REPSOL MONTESA HONDAのエース、トニー・ボウが第7戦イタリア大会でも見事な勝利を飾り、選手権を1戦残して2010年チャンピオンを決めた。23歳のスペイン人であるボウは、これが4度目のアウトドア世界選手権タイトルとなる。2位は最後までボウを苦しめたアダム・ラガ(ガスガス)、そして3位表彰台はチームメートの藤波貴久が獲得した。今回の表彰台で、藤波はランキング2位の可能性を残している。

北イタリアの高地での開催となった今大会。ミラノとベネチアの中間の都市、ベルガモの北方60kmにあるスキーリゾートが会場だ。この会場での前回の開催は2001年だった。訪れた者は、01年の強烈な印象をまた味わうことになった。草原と、玉石がごろごろする沢筋とがミックスされたセクション群は、多くの情熱的なイタリア人ファンを集めてにぎやかな世界選手権となった。

金曜日の夜は激しい雨に見舞われた。しかしセクションは当日の朝までにすっかり乾ききった。雨の中で設定されたセクションでは、減点数の少ない神経戦となることが予想された。

予想通り、ボウは第8セクションまでをクリーンで進んだ。しかし第9セクションで5点。ここは多くのライダーがクリーンか1点で抜けていたため、ボウには大きな痛手となるはずだった。しかしライバルのラガがその直前、第8セクションで5点減点となり、藤波はそこまでに3つの5点を取ってしまっていたため、ボウのトップは安泰だった。

藤波は前半に5点が目立ったが、第9セクションで1点を取ると、そのあとはすべてクリーン。ボウもラガもこのエリアでは5点を含めて複数の減点を喫したため、藤波の1ラップ目後半の走りは見事だった。1ラップ目、トップはボウで11点、ラガが1点差で12点、藤波は18点だが、ラップ後半の走りを見ると、追い上げも十分に期待できた。

• トニー・ボウ
• トニー・ボウ
• トニー・ボウ
• 藤波貴久
• 藤波貴久
• 藤波貴久
• ライア・サンツ

2ラップ目、スタートの早かったトップグループがセクション攻略法を会得し、減点は劇的に減っていった。中でもボウは、2ラップ目をたったの1点でまとめてしまった。これでは、ライバルは手も足も出ない。ラガは5点減点のないすばらしい走りを見せたが、1ラップ目と同じ第8セクションで3点を取ってしまい、これで事実上勝利への権利を失ってしまった。

藤波も減点を半分以上減らしてきた。しかし藤波にとって第7セクションが鬼門で、ここで5点。ラガにもあと一歩及ばず、3位だった。

ラガが2位、藤波が3位、そしてボウが優勝したことで、ボウは最終戦のチェコを待たずにチャンピオンを決定した。これでチェコでは、藤波とラガのランキング2位争いに焦点がしぼられることになった。REPSOL MONTESA HONDAが世界選手権の1-2を得るチャンスは、最終戦での藤波の活躍次第となっている。

女子世界選手権では圧倒的強さを誇っているREPSOL MONTESAのライア・サンツだが、この週末は思ったような結果にはならなかった。土曜日のヨーロッパ選手権では23位、日曜日の世界選手権ジュニアクラスでは16位と、あと一歩で選手権ポイントをとり逃した。