続の3位。今季はRC212Vの仕上がりもよく、ツインリンクもてぎは、RC212Vのアドバンテージを生かせるコースレイアウトだけに、優勝候補の筆頭として注目されている。

今季すでに9回の表彰台に立っているペドロサ。昨年のシーズン11回の表彰台記録を、ここからの5戦でいくつ超えられるかという期待も大きい。総合首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)とのポイント差は56点。依然として厳しい戦いが待ち受けているが、残り5戦での逆転にチームの総力を挙げて挑む意気込みだ。

チームメートのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)も、ツインリンクもてぎは得意とするコース。前戦アラゴンGPでは、ベン・スピース(ヤマハ)と壮絶な5位争いを繰り広げて、最終ラップに転倒リタイアを喫している。この数戦、結果にはつながっていないが、上り調子を強烈にアピールする戦いを見せているだけに、得意とするストップ&ゴーのツインリンクもてぎに闘志をかきたてている。ドヴィツィオーゾは、シーズン序盤、6戦で4回の表彰台を獲得した。中盤戦以降はなかなか表彰台に立てないレースが続いているが、ここからの5戦でこれまでの後れを一気に取り戻す意気込みだ。

前戦アラゴンGPで転倒リタイアに終わったランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)も、MotoGPクラスで初表彰台に立っているツインリンクもてぎに闘志を燃やす。今年は第8戦ドイツGPで転倒し、左足けい骨などを骨折した。約1カ月後の第10戦チェコGPに復帰したが、復帰後はなかなかシングルフィニッシュができず、戦前アラゴンGPでは転倒と、厳しいレースが続いている。しかし、足の状態もほぼ完調に戻りつつあるだけに、今大会は、シングルフィニッシュ、そして、今季初表彰台への期待も膨らむ。

シーズン中盤戦に入り、ずい所で速さを見せているルーキーのマルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)も、得意とするツインリンクもてぎに気合を入れている。250cc時代の08年には優勝。今年は最高峰クラスのMotoGPでのチャレンジとなるが、相性のいいツインリンクもてぎでベストリザルトを狙っている。チームメートのマルコ・メランドリは、マシンのセットアップが思うように進まず、今大会も不安を抱えての大会となるが、HondaのホームGPだけに、巻き返しに闘志を燃やしている。

ケガから復帰4戦目の青山博一(Interwetten Honda MotoGP)も、100%の体調で挑めるどうかという不安はあるが、今季ベストリザルトに気合を入れている。250cc時代は、常に日本GPの主役を務め、過去、2度の優勝で日本のファンを沸かせてきた。今年は最高峰クラスで初の凱旋レース。「いいレースを見せたい」と、今季最高のモチベーションで挑む。

Moto2クラスも、総合2位に76点と大量リードを築く首位のトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)が、マシンコンストラクターのモリワキのホームGPに闘志満々で今季7勝目を狙っている。今大会の結果次第では、この3連戦でタイトルを決める可能性が高まるだけに、それを阻止しようと、2位のフリアン・シモン(Mapfre Aspar Team)、3位のアンドレア・イアンノーネ(Fimmco Speed Up)も、逆転チャンピオンに気合を入れる。今年からスタートしたMoto2クラス日本初上陸のレースとなるが、今大会も壮絶な接戦が繰り広げられそうだ。

そして日本人勢は、総合9位の高橋裕紀(Tech 3 Racing)が気合満点で今季2勝目を狙う。今大会は、日本人選手にとっては、第12戦サンマリノGPで不慮の事故で亡くなった故富沢祥也氏の追悼レースにもなる。それだけに、高橋裕紀を筆頭に、地元日本人選手のモチベーションは高い。今季5戦目を迎える手島雄介、高橋裕紀の弟でワイルドカードで出場の高橋江紀、モリワキからは森脇尚護が出場と話題も多く、日本人選手の活躍に注目される。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング2位) 「いよいよ今週末から厳しい連戦がスタートする。6週間で5レース。僕の目標はチャンピオンシップに向けてベストを尽くすこと。おそらく、僕たちはMotoGPクラスの中でも最もいい状態にいるし、そのアドバンテージを最大限生かしたい。このファイナルステージの最初のレースとなる日本GPは、Hondaにとっては一番大事なレース。だからこのレースをとても楽しみにしていたし、それに向けて準備を始めたい。もてぎは、MotoGPクラスで過去2年表彰台に立ったけれど、まだ優勝したことがないので優勝したい。もてぎは毎回モチベーションが上がる。このサーキットは大好きだし、雰囲気も大好き。ファンもとても熱狂的だしマナーもいい。ファンのサポートをたくさん感じる大会だ。火山噴火の影響でシーズン序盤に予定されていた大会が延期となった分、ファンはもっと楽しみにしているだろうし、歓迎してくれると思う。ベストな状態でこれからのツアーをスタートできるのはとても大事だと思う。これまでも言ってきたように、シーズン終盤は、1レース1レースを大事に戦いたい。チームもいい仕事をしているし、RC212Vも調子がいい。それを自分たちがよくわかっている。だからこそ、1つでも多く優勝して可能な限りいい形で今年を終えたい」

アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP ランキング5位) 「今週末は、いい結果を残せるチャンスだと思っている。モチベーションも高い。HondaのホームGPだからね。Hondaやチーム、そして自分自身のためにもいいレースをしたい。昨年、予選は雨でキャンセルとなってしまい、セットアップする時間があまりなかった。でもいいレースができたし、自分のペースは悪くなかった。だから自信があるし、いいレースができると信じている。日本のレースは、他のグランプリと違って独特な雰囲気がある。とても好きな大会だ。ツインリンクもてぎのレイアウトは、スローコーナーから猛然と立ち上がっていくコーナーが多い。僕たちにとってはとてもいいことで、RC212Vの持っているパワーや強い部分を発揮できる。この数戦は接戦が続いているし、今回はいいレースができると信じている。とにかく、ここではいい結果を残すつもりだ。僕の今の目標はチャンピオンシップで3位になること。だから、もてぎで表彰台に上ることは自分にとってとても大事なことだ。目標に向かってがんばりたい」

ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP ランキング8位) 「この間のアラゴンでのレースは、期待していたような結果を残せなかった。金曜日と土曜日のマシンのフィーリングは、とてもよかったのだが、残り7周で転倒してしまった。その転倒でケガはなかったが、とても残念だった。もてぎからスタートするシーズン終盤で、また自分のいいペースを見つけたい。もてぎのGPは自分たちにとってもHondaにとっても、とても大切なレース。日本のファンはとてもあたたかいし、このサーキットはMotoGPクラスで初めて表彰台に立ったという、いい思い出もある。ストップ&ゴーのレイアウト、ブレーキングポイントも好きだし、ここで走るのが楽しみだ」

マルコ・メランドリ(MotoGP ランキング9位) 「アラゴンでは残念な結果だったが、休む暇もなく、レースも終盤戦を迎える。ここからの戦いも難しいことはわかっているが、ベストを尽くしたい。もてぎは、いつも天候が不安定。だからフリー、予選でいい走りができるように、できる限りの準備をしたい。残念ながら、今回の遠征に向けて、厳しいレースになることは覚悟しているし、それほど大きな期待はしていない。もてぎは、あまりテクニカルではないが、好きなサーキットだ。ここは、ブレーキングで安定しているマシンが必要になる。そのポイントこそが、いま、抱えている一番の問題。とにかく、マシンの状態がよくなることを願っている!」

マルコ・シモンチェリ(MotoGP ランキング10位) 「この数戦の自分の課題は、レース終盤、タイヤの温度が上がっているときに、いかに自分のパフォーマンスを発揮できるか、という点にあるが、それでもアラゴンのレースはうれしかった。バトルしたライバルたちと同じようにペースを上げていけたのだが、終盤になって彼らについていけなかった。アラゴンで見つけたベースセッティングからスタートして、セットアップを進めたい。250cc時代は、もてぎがとても好きだった。2008年は優勝したし、昨年はリードしていたにもかかわらず、リタイアしてしまった。でも、もてぎではいつも速く走れたから、MotoGPでも速く走れることを証明したい」

青山博一(MotoGP ランキング17位) 「もてぎはホームGPなので、とても楽しみにしている。家族や友だちやファンが応援にかけつけてくれるし、みんなにいいレースを見せてあげたい。ケガをした背中の状態も確実によくなっているが、今回は、100%の力を出せることを願っている。目標は今季ベストリザルト。シングルでフィニッシュしたい」

トニー・エリアス(Moto2 ランキング1位) 「アラゴンでは優勝したかったけれど、予選で転倒したこともあって完ぺきな状態ではなかった。スタートもあまりよくなくて、追い上げたけれど、4位でレースを終えた。優勝を逃し表彰台にも立てず、地元ファンの声援に応えられなかったのはとても残念だった。しかし、チャンピオンシップを考えれば、4位になれてよかったと思う。今シーズン、僕はすべてのレースでポイントを獲得している唯一のライダーだから、その努力が報われたのだと思う。もてぎは僕の大好きなサーキットだし、モリワキにとってもホームGPだから、優勝したい。Moto2はなにが起こるか予期できない難しいクラス。だから勝つのは簡単ではないけれど、優勝争いに加わりたい」

フリアン・シモン(Moto2 ランキング2位) 「チャンピオンシップ2位で、終盤戦の遠征に行けることは、とてもうれしい。今年はレースを終えるごとにMoto2の経験を積み、マシンもどんどんいい状態になっている。これまでもてぎでは、数回表彰台に立ったことがある。昨年は125ccで2位だったし大好きなサーキット。それにシューターのシャシーは、ハードブレーキングで安定している、そういうコーナーが僕は得意だ。今、すごくいい状態。これからもアクシデントに巻き込まれなければ最後のレースまでいい状態を続けられると思う」

アンドレア・イアンノーネ(Moto2 ランキング3位) 「ここからの3連戦は、自分たちにとってとても大事な戦いとなる。トニー・エリアスに少しでも近づけるようにベストを尽くしたい。そのためには、できる限り多くのポイントを獲得したい。今週末は最初から速さを見せたいしマシンのセッティングを決めて、トラブルもなく過ごしたい。昨年の125ccで優勝したという自分の結果をもう一度再現したい。心配なのは天候だけ。今年はどんなレースになるのだろう」

高橋裕紀(Moto2 ランキング9位) 「前回のレースは本当に残念だった。ニューシャシーを投入するも、うまくセットアップを進めることができなかった。ここからは、3連戦ということで、前回の予選、決勝で使った従来のシャシーで挑む。これまで課題になっていた問題を根本的に解決できる状態ではないが、ニューパーツを入れない分、車体のセットアップと走り込みに集中できる。今回は一年で一番、気合の入るレース。もちろん、優勝を狙って全力を尽くしたい」