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Section2 緊迫感倍増のノンストップルール

観客も新感覚を味わえるはず!?

今年からトライアル世界選手権では、“ノンストップルール”が採用される。このルールは文字通り“マシンを停止させることを禁止”しており、セクション内でマシンを停止させた場合は減点5、つまり失格になってしまうのだ。

これまでは、一つのセクションの中でも、ポイントとなる地点ごと、あるいはアクションごとにマシンをスタンディング状態で停止させ、ラインの修正や体勢の立て直し、攻略の熟考ができたが、今年からはそれができなくなる。

トライアル発祥の地であるイギリスでは、伝統的に“トライアルはノンストップ”という認識が根強く、1980年代後半から盛んになった“停まりながら細かく動作を刻んでいく”走り方に対する反対意見はいつも存在していた。トライアルが“失敗をしない競技”であるなら、停まって“修正する”スタイルはトライアルの本来ではないという考え方もできる。

ともかく、今回のルール改定で、マシンは常に動いている(=停止しない)ことが求められることになったのだ。ジャックナイフターン、フロント&リアのホップ、あるいはダニエル(ウイリー状態にマシンを保持して、その場でホップさせる)などのテクニックはほとんど使えなくなる。

さらには、ステアケースでの“カメ”(段差の頂点にマシンが乗って停まった状態)も、故意であろうが偶発的であろうが減点の対象になってしまう。新ルールの下では、その走りが大きく変わる可能性がありそうだ。

小川友幸選手「新ルールには、トップライダーのアクロバティックなアクションを封じることで、『参加ライダーのレベル差が縮まり、もっと参加台数が増えるのでは』という考えがあると聞いています。

ただ、トップライダーがミスをするような場所を、それよりレベルの低いライダーが行けるようになるとも思えませんので、どのような結果になるかは始まってみないと分かりません。

全くマシンを停めることができなくなるわけですから、これまでのルールに比べて厳しい戦いになると思います。これまでのように停まって修正ができませんし、常に動きながら直後の動作や攻略を考えないといけなくなるからです。

一番難しくなるのは呼吸ですね。つまり、重要なアクションに集中するために、いつ呼吸を止めるかというタイミングが取りづらくなります。呼吸を止めることは、動作をするために非常に重要なものですから、このあたりをどう対処するかが課題になっています。

すでにトップライダーたちは、呼吸のタイミングも含めて、走りながら同時に複数のことを考えるような練習を行っています。そういった意味では、観客の皆さんにとっても、これまでにあったアクション直前の息を飲むような、静まり返った緊張感は希薄になるかもしれませんね。

逆に、セクションは長く広めになることも予想でき、制限時間もなくなるので、これまでとは違う見せ場や新たな緊張が生まれる可能性もあると思います。新ルールでの初戦となる日本GPでは、ライダーも観客も、そしてオブザーバー(審判員)も“新しい感覚”を味わえるのではないでしょうか」

ノンストップルールの詳細は、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の公開動画

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