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ツインリンクもてぎで世界を目撃しよう!

Section3 ニューエンジンがもてぎからデビュー

※写真は2012年のファクトリーマシン「モンテッサ COTA 4RT」

Repsol Montesa Hondaのトニー・ボウ選手と藤波貴久選手が乗るファクトリーマシン「モンテッサ COTA 4RT」が、2005年のデビュー以来9年目にして、初の全面新設計のエンジンを搭載し、今回のもてぎがデビュー戦となる。

小川友幸選手「ニューエンジンの開発が始まったときは、まだ新ルールの話はありませんでした。最初のコンセプトは、『より高く、より遠くへ飛ぶため』のエンジンパワーや瞬発力を実現するというものでした。

このため、エンジンが停まるか停まらないかという極低速といった限界領域から、ピークパワーの発生する高回転域まで一気に吹け上がるようなエンジン特性を目指したわけです。しかし、途中から新ルールの話が持ち上がったのでセッティングを変える必要がありました。ただ、基本的に極低速の粘るエンジンだったので、比較的容易にノンストップの走りにも対応できたのです」

車体ディメンションや重心位置を変えないように、エンジンの基本寸法や外観は大きく変わっていないが、そのスペックは全面変更になっているという。その中で最も大きな特徴は、ツインプラグの採用だ。1つの燃焼室に対して2本のプラグを備えると、混合気をより短時間で確実に燃焼させることができ、燃焼効率の向上=出力特性の向上を図ることができる。

大昔であればツインプラグの採用は、技術的に開発の余地を残していたエンジンの燃焼効率を向上させるための補助的な役目を担っていたが、今回の「モンテッサ COTA 4RT」での採用は“より緻密に、より積極的に”燃焼を制御し、理想的な出力特性を実現するためのものだ。

この点で斬新なアレンジといえると同時に、トライアルにおける新たなエンジン開発の段階に入ったといってもいいだろう。2013年モデルの「モンテッサ COTA 4RT」は、滑らかなエンジンフィーリングとパワーの向上を実現したのと同時に、点火系によるエンジンセッティングの幅を大きく広げているはずだ。

それは同時に、軽量でトルクを出しやすい2ストロークエンジンが主流であるトライアルの世界で、『Hondaはあくまで4ストロークで戦う』という意思表示でもある。

小川友幸選手「ここまで6年連続でチャンピオンを獲得しているマシンですから、勝てる性能を確保しながら大きく変更するという作業は大変なものでした。しかし、競技のトレンドに対応し、その時代ごとのマシン作りが必要な時期だったと思います。今回のモデルチェンジで、マシンの限界値は確実に上がっています。

通常の変更やモデルチェンジでは『かなりよくなったが、まだ不満が残る』というように、なかなか満足できる結果は実現できません。しかし、今回は『これはイケる!』と思わせるほどのインパクトのある仕上がりになっていますから、新ルールの下でのさらなる活躍と、トニー・ボウ選手の7連覇を期待してください」

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