MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2002年9月号


「交通心理士資格制度」スタート


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 この10月から、日本交通心理学会が認定する「交通心理士資格制度」が実質、本格的にスタートします。これには、交通に関する法的規定が要請している「運転者が心身ともに健常な状態で運転行動に就く」ことにあたって、運転者のパーソナリティ(性格)や安全態度を考慮する必要が、特に高まってきていることが背景にあります。
 「そうした必要性が言われながらも、ドライバーの心理的諸事情、その表出のメカニズムなども踏まえた理解がなかなか十分になされず、われわれ交通心理に関わる人間にとって、安全対策が地についていない感じがあったわけです。これに対処するために、人間の諸特性、行動発生のメカニズムなど、心理学の知見・情報を十分に身につけた人々が交通の分野で活動し、社会的に交通安全に貢献することを目的として、交通心理士資格制度を考えました」と語るのは、同学会の資格認定委員長である神作博・中京大学教授。

●交通心理士資格制度とは?

 交通心理士制度は(1)主幹総合交通心理士(2)主任交通心理士(3)交通心理士(4)交通心理士補の4つの資格で構成されます。
 基本は(3)の交通心理士で、その交通心理士を指導する人が(2)の主任交通心理士。さらに交通安全対策は、企業などにおいては、最終的にはトップの意識と判断が重要となることから、トップを対象とした資格を(1)の主幹総合交通心理士としました。主幹総合交通心理士は、広い視野から総合的に交通心理学の諸問題を眺め、これを担当する人々の育成をはかることのできる人を条件としています。(4)の交通心理士補は、交通心理士に近い仕事に就いている人を対象に、本人が希望して、一定の条件を満たせば資格を付与することになり、現在、日本交通心理学会員でないが、現場で活躍している人をも対象としています。
 すでに、各地の損保協会、トラック交通共済、自動車教習所などから次々と問い合わせが来ているといいます。なお、2001年7月より国土交通省は、一定以上の重大事故を起こしたドライバーを対象に適性診断を義務づけました。この適性診断を行なうことのできる機関は、一定の資格条件(産業カウンセラー、臨床心理士)を有している人がトップにいる組織ですが、これに主任交通心理士・交通心理士も加えることが決まっています。




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