全8戦で行われたトライアル世界選手権には、REPSOL MONTESSA HONDAからトニー・ボウ、藤波貴久が参戦。アダム・ラガ(ガスガス)、ジェロニ・ファハルド(ベータ)といったライバルたちとシーズンを戦う。

2010年シーズンからの新たなレギュレーションでは、成績のいいライダーからスタートする方式が取り入れられ、開幕戦スペインでは未開のセクションにボウが最初にトライすることになった。しかしそのハンデをものともせずに、ボウは4ストロークサウンドを響かせて勝利。幸先のいいスタートを切った。藤波は転倒から足を負傷し、4位でフィニッシュ。

第2戦は、第1戦から程近いポルトガル。1日目はボウがすべてのセクションをクリーンで完勝し、藤波は4位。2日目は反対に藤波が優勝しボウが4位。しかし総合優勝は両日とも2位となったアルベルト・カベスタニー(シェルコ)となった。

第3戦はツインリンクもてぎで11回目の開催を迎える日本大会。藤波にとっては母国グランプリとなるため、より一層力が入る大会となった。1日目には競技中に雷雨に見舞われて一時中断となるなど、セクションも刻々と変化する状況の中、ボウが優勝。藤波は前戦で優勝していることから一番にトライしなければならない難しさもあって4位。2日目はボウが2位、藤波は小さなミスが重なり惜しくも母国での優勝を遂げることができなかった。続くイギリス大会では1日目にボウが優勝、藤波のかつてのチームメート、ドギー・ランプキン(ベータ)2位、藤波3位。2日目には藤波が優勝、ボウが3位。

第5戦フランス大会ではボウと藤波が1-2フィニッシュ。サンマリノ大会ではボウが2連勝、藤波は5位。ボウは次戦第7戦イタリア大会でも圧倒的な走りと安定感で見事な優勝を果たし、最終戦を待たずに4度目のシリーズチャンピオンを決めた。藤波は3位でフィニッシュし表彰台に上がるも、一歩及ばずランキング3位に後退した。

最終戦ではラガが優勝してランキング2位。すでにチャンピオンを決めていたボウが3位、健闘するも本来の力を十分に発揮することができず藤波は5位で終えた。これにより藤波はシリーズランキング3位で2010年シーズンの幕を下ろした。