MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2002年6月号


企業と消費者が共鳴・共存・共創する時代の消費者教育とは



 企業が消費者教育に取り組む意義とはなんでしょうか。「企業と消費者と信頼関係を深める手段だからです。それは企業にとってもかけがえのない財産となり得ます」。小木さんは、(財)消費者教育支援センターが行なう「消費者教育教材資料表彰」の選考委員長を務めています。企業が作成した資料・教材の質を高めるには「厳しい批判の目を通して評価されることも必要」だそうです。第3回の今年は、ホンダ安全運転普及本部が作成した『トラフィック・バリアフリー』が印刷部門で優秀賞を受賞しました。
 「バリアフリーという問題意識をとり入れたところが時代とマッチしています。バリアフリーは豊かな社会、暮らしやすさを求める上で、キーワードになる言葉。そこに着目したのは、Hondaで働く人たちが意識を持っているからでしょう。福祉関係の授業で副読本として使ってほしい冊子です」。
Hondaは障害理解のための小冊子『トラフィック・バリアフリー』で第3回消費者教育教材資料表彰(印刷部門)で2度目の優秀賞を受賞しました。
 小木さんは、「暮らしやすさは、安全・安心の上に成り立つ」と言います。毎年5月の「消費者月間」で、内閣府は「安全・安心に暮らせる社会をめざして」を今年のスローガンに掲げました。食の安全性への不信から「安全・安心という古くて新しい言葉」が今、問い直されています。「消費者と企業の関係は、70年代の対立、80年代の相互理解、90年代の共生と変化し、21世紀に入って共鳴・共存・共創の時代を迎えました。双方の距離が近付いたところにBSE(狂牛病)などの問題が起こったことで、またその距離が離れてしまいました。しかし、教育を受けた現代の消費者は、いたずらにすべての企業を悪漢視することはありません。尊敬に値する企業は残し、値しない企業は淘汰するという意識で企業活動を見守っていけばよいと思います」。


このページのトップに戻る目次へ

 

 
  安全運転普及活動コンテンツINDEX