STEP.2

ダイコンの
上手な育て方

~3粒まきして
間引きながら大きくする~

タネをまく

畝立て後はすぐにタネをまく

品種によりますが、ダイコンはタネまきから60~70日で収穫を迎えます。そのため、秋まき栽培は、中間地で8月下旬から9月下旬がタネまきの適期と言われます。家庭菜園では9月中旬以降に行うのがおすすめ。それは暑さが残るうちは害虫の活動が活発なため、新芽を食害されやすく、生長に影響するからです。
堆肥や肥料を施さないので、畝をつくったらすぐにタネをまくことができます。まき方は左の写真の通り。1か所に3粒ずつまいて、しっかりと鎮圧するのがポイントです。ただし、雨後で土が湿りすぎている場合は、鎮圧はせずに、土をかけるだけで十分です。

3粒ずつタネをまいて覆土したら鎮圧
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ダイコンのタネです。よく見ると大小があって1粒ずつ形が違っています。できれば、充実したタネを選んでまきましょう。

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マルチフィルムに株間30cmで穴をあけ、指で3か所に深さ約1cmのまき穴をつけ、タネを1粒ずつ落とします。

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土をかけます。

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手でしっかりと押さえて鎮圧します。タネと土を密着させるのが、発芽をそろえるコツです。

害虫対策

タネをまいたらすぐに防虫トンネルでガードする

ダイコンを始めアブラナ科の野菜には虫がつきやすいので注意が必要です。秋になって涼しくなっても、ダイコンシンクイムシ、アブラムシ、ヨトウムシ、ネキリムシなどの害虫の活動が続きます。
とくに厄介なのがダイコンシンクイムシです。蛾の一種、ハイマダラノメイガの幼虫で、ダイコンの新芽部分を食害します。生育初期に新芽を食べられるとダイコンの生長が止まってしまうので深刻です。
ハイマダラノメイガが飛来しても産卵できないよう、ダイコンの畝に防虫トンネルを掛けてガードしておくと安心です。

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畝にトンネル用の支柱を約1m間隔で挿します。

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畝の両端には、補強用にトンネル支柱を斜めに追加します。

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防虫ネットをかぶせて端を絞り、U字ピンを挿して地面に固定します。

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防虫ネットの裾に土を盛って固定します。ダイコンの葉がトンネルの内側に達したら防虫トンネルを撤去します。

段階的に間引く

ハサミで切って間引き育ちのいい株を残す

タネまきから1週間~10日で発芽がそろいます。ここから2回に分けて間引きをし、最終的に1か所に1株を残して大きく育てます。
最初の間引きは本葉1枚の頃です。双葉が左右対称に開いた、見た目に美しいものを残します。
間引く対象は、双葉の形がいびつなもの、虫食い跡があるもの、葉色が黄変しているもの。また、元気そうに見えても、緑色が濃くて大きく育っている株は又根になっている可能性があるので間引きます。
本葉6~7枚の頃に最後の間引きをして1か所1株にします。株の周囲に、生長に必要な窒素分として油かす約10gを追肥しておきます。

1回目の間引き
本葉1枚の頃

本葉が出始めた頃から間引きを開始します。生育や形の悪い株を選んで、ハサミで地際を切って間引きます。

2回目の間引き
本葉6~7枚

間引いて1か所1株にしたら、追肥をして窒素分を補います。ただし、粘土質の畑は養分を豊富に含んでいるので、追肥は不要です。

間引きのコツ

間引き方を工夫してミニサイズのダイコンを楽しむ

間引きの基本は、最終的に1か所1本にすることです。サイズがそろった大きなダイコンを収穫できます。
ただ、家庭菜園は出荷が目的ではないので、自由な発想で野菜づくりを楽しみましょう。1か所に2本を残しておくと、やや小ぶりなダイコンが2本育ちます。少人数の家庭で利用しやすい、食べ切りサイズのダイコンです。食べたいときに1本ずつ抜いて収穫しましょう。
また、1か所に5~6粒ずつタネをまき、3回くらいに分けて間引くのもおすすめ。間引きの際にダイコンの葉がどっさり採れるので、汁物の具やお浸しで楽しめます。

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1か所に2本残して育てると、小ぶりなサイズのダイコンに仕上がります。

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もともと細めのサイズの「辛味ダイコン」を、間引きをせずにそのまま3本育てている例です。

収穫する

大きく育ったものから順番に抜いて収穫する

ダイコンの収穫は、タネまき後60~70日を目安に行います。写真①の通り、横に広がっていた葉が上方に立ち上がってきます。これが収穫のサインになります。
秋まき栽培では、冬の間はダイコンを抜かずに畑に残しておくことができます。一度に全部収穫する必要はなく、食べる分だけ順番に収穫していくと良いでしょう。
春になると花芽ができてダイコンの味が落ちます。遅くても2月下旬までには収穫を終わらせます。

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収穫期の「青首ダイコン」です。首が地面から伸びて、緑色がかっています。葉が立ち始めたら収穫OKのサインです。

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葉を束ねて持ち、真っすぐ上に引き抜きます。

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タネまきは9月下旬、12月上旬に収穫した青首ダイコンです。

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2月上旬に収穫した、同じ畝のダイコンです。根がさらに太っています。

家庭菜園なら好みの品種を育てられる

現在スーパーなどで売られているダイコンは、ほぼ100%が青首ダイコンです。青首ダイコンはつくりやすくておいしいダイコンですが、ダイコンにもさまざまな品種があります。
大蔵ダイコン、練馬ダイコン、聖護院ダイコン、守口ダイコンなどの伝統品種のほか、皮が黒い黒ダイコン、実が鮮やかな赤色をした紅芯ダイコン、実が緑色のダイコンなども家庭菜園で人気です。
珍しいダイコンのタネを入手して育ててみましょう。家庭菜園ならではの楽しみです。

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短系品種のミニダイコン。作土層が浅めの畑でも栽培が容易です。食べ切りサイズのダイコンです。

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赤皮ダイコン。サラダにすると見た目にもきれいです。

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伝統品種の辛味ダイコン。ダイコンおろし用に育てておくと重宝します。